鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2017/10/10

2017年10月10日 21時43分57秒 | ゲーム・コミック・SF
読書の秋になりましたねー。
と書きたかったのに、何この暑さ(-_-;夏に逆戻りですわ・・・。
汗をかきながら、先月読了したSFのレビューでございます。今年の星雲賞海外部門受賞作。

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン<上>/ピーター・トライアス、中原尚哉訳(ハヤカワ文庫SF)

ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン<下>/ピーター・トライアス、中原尚哉訳(ハヤカワ文庫SF)

第二次世界大戦で枢軸国側が勝利し、日本が北米の西側を、ナチス・ドイツが東側を支配している世界。「皇国」と自称する日本は、ロサンゼルスを中心に「日本合衆国」を建国し、日系混血人を中心とした圧政を敷いている。
皇国への叛逆を目論んだ両親を告発して現在の地位を得た軍人・石村紅功は、かつての上司である六浦賀将軍から、自死した娘クレアの死の真相を探って欲しいとの極秘の命令を受ける。ほぼ同時期に石村の前に現れる「特高」の女工作者・槻野昭子もまた六浦賀を追っていた。時は今しも、息詰まる監視社会の中で密かに流行するゲーム「USA」。現実の歴史とは異なり、連合国側が枢軸国側に勝利した世界を舞台にした戦争シミュレーション・ゲームを作ったのは、他ならぬ六浦賀では無いかとの噂が流れていた。異形の日本的社会の中、巨大ロボが治安を守る日本合衆国で謎を追い求める石村と槻野の戦いが、今ここに幕を開けるーー。

うーーーーーーーむ・・・・・・

下巻まで読み切って、作者がこの作品で表現したいこと、伝えたいことは、わかった気がします。両親を裏切って生き抜いてきた石村の人生の真相、サディスティックに見えて実は自分への恐怖を克服し切れていない槻野の人間的な弱さが最後に明かされ、暴力的な圧政の元でささやかな信念を胸にサバイバルする個人の魂の遍歴を描きたかったのだろうな、と鴨は読み取りましたし、その視点で読むとこのラストはなかなかの出来映えだと思います。

ただ、そうした人間模様をテーマにする作品であれば、人間を描く深みが必要です。それがないと、ストーリーが上滑りして、求心力を失います。
この作品では、主に登場人物の台詞の応酬で人間性や置かれた環境、ものの考え方を表そうとしています。が、この台詞がいちいちカッコ付け過ぎていてリアリティが無く、地に足の着いた会話になっていないため、キャラ造形に深みが無くステレオタイプなキャラ設定しか印象に残らない結果になっています。
ここで誤解のないように申し上げておくと、キャラ造形に深みなんぞなくても立派に成立するSFはあります。舞台設定の面白さ、SFとしてのアイディアの秀逸さ、それだけでSFは勝負できますし、過去にそうしたベクトルで成功した古典SFはたくさんあります。でも、この作品は、そういたベクトルで勝負しようとした作品ではないよなー、と鴨は感じています。だったら、巨大メカとか相撲レスラーとか人体改造とかゲーム対決とか、そうした派手なガジェットを売りにするのはちょっと違うんじゃないかなー、と。派手なガジェットが面白さを付加しているならまたそれはそれで評価できますけど、残念ながら昔からあるありがちなガジェットの焼き直しばかりで、あまり面白くありませんし。

というわけで、鴨のこの作品に対する評価は、「ちょっと方向性間違えちゃったかなぁ・・・」との残念な感じ。人物描写も世界観もどちらも中途半端で新鮮味がなく、ストーリー自体の求心力が今ひとつ。ぱっと見の面白さだけで星雲賞取っちゃったか?
どちらかの針に振り切れれば、面白いSFを書ける作者なのだと思います。今後の精進に期待!ですねー。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 気が早いけど | トップ | 来年の話 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ゲーム・コミック・SF」カテゴリの最新記事