朝刊フジ

本やテレビ雑記に加え、英語で身を立てようと奮闘中の筆者が読者と自分に(笑)エールを贈る。

『12人の優しい日本人』突撃レポート!①~最悪の劇場到着編~

2005-11-30 00:00:11 | 演劇
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、ローソンのあんまんは、あんがちょっと硬いけど、セブンイレブンの方は中村屋の美味しいこぼれそうなあんで、大満足!のフジでございます。昨日も食べました。一昨日も食べました。今日はどうすっかなあ・・・

さ~て、ついに!であります。
一昨日の月曜、11月28日に、私が体を張って捕まえたチケットを持ち、渋谷PARCO劇場にて『12人の優しい日本人』を見てきました!!!
いやあ、私PARCO劇場、もう10年ぶりくらいではないでしょうか。まして三谷幸喜脚本・演出はもう何年ぶりか分かりません。とにかく前日は興奮状態。眠れませんでした。全く。しかしこれが悪夢の始まりだと誰が予想したでしょうか?

ちなみに『12人』って何?とおっしゃる方は、是非ネットで検索してホームページを見てください。あなたの知ってるあの俳優さんがたくさん出てくるのです。残念ながら東京・大阪公演しかありませんけれども、全国の三谷ファンのためにも、できるだけ臨場感溢れる再現をしたいと考えています。しかしながら、今回はメモなど取る余裕もなく(だって最前列ですもん)、私の記憶を頼りに書き綴りますため、一字一句違わない、というわけには行きませんので、ご了承願います。

私、地元を3時くらいに出る電車に乗って、まず新宿へ行きました。私の使う私鉄では、”快速急行”なるものがあって、地元駅とその次に止まると、後はひたすら都心に向けて駅をジャンジャン飛ばすという、田舎者には便利な列車があるのです。私、連れ(といっても、残念ながら相手は恋人未満です)べチャラクチャラ喋っていました。こちらは『12人』の映画版を見ています。だから薀蓄並べて「今日はここが見どころだよ」などと天狗になっていたのですね。

電車が新宿に着きました。そのとき連れが「帰りの電車の中で食べるもの、どうする」と聞いてきたのです。私は行きがけにその辺でおにぎりでも買えばいいや、と言うと「ダメ!劇場は暑くなってるから、おにぎりがだめになっちゃう!」というのです。そこで、新宿駅を方々探して、芝居の終了時刻の9時5分から換算して、新宿に9時半につくと仮定し、それまでやっている弁当屋などを探したのです。ところが新宿は都心部だというのに、店はみんな9時ごろしまってしまいます。二人でグルグル駅を回りました。
この時、すでに私には前兆が来ていたのです。

ようやく一件、夜10時までやっている弁当屋を見つけました!ほっとと一息。しかし、何だか歩きすぎたのか、めまいがしてきました。目的地は渋谷なので、とにかく渋谷まで行こう、ということになったのですが・・・
電車内でも私は、ふと気が付くとまるで気を失っているかのようにポーっとしてしまいました!徐々にですが、体が震えてきました。連れはまだ気付いていないようです。でも、正直座っていられないんです。体が勝手に動き出してしまうのです。まるでリズムを刻むかのように、足がフラフラ動いてしまう。おかしい!

渋谷に着きました。私は、こんなこともあろうかと、頓服剤を持ってきていたのです。連れが水を買ってきてくれました。私は水で頓服を流し込みましたが、震えが止まりません。震えというより、揺れといった方がいいほど、大きくなってしまいました。連れは「大丈夫?」と言ってくれます。正直こういう姿は見せたくなかった。でもこればっかりは自分の意思ではどうしようもないのです。
その時、私はひらめきました。渋谷には、私のかかりつけのお医者さんがいるではないか!その人のところへ行こう。そして何でもいいから、この異変をとめてもらおう!

医師は私が普段来ない時間に行ったので、ビックリしていました。私は眠れなかったことから、今までのことまでを実演を交え話しました。話しながらも体が言うことを聞かないのです。
とにかく安定剤と筋弛緩剤をもらって、すぐ飲みました。それでも医者のあるビルからPARCO劇場までは、普段と違って相当遠くに見えます。いけるのか!?二人でゆっくりゆっくり歩きます。「これは薬じゃ治らないかもしれない。極度の寝不足なんだ」と言う私。
本当は格好付けて、いいレストランで食事!のはずだったのですが、センター街に入ったすぐそこにあるカレーショップを見て「ここでいい?」

私、具合が悪いのに、カレーの上にクリームコロッケなどをトッピングしてしまったのです。そういうメニューの写真しか見られなかったのです。
「劇場行ける?」と連れ。「とにかく劇場まで行ってみようか。ダメだったら、帰ろ」。
カレーを何とか食べて、ゆっくりPARCOの近くへ。何十分経ったでしょうか。とにかくPARCOにたどり着くことは出来ました。
しかし、売り場に備え付けのイスに座ることしか出来ません。猛烈に襲ってくる眠気。「起こしてあげるよ」と言う連れの一言で眠りに落ちる・・・と良かったのですが、やっぱり緊張して眠れない。だって、考えても見てください。売り場のイスですらまともに座れないんですよ。なのにこれから劇場の狭いイスで、約2時間も拘束されるのです。私、悲鳴をあげてしまうかも知れません。ああ、折角今日のために体調管理してきたのに。風邪も引かなかったのに!

6時半になりました。開場の時間です。エレベーターに乗って7階へ。
ドアが開くと、そこは人、人、人で満員の劇場ロビー。当日券に並ぶ列。そして今から入ろうとするお客さんたち。
とにかく入場すると、そこは『テレホンショッキング』状態。花、花、花!私、この花を見るのが大好きなんです。誰が誰からもらったのかなあ、とか、意外な交友関係が分かるから。江口洋介さんには、ハウスのカレーから来ていてビックリ。今回はとにかく出演者が12人と多いため、花が飾りきれていないようです。本来なら、誰が花を送ってきたか覚えておいて、ここで書くと楽しいんですが、あまりに多くて覚えきれない!

