鴨が行く ver.BLOG

鴨と師匠(ベルツノガエル似)と志ん鳥のヲタク全開趣味まみれな日々

最近読んだSF 2012/12/22

2012年12月22日 17時32分05秒 | ゲーム・コミック・SF
毎日の通勤電車で読み続けているSFレビュー、今年はたぶんこれで最後です。
2冊まとめてどうぞー。

継ぐのは誰か?/小松左京(ハルキ文庫)

「チャーリィを殺す・・・」人間には不可能な方法で送られてきた殺人予告を受け取ったサバティカル・クラスの大学生たち。チャーリィを助けんと奮闘する彼らは、世界中で類似の事件が起こっていることを知る。事件の背後には、一殺人事件と捉えるにはあまりに深く壮大な企みが隠されていた。世界最高水準の知能を結集し、事件に立ち向かう彼らの行方は?

良くも悪くも「若い」作品。「若さ」は小松左京の初期作品最大の特徴でもあります。この作品がSFマガジンに連載されたのは1968年。もちろん小松左京自身も若かったし、日本社会そのものも右肩上がりの高度経済成長期でした。同時に、世界的にはカウンターカルチャーの全盛期でもあり、バラ色の未来を夢見つつもその一方では漠然とした不安も抱えている、そんな時代の世相をそのまま反映した作品だと思います。
ストーリーの大枠は「新人類と現世人類の対決」という古典的な進化テーマSFですが、作品中では「若者と大人」、「政治と科学」、「自然科学と人文科学」等々さまざまなものが対立し、反目しながらも、共存の道を探ってもがき続けています。今の若い人が読んだら、相当暑苦しい作品だと思います(^_^;でも、そこかしこに散りばめられた、人類に対する客観的ながらも暖かい視線は実に小松SFの王道。もっと若いうちに読んでおいた方が良かったなぁ、これ。

宇宙船ビーグル号/A・E・ヴァン・ヴォークト、浅倉久志訳(ハヤカワ文庫SF)

約1000名の科学者と軍人を乗せて、深宇宙の探索へと突き進む巨大宇宙船ビーグル号。かのダーウィンが乗り込んだ探検船の名を冠したこの宇宙船は、あらゆる科学分野のエキスパート達が自己のプライドを賭けて権力闘争に明け暮れる戦いの場でもあった。そんなビーグル号を矢継ぎ早に襲う、前代未聞の特殊能力を持つ異星生物たち!その前に立ちはだかるのは、新興学問「情報総合学」の若き泰斗・グローブナー。疑心と陰謀渦巻く船内を、彼はどうまとめるのか?そして異星生物とどう闘うのか?

異星生物がユニークでカッコいい。
ただそれだけヽ( ´ー`)ノ

読む人を著しく選ぶ超曲者SFジャンル”ワイドスクリーン・バロック”の先駆者、ヴォークトの代表作。ヴォークトにしては読みやすく物語の破綻もなく、日本ではとても人気がある作品、と前評判で聞いていて、SF者としては読んでおかねばと手に取ったんですが、すみません、鴨はこれダメでした(^_^;異星生物の描写は本当に独創的で、後のSFのネタ元になったという評価もうなずけるんですけど、それ以外に面白いと感じられるポイントがありませんでした。たくさんの登場人物が出てくるんですけど、与えられた立ち位置を演じるだけの単なるコマといった感じ。まぁ、ヴォークトの作品にリアルな人間性を求める方が間違いだということはわかっておりますが、それにしても薄っぺらい人物描写といいご都合主義全開のストーリーといい、頑張らないと読み進めない(^_^;
たぶん、10代の男子なら面白く読めると思います。
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