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新生東芝に黄信号 原発事業見直しも

2016年12月28日 | 企業研究
「新生東芝」に黄信号 原発事業見直しも
2016/12/28 0:56 日経

 会計不祥事で再建中の東芝に新たな経営問題が浮上した。綱川智社長が27日、記者会見を開き、米国の原子力発電事業で数十億ドル(数千億円)の減損損失が発生する可能性があることを明らかにした。リストラ加速は不可避で、資金確保へ半導体事業の分社化・上場といった一段の事業見直しが現実味を帯びてくる。6月に綱川氏がトップに就いた「新生東芝」に、はやくも黄信号がともる。



 「12月中旬に認識した」。都内の東芝本社で記者会見した綱川社長は米原子力事業の減損損失の可能性について語った。
 綱川社長はさらに認識時期について企業として「遅かった」とも話した。消費者、株主、取引先、従業員にとって「寝耳に水」状態だっただけでなく、経営陣も混乱している様子が垣間見えた。27日の東京株式市場では東芝株に売り注文が殺到し、一時、前日終値比16%安の371円に下落。約1カ月半ぶりの安値を付けた。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「(資産査定などが)甘かったと言わざるを得ない」と語る。

 東芝は会計不祥事後の大リストラを経てもなお、原子力を事業の柱と位置付けていた。

 中核が2006年に西田厚聡社長(当時)が約4900億円で買収した米原子力大手のウエスチングハウス(WH)。16年3月期、WHを中心に東芝全体の原子力事業で減損損失を約2500億円計上し、再スタートを切る体制を整えたばかりだった。エネルギー事業は公的な色合いが濃いため、他の一般的なビジネスに比べて異なる部分は多い。とはいえ東芝のリスク管理の甘さを指摘する声は多い。



 新たな損失が発生する可能性が出てきたことで、原子力事業の戦略見直しは避けられない。綱川社長も記者会見で「位置づけを見直すことはあり得る」と明言した。収益環境が厳しくなるなか、分社化や他社との一部事業の統合といったリストラが今後焦点となる。
 東芝本体ではこれまで、家電やパソコンを中心に1万4千人規模の人員削減などを実施。白物家電の中国企業への売却、医療機器子会社のキヤノンへの売却などにも踏み切り、足元の業績は好調だ。

 特に主力のメモリー半導体は、中国系メーカーのスマートフォン(スマホ)のメモリー容量増を背景に好調が続いている。円安傾向でさらなる上振れも期待できる。当面はメモリーの一本足打法をとらざるをえないが、新たな損失発生を機に、分社化・株式公開が視野に入ってくる。

 確かに多額のキャッシュが得られるメリットはある。しかし一方で、海外メーカーの買収攻勢にさらされるリスクが出てくる。数年後のメモリー市況の先行き不透明さを指摘する声も証券アナリストなどからあがる。

 電機業界に詳しいナビゲータープラットフォームの和泉美治アナリストも「半導体事業を切り売りすることになるのでは」と語る一方、「成長分野がなく、不確定要素が多い銘柄であることを投資家は強く認識すべきだ」と指摘する。

 不確定要素があまりに多いなか、東芝再生が混沌としている状況には、多くのステークホルダーから冷ややかな目が向けられている。「一段の事業再編を加速する必要がある」。27日夜、取材に応じた東芝幹部はこう話した。
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