劇場に入りました。まだ3割程度の人しか座っていません。それにしても備え付けの舞台セットが、丸くて大きなテーブルに、12脚のイスが囲むように置かれています。ああ、ここで12人が激論するんだなあ~と、よく見ると、一番手前のイスだけなぜか子供用のような小さなイス。確かにそのイスを入れて12脚です。誰が座るのかなあ?

・・・と、ロビーからテンションが上がりまくって、気が付いたら私、さっきまでの震えや眠気、気持ち悪さなどの全てを全然感じていなかったのです!「とにかくここまで来れば大丈夫だと思ったの」とニッコリの連れ。

私と連れの席は本当にドまん前。最高の席です。私が通路に近い方、連れは奥のほうに座りました。
すると・・・
どこかで見たような男性が前を通り過ぎました。連れの隣に座ります。誰だっけなあ・・・しっかしデカイなあ。それにパンフレット以外にもたくさん買い物をしたようで、危なっかしく持っています。
デカイ?・・・アッ!!
あの巨体は、私がチケットぴあに並んだ時、私の前で並んでいた、男みたいにデカイ女性だったのです!!
私がそのことを連れに耳打ちすると、一言「大きいねえ!」
まさかこんな運命のめぐり合わせがあったとは・・・一言話しかけて見ようかな、と思いましたが、あの時も会話がなかったくらいなので、止めました。

さあ、開演の時間です。開場は超満員!アナウンスが入り、次第に場内が静かになっていきます。
そして定刻の夜7時。突然、舞台の真ん中にスポットライトが。そしてそこに出てきたのは何と・・・

と、今日はここまで。
いよいよ次回、舞台がスタートします。ご期待下さい!
それでは今日はこの辺で。
フジでした。

『週末に読む極上ミステリ#16』~「ミステリはそれなりに読んでるよ」という方へ①~

2005-11-26 00:00:25 | 
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、いよいよ週明けには舞台『12人の優しい日本人』を見に行くのが今から待ち遠しい、フジでございます。いやあ、公演開始に伴って、新聞などでもしょっちゅうこの芝居の話題が出てきますねえ。つくづく、苦労してでも(眠れなくても、ハトに襲われてでも!)チケット取れてよかったと思うフジなのでした・・・

さ~て、土曜日になりました!寒いですねえ。朝は温かいモーニング・コーヒーと一緒に『極ミス』でお楽しみ頂きたいと思います。
今週から~「ミステリはそれなりに読んでるよ」という方へ~というシリーズがスタートします。年に4~5冊程度ミステリを読んでいる方、あるいはそれ以上でも以下でも結構です。ミステリに興味のある方なら、きっと楽しんでいただけるような、この作家にしか書けないこの作品、というものを厳選してお送りしようという企画です。

第1回目は、いきなり知る人ぞ知る大傑作のご紹介です。
岡嶋二人『99%の誘拐』(講談社文庫、730円税込み)です。

題名がいいですよね。『99%』。限りなく完璧に近い、という意味なのでしょうか?読んで見ないと分かりませんが、惹きつける書名です。
本書は昨年に発売され、最近になって20万部を突破したそうです。
でも、この本、確かに講談社文庫からは昨年に新刊ということで出ましたけれども、書かれたのは1988年という大昔なのです。
何故今、こんなに売れているのか?

書店に行き、本書を一度見て下さい。かかっている帯にそれはもう大きく”第1位”と書かれています。これですよ。本書が売れた原因は。何の1位かは分からなくても、とにかく”1”という文字はインパクトがありますからね。
よく見ると、”この文庫がスゴイ!2005年度”と隅の方に小さく書かれています。”この文庫がスゴイ!”という本があるのです。それのミステリ部門で1位だと言うのですが・・・
実はこの本、講談社から出される前に、徳間書店からひっそりと出版されていたのです。徳間で文庫になったのは1990年です。私、この本を探し当てるのにどれだけ苦労したか!小さい本屋では売っていませんでした。結局新宿の紀伊国屋書店で、やっと1冊手に入れました(ちなみに、本書は今でも徳間書店から文庫が出ているようで、そちらは現在600円と、講談社版より格安です)。
でも、一応ひっそりとでも売っていた物ですよ。講談社に変わったからと言って、いきなり1位になるわけないと思うんですよね。謎です。本当に”2005年”の統計なのか、疑問です。
もし発表当時というのなら、話は分かります。なぜならこの本、当時人気絶頂だったミステリ作家、岡嶋二人氏の手によって書かれ、第10回吉川英治文学新人賞を受賞しているくらいの、超面白本なのです。
先日書いた記事『詳しくは知らないけど、がんばれ、生協の白石さん!』の冒頭で書いたとおり、最初私はこの本を”遅読”していました。到底今日までには間に合わない速度です。それがあんまり面白すぎて、ページを繰る手が止まらず、木曜日の夜に読みきるくらいの超速読になったほどなのです。

先ほど”当時”人気絶頂、という言い方をしたのは、もう”岡嶋二人”という人は存在しないからです。

岡嶋二人というのは、二人の作家が合作したペンネームであり、1989年にこのコンビは解消されています。
本名は徳山淳一氏と井上泉氏のお二人。私思うのですけれど、小説を二人で書くのってとっても大変なのではないでしょうか。藤子不二夫さんのように、分担がきっちり分かれているならまだしも、このお二人は1冊を二人で合議して書いたのだそうです。この辺の経緯は、氏の最後の書『おかしな二人』という本に書かれているのですが、残念ながらこれは絶版。私、書店でハードカバーの本書を見た記憶がありますけれども、意見の食い違いは最後の作品まで厳しいものがあったようです。

しかし今、この『99%の誘拐』が大ヒットしたことを受け、講談社では氏の古い小説を大量に復活させました。その中には、私がのどから手が出るほどほしかった作品『そして扉は閉ざされた』などが入っているのですが、これについてはきっと『極ミス』で特集することになるはず。ご期待下さい!

