鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2015/12/2

2015年12月02日 20時30分27秒 | ゲーム・コミック・SF
あっという間に師走ですねー。今年中にもう一冊SFを読めるか否か?
先月読了したSFをレビュー。季節的に間違っていた気がする(笑)

沈んだ世界/J・G・バラード、峰岸久訳(創元SF文庫)

温暖化が急激に進んだ近未来、地球上の都市は全て水中に沈んでいた。生き残った人類は極地に新たな文明の拠点を築き、国連調査部隊が水没地の調査と残留住民の回収を進めている。国連調査部隊のイギリス隊に参加した生態学者・ケランズは、沈んだ世界の生態系調査に従事しつつも、人類文明の進化を拒絶するこの世界に抗い難い魅力を感じて止まなかった。彼と同様に極地への移転を良しとしない狂気の美女・ビアトリス、水中に没した都市から美術品等を略奪することを生業とするエキセントリックなギャングのストラングマン、水没する前の故郷のイメージに閉じこもるボドキン博士。極地に移転しなければ命が危うい中、彼らがとった選択肢とは?

ニューウェーブSFの代名詞、バラードが描き出した「世界」三部作のひとつ。
バラードが描く滅亡の情景、それは「滅亡」そのものであり、それ以上でもそれ以下でもありません。通常のSFに対してSF者が期待する、冒険もドラマも認識の変容もありません。ただただ、滅亡の風景が淡々と描き出されているだけです。

この作品の特筆すべきところは、そんな「滅びの風景」が生命に満ちあふれていること。
熱帯性の植物と爬虫類・鳥類に満ち満ちた、原初的な熱気に噎せ返らんばかりの地球。活気に満ちてはいるのですが、そこに人類の入り込む余地はありません。そんな世界の中、極地に生存の可能性を見いだす者と、世界の中で果てることを指向する者とが錯綜します。もぅ理屈の世界ではありませんね。
ストーリーはあってなきがごとし、というかありません(断言)。この世界観にどっぷり浸れたらスゴく気持ちいいと思うんですが、鴨はどうしても登場人物に感情移入できず、並走したまま読了いたしました。そんなわけで個人的にはイマイチな読後感ですが、スゴく人を選ぶ作品ですので、気になったら是非読んでみてください。
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