鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2015/11/16

2015年11月16日 22時59分27秒 | ゲーム・コミック・SF
最近、毎日「ゴーメンガースト」シリーズを読んでおります。まだ1巻目の「タイタス・グローン」、しかもまだまだ序盤。
分厚過ぎてくじけそうになるので、Twitterで「#まいにちゴーメンガースト」と題して毎日無理やりゴーメンガーストネタでつぶやいておりますヽ( ´ー`)ノ

さて、結構前に読み終えたSFのレビュー。

はだかの太陽<新訳版>/アイザック・アシモフ、小尾芙佐訳(ハヤカワ文庫SF)

ニューヨーク市で発生した宇宙人惨殺事件を見事解決した刑事イライジャ・ベイリ。乗り馴れない飛行機に乗ってワシントンに呼び出された彼が命じられたのは、宇宙人の国家・惑星ソラリアで起こった前代未聞の殺人事件の捜査だった。徹底した人工統制で一人一人が広大な土地を所有し、多数のロボットに身の回りの世話をさせて生きているソラリアは、生身の人間同士が直接会うことがほとんどない社会。夫婦ですら滅多に会わないこの社会で、殺人など起こるはずはないのだが・・・地球とは全く異なる価値観に戸惑いながら、再開したR・ダニール・オリヴォーと共に捜査を進めるベイリが掴んだ真相とは?

前作「鋼鉄都市」でバディを組んだイライジャ・ベイリとR・ダニール・オリヴォーが再び登場して難事件に立ち向かう、アシモフお得意のSFミステリ。前作同様、「ロボット工学三原則」の縛りの中で、ロボットが絡んだ殺人に対してどのように論理的なおとしまえを付けるのか?が、ポイントの一つです。前作よりも「ロボット工学三原則」が孕む矛盾に一歩踏み込んだ内容になっていて、ミステリとしてもSFとしてもなかなかの出来前。
それに並んで大きなポイントになるのが、実にユニークなソラリア社会の構築ぶりです。徹底して人口を抑制し、あらゆる労働をロボットに任せた結果、人間は皆極端な対人恐怖症に陥り、子を生し育てることが「汚らわしい」とまで認識されてしまう社会。そんな非人間的な(地球人の感覚で、ですが)社会においても人間同士のいざこざや思想対立はやっぱりあって、不穏な動きへと繋がっていく・・・。はじめて宇宙人の社会を目の当たりにしたベイリは、鋼鉄のドームに閉じ込められて暮らす地球人同様に宇宙人社会も既に袋小路に突き当たっていることに気づくのです。そして、どちらも現状を打破しなければ共倒れになりかねない、ということにも。

作品のタイトルにもなっている「はだかの太陽」は、鋼鉄のドームの中から飛び出したベイリが目にする広い世界を象徴する、物語の要所要所にも登場するシンボル的な存在です。その太陽の光に導かれて、事件の解決とその結果だけではなく、地球人類がその後なすべき困難な課題についても直視するようになるベイリ。この作品が単なるミステリではなく、「SFミステリ」の名作として前作とともに長く語り継がれている理由が、このラストシーンの壮大なヴィジョンに端的に現れています。

鴨的には、前作よりもSF的なメッセージを強く感じる作品だと思います。地球人ベイリの価値観の変化が物語の重要なファクターを占めるせいか、R・ダニール・オリヴォーの活躍はかなり控えめ。ほとんどベイリのお守役に徹しています(^_^;その方が、ベイリの無鉄砲さと大胆さを際立たせることができるからでしょうね。
この作品の更に続編もあるんですが、現在は残念ながら絶版。入手できる機会があったら、ぜひチャレンジしてみたいです。
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