それでは本書はどんなストーリーなのでしょうか・・・

*ストーリー*

昭和50年11月28日、大手カメラメーカー、リカードの半導体機器開発事業部長であった生駒洋一郎は末期ガンで入院した。死期を察知した生駒は、ノートを用意させ、ある手記を書いた。それは、彼の息子、慎吾に対するものであった。

”慎吾、お前は『三億円強奪事件』というのを覚えているだろうか?”という書き出しで始まる手記は、三億円事件の三ヶ月前に起こった、ある事件についての詳細が記されていた。
”もう一度書いておく。お前が誘拐されたのは、昭和43年の9月9日だったのだ”

慎吾が5歳の頃、幼稚園に行く時間になったある日の生駒邸で、勝手口の脇のツツジの植え込みから、煙が上がっているのが発見された。それに気を取られている間に、慎吾は送迎車の助手席からいなくなっていた。シートには、一枚の紙が置かれていた。

コドモヲ アズカル.
ケイサツ 二 シラセルナ.
シラセタラ コドモハ シヌ.

妻、千賀子の反対を押し切り、警察に通報した洋一郎。逆探知の準備が整う中、犯人から電話がかかる。
・・・五千万、用意しろと言ってるんだ。
「そんな、無理です!」
・・・お前、イコマ電子工業の社長じゃないか。

五千万円は、当時の洋一郎が持っていた全財産だった。イコマ電子工業の今後全てがかかる財産であり、洋一郎にとってあまりにも大きな意味を持つ金額であった。しかし、彼は息子のために全てを投げ打つ覚悟だった。

・・・五千万は、金の延べ棒に変えろ。七十五キロになるはずだ。
「どこへ持っていけばいいんですか?」
・・・今からだと、一時のがいいだろう。
「一時?」
・・・一時に出る新幹線に乗れ。

犯人は、生駒に途中で乗り換え、神戸にくるように指令した。そして、『橘』という喫茶店に来るように、と。
さらに犯人は延べ棒を持つにはあと二人必要だろうとし、会社の人間、鷲尾綱行と間宮富士夫を指定した。二人とも、雑誌の取材で顔が世間に知られている。
周到に計画されたプランに従って、ただ振り回される三人。果たして延べ棒の受け渡しは成功するのか?慎吾の命は?

そして、悪夢は繰り返される・・・

*編集長フジの眼*

まず本書についてご注意申し上げます。書店で本書を見かけたら、一冊手にとって、迷わずレジに向かってください。その際、絶対に裏表紙のあらすじを読んではいけません。この小説に関しては、予備知識が少なければ少ないほど感動があるのです。フジも本来なら、ストーリーなど書きたくはないのです。でも少しは書かなければ、興味も湧かないでしょう。
ストーリーで書いた部分を読む限りでは、ミステリに親しんでいる方は「な~んだ。これなら西村京太郎の方がうまいの書くよ」と思われたかもしれません。でもこの小説、ここからが凄いんです!
細かく書けないのが辛い・・・とにかく、第1章は「ふんふん」と読んでいた方でも、第2章に入った途端「え!何?」とビックリすることでしょう。そして第3章で、完全に圧倒されるはず!

犯人の、あらゆる手段(詳しくは書けませんが、予想をはるかに超えたものです。残念ながら、西村京太郎さんにはここまで描ききれないでしょう)を駆使した、あまりに用意周到な計画。翻弄される警察や家族たち。緊迫する追撃戦が繰り広げられます。果たして、子どもを無事保護することが出来るのか?(実はここ、読んだ人でなければ分からない深い意味があるのです)
途中で「あれ、この犯人、誤解をしているのでは?」と思う箇所が出てきます。しかしそこが最終章に向けての伏線になっているのです。
この物語の題名は『99%の誘拐』。完全犯罪計画の、残りのたった1%とは何なのか?是非最終章を読んで確認して頂きたいと思います。人間の2面性を描ききった本書は、吉川英治文学新人賞を受賞するにふさわしいものだと、私は自信を持って皆さまにお勧めする次第です。

*私的採点*

★★★★1/2 (★5個で満点)

私は、この本を購入したのが今から2年ほど前。今まで何となく読まなかったことを後悔するくらいよく出来た小説です。特に瑕疵は見当たりません。強いて言えば、本書の発表当時に読んでいれば、今の2~3倍は「すげえ!」と思えたことでしょう。

本書ほど自信を持ってお勧めできる小説もそうありません。~「ミステリはそれなりに読んでるよ」という方へ~シリーズを本書でスタートできることをとても嬉しく思っています。
ちなみに、本書を読んでいくら面白かったからと言って、岡嶋氏の『殺人!ザ・東京ドーム』という復刊書の中の一冊だけは手に取らないで下さい。これは残念ながら、かなりの駄作です。犯人は、ちょっとしたサイコです(これ、ネタばらしではありませんが)。

それでは、今日はこの辺で。
フジでした。
今度は舞台『12人の優しい日本人』観劇記でお会いする予定です。
でも、予定は未定って言葉もありますし・・・ねえ?

今年の紅白歌合戦は、白組が勝ってみのもんたがウソ泣き!?

2005-11-23 00:23:15 | テレビ
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、ローソンで昨日から発売されているらしい”チャーギョー”(炒飯+餃子)って何だ!?のフジでございます。炒飯と餃子のセットなのか、それとも餃子の中に炒飯が入っているのか?それって美味しいのか!ボソボソしないのか!疑惑を解くためには今すぐローソンへ行かねば・・・って、私の住む場所から一番近いローソンまでは歩いて20分もかかるのだ!フジはとっても田舎に住んでいるのだ!!

さて、今日の話題は紅白歌合戦であります。なぜフジが紅白について語ろうと思ったかと言いますと・・・gooブログには、どんなテーマを扱ったブログのアクセスが多いかというランキングが発表されているらしいと、私、昨日気付きまして。たまたま見たら1位が紅白ネタだったのです。これは紅白について書けば、アクセスが増えるぞ、へっへっへ。
イヤだー、フジって読者に媚びてるう!最低!

で、紅白であります。私は今年、見るかと聞かれたら・・・見るでしょうね(笑)。と言うか、他に何を見たらいいか分からないんですよね。私それほど格闘技が好きではありませんから、K-1とかダイナマイトとか、あんまり良く知りませんけれども、見る気が起こらないんです。藤原紀香を見る気がしないんです(ウソ)。長谷川京子は、彼女が喋ると試合が終わると言うジンクスがあるらしいので、見る気がしないんです(これはどうやら本当らしい)。
でも司会がみのもんたじゃあなあ~。ウソ泣きするしなあ(と、未だにFNS27時間テレビを引きずる私)。何でも下馬評では、司会は中居正広と仲間由紀恵ということだったそうではないですか。仲間さんの司会、見たかったなあ。あのちょっと鼻にかかった喋り方で、NHKお得意の時代錯誤のコメント聞きたかったなあ。中居くんはもう司会が板についているので、安心して見られると思うんですよね。
みのか~。一部にはみのが民放での視聴率男であることを武器に、自分でNHKに売り込んだという説もあるくらい。あの油ぎった顔で年越しするのは、ちょっとなあ。

一昨日、NHKがこれまで視聴者が紅白で歌ってほしい歌、通称”スキウタ”のアンケートをしてきた結果が放送されました。これが疑惑を呼んでいるんですよね。なぜか1曲1曲の順位の発表が突然見送られました。何故でしょう?そして何でもハガキでの投票が異常に多い。このインターネット時代に。しかも歌手名と曲名が印刷されているハガキだそうです・・・そう、組織票ですね。そのせいで、初めの発表で10位にランクインしていた橋幸夫さんがランク外へ。さらに、SMAPが5曲、ミスチルが4曲も入っているのに紅白の見せ場の一つ、豪華な衣装が毎年話題の美川憲一は1曲も入らずだそうです。
「スキウタが出場歌手選考にどう反映されるか-。視聴者の意見が明白なのに、かえって不透明感が増してしまったのでは」と語るのは、音楽ジャーナリストの渡辺裕二氏。
NHK、ここんとこ疑惑多すぎ。

とまあ、色々書きましたが、皆さんは大晦日、どう過ごす予定ですか?テレビなんぞ見ないで、初詣に行ったほうが楽しいかも?

それでは今日はこの辺で。
最近コメントが少なくてちょっと寂しい、フジでした。
皆さんの年末のご予定など、教えて下されば幸いです。

詳しくは知らないけど、がんばれ、生協の白石さん!

2005-11-22 05:01:18 | ひと

おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、今一番読みたい本は、ミステリではなく『生協の白石さん』!のフジでございます。ミステリ、あきちゃった(笑)。というのは冗談ですが、『極ミス』で3冊を超速読したために、ちょっと疲れ気味。今、大変面白い名作を”遅読”しています。じっくり味あわなきゃね。

 さ~て、今巷を騒がせているのは、”生協の白石さん”なのであります。この方について私が何か付け加える必要があるでしょうか?いまや時の人ですからね。とにかく、大学生協の職員で、学食や購買に関する意見を書く”一言カード”というのに回答するのを担当されていらっしゃいます。しかし中には「単位が欲しい」など、普通だったら黙殺するような質問が出てきます。これを白石さんは「私は単車が欲しい。お互い頑張りましょう」などと、エスプリを効かせた回答で楽しませてくれるのです。

 例えば・・・

Q:おすし屋さんで告白しようと今思っているんですが、どうやって告白したらいいでしょうか。おしえて下さい。お願いします。できればハイソ(high society)な感じでお願いします。

というまるでダウンタウンの『ガキの使いやあらへんで』に出てくるような質問に対して、白石さんの回答は・・・

A:当生協は上記のご相談に対し的確な助言は出来かねます。ご了承下さい。ただもし失恋してしまった場合でも、ハイソな寿司屋は何も言わずサビを多めにし、涙の理由を覆い隠してくれる事と思われます。

 いやあ、カックイイ!とにかく、無理してないのがいい。的確な助言は出来ないと言っておきながら、さらりとシャレたことを言う。いいですねえ。押し付けがましくない。

 もういっちょ、行きましょう。

Q:白石さんの娘さんを下さい!お金ならいくらでもあります!

に対して・・・

A:あいにく、娘はウチにはおりません。大金を貰い損ね残念でなりません。今日の占いで、ぬか喜びに注意とありました。当たったようです。

 ハッハッハ。余裕ですね。それにしても、これ、質問する方も質問する方だなあ。しかしこんなくだらない質問にも真摯に答えるなんて、なかなか出来ませんよ! こんな面白回答が満載の『生協の白石さん』、是非皆さまも読んでみてはいかがでしょうか?

そうそう、『生協の白石さん』は、あのガンダムとコラボしていたのです!11月14日から放送されているテレビCMでは、一言カードにガンダム関係の質問があり、それを白石さんが答えているのです。例えば・・・

Q:モビルスーツが欲しいんですけど・・・

A:残念ながら、取引先の紳士服業者には該当のスーツはございませんでした。主な理由は「クリーニングに出せないから」だそうです。シワ伸ばしは不要では?とは聞き返せませんでした。

 などなど・・・ちょっとこれは白石さんではなくて、放送作家が書いたような香りがしていますけれども。こちらのCM、やたら短いので白石さんの答えが読みきれないかも。ネットで見られるので、一度ご覧になってはいかがでしょうか。http://www.sonymusic.co.jp/anime/destiny/

ちなみに、昨日放送された『SMAP×SMAP』では、”最強の白取さん”というのをやっていました。香取慎吾くん扮する生協職員、白取さんが「名古屋名物ういろうを限界まで食べたら、どんな味がするのでしょうか」という質問に対して、本当にういろう一本分を一気に食べ(彼は拳が口に入るくらいのデカさですからね)、「味は分かりません。真似しないで下さい」と答えていました。白石さんほどエスプリは効いていませんが、スマスマは話題が早いですね。きっと番組のブレーンが優秀なのでしょう。

それでは、今日はこの辺で。
フジでした。


TOEIC公開テストまであと一週間!フジが最後の10か条を伝授します!

2005-11-20 01:14:24 | 英語
おはようございます!『朝刊フジ』日曜版です。いやあ、日曜版をお届けできるのはとっても嬉しいことですね。編集長は、先日マクドナルドで100円マックのチーズバーガーを頼んだら、もう出来ているのに「脇でお待ち下さい・・・次の方?」と呼ぶのです。またそいつがやたら注文するんだ!それをずっと聞いている店員さん。私のチーズバーガーを先に持ってくるのが筋なんじゃないの?と、思わず隣のレジの人に抗議してしまいました、のフジでございます!

さ~て、来週の日曜日に、TOEIC公開テストが行われます。今、追い込みの猛勉強中の方もいらっしゃるのではないでしょうか。あと一週間で勉強の効果が期待できるのは、やっぱり文法問題でしょう。本当は来週の朝に「これを頭に刻み込んで、行ってらっしゃい!」という記事を書きたかったのですが、私、次の月曜日が『12人の優しい日本人』を見に行く予定なのです。多分日曜版のことまで気が回らないでしょう。そこで今週は一週間前特別企画と致しまして、文法問題の超頻出事項を10か条にまとめましたので、本番でもし出題されたら「ラッキー!」と思って、自信満々に答えていただきたいと思います。

それでは行きます。
(1)「the number of +名詞」の後が空欄になっていたら、単数形の動詞の選択肢を選ぶ。また「a number of +名詞」の後が空欄になっていたら、複数形の動詞を選ぶ。前者は「何々の数」後者は「たくさんの」という意味。

(2)data、media、the police、the juryなどが主語になっていて、その後が空欄になっていたら、複数形の動詞の選択肢を選ぶ。特にthe police は複数を意味することを知らない方が多いのに頻出なので注意。

(3)look forward toの後が空欄になっていたら、動詞の原型でなく、動名詞を選ぶ。例:I look forward to working with you.

(4)If I・・・you,I would ・・・形式の仮定法の正答は「were」である。

(5)baggages、equipments、informationsなどは全部間違い。夫々複数形はなし。

(6)a egg、a orange、a hourなどのように母音で始まる単語の冠詞はanが正解。またan university、an Europianなどのように、発音が子音ではじまる場合は間違いなので注意。

(7)despite of 、discuss about、approach to、explain aboutなど、不必要な前置詞がある場合に注意。

(8)repeat it again、return back、new innovationなどのように余分な反復表現が見られる場合があるのに注意。

(9)とにかく主語と動詞の一致には最大限の注意を払う。主語が3単現なのに動詞にSがないなどは頻出!

(10)in spite ofなどの後には名詞句がくる。主語+動詞がくることはありえない。

以上は、国際語学社『TOEICテスト文法完全攻略の480ルール』という本から、特に見て瞬間的に分かる問題を抽出しました。もし以上が出題されたら、迷わず答えて、時間の短縮に務めてください。特に(9)は絶対一問はでるはず!チャンスです!

それでは受験者のみなさん、追い込み頑張って下さいね。風邪がとにかく流行っています。ご注意を。私も風邪を引かずに『12人』を楽しんで来ようと今から楽しみにしています。

それでは今日はこの辺で。
TOEICに興味のない方、今日はごめんなさいね。
フジでした。

『週末に読む極上ミステリ#15』~ミステリになじみのない方のために③~

2005-11-19 00:00:46 | 
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、11月17日(木)には、閲覧者に大入袋を配らなければならないくらいの大アクセスを頂き、本当にありがとうございました!のフジでございます。アクセスランキング入りは惜しくも逃したものの、そんなことは関係ない。フジは本当に幸せ者です。これからも活字中毒者のための長編ブログ『朝刊フジ』をどうぞよろしくお願い致します。

さあ!土曜日です。土曜の朝は、週末をゆっくり読書でも、という方のために『極ミス』をお届けしています。いやあ、『極ミス』ももう15回を迎えましたか。感慨深いなあ・・・
今回はミステリになじみのない方のために③、最終回でございます。ミステリなど読んだことがない、フジが毎週なんでミステリミステリ言ってるのか分からない、という方のために、ここから読んでみてはいかがでしょう、というご紹介をさせて頂いております。

今回は、前回の最後で書きましたように、私の小説の先生(現役作家、あまり人の作品を褒めない)が「こいつは若手で一番実力がある」と言った作家の作品です。光文社カッパノベルズの新人発掘プロジェクト”カッパワン”第1弾に選ばれた「密室の鍵貸します」で本格デビューしました。
私、この人の本、なかなか読む気がしなかったんですよね。その理由は・・・

私、”カッパワン”の数冊の小説のうち、メチャクチャ面白そうな本を買ったんです。林○○(著者の名誉のために、名前は伏せておきます)『見えない精霊』(カッパノベルズ、820円税込み)という本です。これ、詳しいストーリーは全く覚えていないですけれども、とにかく飛行船か何かに男が乗るんです。完全密室状態で男が殺人を犯す、という様な感じじゃなかったかな?ワクワクして読みました。だって男は宙で孤立無援です。他の乗客にも確か顔を見られてます。それでも遂行できるのか(これ、話が全然違ってるかも。興味のある方はネットでお調べ下さい)。話は非常に論理的だし、どんどん読んでいきました。ところが・・・最後の謎解きがそれはもうお粗末。作者さん及びファンの方ごめんなさい。私だってこんなことは書きたくないのです。でもやっぱりあれはないだろう!未読の方のために詳しくは書けませんけれども(とは言ってもこの本、書店に行ってもあれ以来一度も見かけたことがありませんので、手に入らないかも)、ああいうトリックなら、そりゃ迫力あるストーリーが書けるはずだ、と思いました。でもこれだけ書けば皆さん、どんなストーリーか気になって、書店に足を運びたくなるかも。これで林さん及びファンの方はどうかお許しを・・・
・・・そんなわけで、「カッパワン」は信用できない、と思ってしまったのです。
ですが育つ作家は育つもの。今日ご紹介する小説を書かれた作家は、順調に執筆を重ねています。

東川篤哉『交換殺人には向かない夜』(カッパノベルズ、838円+税)です。

この小説を何故選んだか。一つはこの作者がいわゆる”ユーモア推理”と言いますか、作風がどこか飄々としたところで知られているので、ミステリが初めての方も読みやすいのではないか、と考えたからです。
もう一つは、実際この本を手に取った時、カバーに”著者のことば”として、次のようなことが書かれていたからです。

『ミステリ作家には、物語の設計図をきっちり書いてから書き始める人と、設計図は曖昧なままとにかく書き始めてしまう人がいるようです。
後者に属する私は、この物語を書いている間、漠然とした不安を抱えながら「本当にこれで大丈夫なのか?」と怯える毎日。でも結果的には(中略)作者さえ予想しなかった意外な場所に着地しました』

私、少ないながらも小説、脚本などを書いた経験があることは前に述べましたけれども、常に最初に設計図をきっちり作らないと書けないタイプでした。結末を決めずに書かないなんて、ありえない。オチのないコントを書くようなものではないですか。アンガールズだって「ジャンガジャンガ・・・」というグダグダ感を目標にしてネタを書いていると思いますよ。
これについては、ハードボイルド作家の大沢在昌さんなどは「そういうやり方は、後々苦しくなるよ」とアドバイスしているようです。また、大沢さんとも親しい、宮部みゆきさんは「とにかくワープロがなければ書けない。ワープロが物語を紡ぎだしてくれる」という、きわめて天才肌なことをおっしゃっています。どちらがいいんでしょうね。その答えの一つが、本小説の中にあると思い、興味を引かれたのです。
さて、どんな小説なんでしょうか・・・

*ストーリー*

関東の某所に位置する「烏賊川市(いかがわし)」。鵜飼杜夫が構える「鵜飼杜夫探偵事務所」に、大人の魅力溢れる女性、善通寺咲子がやってくる。事務所があるビルのオーナー、二宮朱美も加わり、咲子の話を聞くと、どうやら彼女は夫、春彦が浮気をしているというのである。彼女はその調査を依頼するためにやって来たのだ。
一月二十日に、咲子は家を留守にする。その間、春彦は善通寺家に下宿している遠山真理子と二人きり。何かあるのでは?鵜飼と朱美は、善通寺家に潜入し、監視することになった。ベージュのコートを着て、約束の時間に家を出る咲子・・・

鵜飼事務所の見習い探偵、戸村流平は、以前事件で関わった十乗寺さくらから突然の電話を受ける。彼女は古い友人から、『井上カメラ商会』という店で、もう骨董品と言ってもいい8ミリカメラ『ナカタニSV8』を買ってきてくれと頼まれたというのだ。さくらに好意を持っていた流平は、即座に買い物に付き合うことを約束するのであった。その後、二人はカメラをさくらの友人、元女優の水樹彩子に届けに行く。そこで彼らは向かいの家、権藤の親子喧嘩に巻き込まれるのであった。

観測史上最大の積雪が予想されたその夜、志木刑事は上司の砂川警部に呼び出される。殺人事件だ。彼を迎えに来たのは、バイクに乗って参上した男勝りの和泉刑事。被害者の女性は雪の積もった路上で、わき腹をナイフで突き刺されていた。ベージュのコートは一目見て高級品と分かる代物。
聞き込みを開始した二人。『井上カメラ商会』という店にたどり着く。店主はわき腹を押さえた女性が店の前を右から左に横切って行ったのを見ていた。

善通寺家の夜。突然春彦にかかってきた電話。春彦の顔面が蒼白になる。鵜飼は「これは単なる春彦の浮気話では済まない・・・」。夜中に春彦は、突然家の外に出る。雪の中彼が持っていたのは、ランタンとスコップ。春彦は、池の端にある小便小僧を二メートルほどずらすと、地面をスコップで掘り始めたのだ。そこにあったものとは・・・!

*編集長フジの眼*

この小説の良いところは、とにかく読みやすいということです、実際は上述のように、3個の話が同時進行するというややこしい展開にも拘らず、読んでいてちっとも混乱することがありません。

とにかく随所に仕掛けられた伏線・・・と言いたいところですが、実際は随所に見られるギャグの数々。これ、先に言っておきますけれど、笑えません(笑)。最初はシャレてるな、と思ったのですが、次第にただ大げさなだけになってしまいます。笑いにうるさい人は投げ出すでしょう。でも、そんなギャグに付き合っているうちに、自然と物語の世界に入り込んでいるから不思議です。

ミステリを読みなれている方は、読んでいて大体、3個の話の終着点が見えてくると思います。なぜなら、本書のタイトルが『交換殺人には・・・』というものだからです。「あっ、この人がこの人を殺して、逆にこの人がこの人を・・・」と考えが進むでしょう。

ところが・・・

最後に登場人物が一堂に会する時、「あれ?」と誰しもが思うことでしょう。何が書いてあるのか、一瞬意味が分からないはず。そうなんです。これが本書に仕掛けられた大トリックの序章です。ここから50ページ近くに渡る、大解決編が始まるのですが、そこには驚きに満ちた真相が!
これ、何て言ったらいいんでしょうかねえ。天変地異と言いましょうか、時空を超えたと言いましょうか、とにかく想像だにしなかった解決です。
類例はですねえ・・・そう、皆さんの中に綾辻行人『十角館の殺人』(講談社文庫、620円税込み)をお読みになった方はいらっしゃいますでしょうか。これ、いわゆる”新本格”というムーヴメントを作った記念碑的な作品です。そして、私は大嫌いです(笑)。ファンの方がいらっしゃると思うのであまり書きたくはないのですが、私はこの小説を読んで初めて「ああ、こういう小説が”人間が書けていない”小説というんだなあ」と思いました。私は、人間が書けていない小説なんて、そっちの方が書くのが難しいと思っています。普通に描写すれば、人間が書けてないとは言わせないはず。それがこの本は・・・読んでいて恥ずかしくなるような人間描写。ファンの方本当にごめんなさい。でも私、それ以降は新本格作品アレルギーになったほどです。この本と、トリックがあえて言うならほんの少しかぶってるかな、と思う程度です。
解決編も、非常に読みやすく、読者を置いてきぼりにすることがありません。他のミステリで意味が分からなくて挫折された方も、本書は大丈夫。フジが保証します。
こういう小説を、設計図なしで書けるものなのかなあ。後で気付くと、とにかく伏線の乱れ打ち。ウチの先生が激賞するのも分かるわ。

*私的採点*
★★★★1/2(★5個で満点)

これ、『週刊文春』のミステリーブックレビューより、1/2分多い星の数です。とにかくビックリ。ギャグに覆い隠されているので、伏線が見抜けません。読みやすくて内容が濃い。お奨めです。

さて、以上で~ミステリにあまりなじみのない方のために~シリーズは終了です。どの小説も私には面白かったものばかり。まだ読んでいない方も、是非頭の片隅に入れておいて、書店に足を運んだときに探してみてはいかがでしょうか。

次回からは~ミステリを結構お読みの方のために~(仮)というシリーズがスタートいたします。大雑把に言って、中級編です。これはあくまで一つの目安であり、ミステリに上級も初級もないのですが、私はその方の読書量で一つの基準としています。ミステリに読みなれている方は、ちょっとひねった趣向のものを好むのではないでしょうか。そこで作者の工夫の凝らされた、オリジナリティー溢れる作品をご紹介いたします。言ってみれば私も読書量は中級者。要は私が読みたい作品を読んでしまえ!という、いつもの『極ミス』と一緒です(ウソウソ。ちゃんと作品を厳選してお届けします)。どうぞお楽しみに!

それでは今日はこの辺で。
フジでした。

今度は三谷が真面目に語る!『古畑任三郎』脚本執筆はこんなに大変だった!

2005-11-17 04:21:32 | ひと・ドラマ
おはようございます!他ではこんなにたっぷりの量のブログは読めない、活字中毒者の友、『朝刊フジ』。編集長は、テレビ朝日の深夜には、『全力坂』という、美女が坂をただ走り登るだけの番組がある!のフジでございます。ほんと、初めて見たときはビックリしましたよ。ただそれだけなんですから。私、これ何かのフェチみたいなのを刺激する番組なのかと思いましたが、どうやら私にはそういう趣味はなかったようです・・・

さて、今日は先週お送りしました”三谷幸喜と清水ミチ子が語る『古畑任三郎』最新情報!?”の続編であります。あの日の翌日に放送された”DoCoMo MakingSense”というラジオ(しつこいですが、この番組はインターネットでダイジェストを聞くことが出来ます)では、三谷幸喜さんが『古畑』の執筆の意外な苦労話をしてくれました。面白いので、今日も誌上再録したいと思います。

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三谷「まあ、僕とイチローの出会い・・・」
清水ミチ子「こんばんは、清水ミチ子です」
三谷「こんばんは、三谷幸喜です・・・イチローくんはね」
清水「はい」
三谷「(吹き出して)あの、イチロー”さん”はね」
清水「”さん”ですよね。ビックリしました」
三谷「ま、年下ですからね」
清水「関係ない、関係ない」
三谷「”イチロー”でもいいくらいですよ」
清水「ハッハッハ」
三谷「まあ、イチロー”さん”」
清水「本人いたら全然小さくなってんだろな(笑)」
三谷「イチローさんね、昔から古畑任三郎のすごいファンだったんですって」
清水「何か、書いてありましたね」
三谷「DVDを全巻持ってシアトルに行って、毎日、もうBGMのように流してるらしいんですよ」
清水「へ~」
三谷「お会いして、セリフとかもすごい覚えてるし、『あの回のあのセリフはちょっと変じゃないか』みたいな」
清水「そんなファンなんだ」
三谷「奥さんも好きで、二人で古畑と犯人役になって、家で演じあったりとか」
清水「ハッハッハ」
三谷「してたらしいです」
清水「あっ、そう!・・・あれは?『新撰組』(同じく三谷執筆の大河ドラマ)は?」
三谷「『新撰組』の話は、全く出なかったですね」
清水「DVD差し上げたいわ(笑)」
(フジの注:三谷さんは嫌がる清水さんに『新撰組』のDVDを全巻プレゼントしており、清水さんは全く見ていないそうです)
清水「じゃ、それを知ってですか、最初は」
三谷「イチローさんが好きだって話をね、いろんなところでおっしゃってたんで、プロデューサーが聞いて、でまあ、ダメもとで、まあ『古畑』最後なんでちょっと面白いキャスティング出来ないかって」
清水「うん」
三谷「それでイチローさんダメだったら、とりあえず新庄(剛志)か・・・これは言わない方がいいな」
清水「そんなことないでしょ・・・ハッハッハ、笑っとけ、笑っとけ・・・で、最後ってのは決定なの?」
三谷「だって10年やってますからね。もういいんじゃないかって言う」
清水「そういうもんかね」
三谷「だって僕がきついっすよ」
清水「あっ、そうか」
三谷「もう思いつかないもん」
清水「思いつかないもんって言っちゃった(笑)」
三谷「普通のドラマと違いますからね」
清水「そうだね。犯人が分かってるって言うのも珍しいモンね、日本では」
三谷「あれは、ミステリーの”倒叙法”っていうんですけれども、刑事コロンボもそうですし、昔もっと色々あったんですけど・・・あれは普通のドラマとしても書かなきゃいけないし、あと、僕はミステリー作家でも何でもないのに、殺し方とかトリックみたいなの考えなきゃいけないじゃないですか」
清水「そうね。しかもスポンサーの関係で、映画と違って、『これちょっと、子どもが見てるんで』みたいなことで」
三谷「あの、毒殺はダメなんですよね。スポンサー的に。あと食べものに毒を混ぜるとかも、絶対スポンサーに食料品とか」
清水「そりゃそうだよねえ」
三谷「薬関係があるじゃないですか」
清水「うん、うん」
三谷「あと車も、車でひき殺すとかもだめなんですよ」
清水「ふ~ん」
三谷「車関係あるから・・・それであの・・・例えば銃で撃つとかっていうのも、あんまり銃持ってる人、日本でいないから、ちょっとリアリティーないじゃないですか」
清水「そうだね」
三谷「で、刺し殺すのは、結構子どもに影響・・・」
清水「あ、そうなんだ!」
三谷「もう、殴り殺すくらいしかないんですよ」
清水「へ~、でイチローの凶器は?」
三谷「あの、選手だけに刺殺ってのがありますけど」
清水「全然分からない(笑)」
三谷「今、野球ファンは大爆笑(笑)」
清水「すいません(笑)」
三谷「刺殺じゃないんですよ・・・あの、今回特殊な殺人なんで言えないんですけれども」
清水「じゃ、私がプロデューサーだとしましょう。で『三谷くん、わかった。アイデアももう尽きたと思うかもしれない。だから、ミステリー作家を連れてくる』」
三谷「そういう話もね、あったんですよ、ずっと。ただ純粋なミステリーでもないですからね。なんかちょっとこう、コメディーっぽい感じもあり」
清水「それはだから、三谷くん、あなたですよ。だけど、そのハウツーだけ」
三谷「いや、でもそれが密接にね」
清水「ああ、そっか」
三谷「絡んでくるわけですよ」
清水「そうだ。その演じる人の人間性とかもそうだね」
三谷「それは関係ないですけど(笑)」
清水「ハ~、降りる、私、この仕事(笑)」
三谷「面白おかしく持ってったりするわけじゃないですか」
清水「うんうん」
三谷「でなおかつ人間ドラマでないといけない、とすると、やっぱ一人が書くしかない」
清水「そうか。難しいもんだね」
三谷「あと、あれが大変なんですよ、あの・・・毎回、犯人が色々な世界の人だから、その都度その世界を調べなきゃならない」
清水「そっかそっか」
三谷「今回、野球選手なんですけれども、そんなに現場は出てこなかったからよかったんですけれども、例えば・・・骨董品の収集家だと、骨董品の世界を調べなきゃいけないし、あの将棋の名人だと、将棋の世界を調べなきゃいけないし」
清水「ふんふん」
三谷「歌舞伎役者もあったし、だから毎回・・・」
清水「将棋って、そんなに調べても、ルールなんて知らないでしょ」
三谷「全然知らなかったですけれども、調べて、これはいけると思って書いたんですけども、かなり批判が将棋ファンから」
清水「本当?」
三谷「ピアニストの時は、中村紘子さん」
清水「はい」
三谷「が、新聞で『あれは大嘘だ』みたいなことを書かれちゃったし」
清水「中村紘子さん、アッハッハッハ・・・どういうこと?」
三谷「木の実ナナさんが犯人で、いつも弾いてるピアノじゃないっていうことに気が付かなかったのかな、それが彼女のミスになるんですよ、忘れちゃったけど。それがおかしいと。ピアニストは、いつも弾いてるピアノがもし違うピアノだったら、弾いた瞬間に分かる、見たいな事を・・・」
清水「さすが、へ~・・・それはやっぱり一流だからだよねえ」
三谷「まあ、専門の人から見ればおかしいことはたくさんありますから」
清水「そうなのかなあ」

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いやあ、実に色々苦労があるもんですねえ。
でも私、ここに出てくる話、全部知っていました(笑)。そりゃイチローには及ばなくても、私は古畑を見守ってきましたからね。
それにしてもこうやって文字に起こして見ると、三谷さんの話の面白さもさることながら、清水さんの相づちの打ち方も素晴らしい。一つとして同じ相づちがない!やはり聞き上手の前では、誰でも話し上手になってしまうのでしょうね。

それでは今日はこの辺で。
フジでした。

来年の『月9』は”西遊記”!気になる配役は?

2005-11-15 06:03:31 | ドラマ
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、先日、吉野家で初めて”豚丼”というものを食べた、フジでございます。いや、これが意外といけるのよ。牛にこだわらなくても、これでいいんじゃない?という感じ。でも米国牛肉輸入が解禁で、豚丼の命も残りわずかなのでしょうね。食べといて良かった!

さ~て、先日も本誌上で書きましたが、今クールのテレビドラマには大して面白いものがないなあ、というのがフジの正直な感想であります。これにはコメントを下さった方も『来年に期待です』と書いておられました。

そこで、気が早いですが、来年のドラマ情報!

昨日の夜『SMAP×SMAP』を久しぶりに見ていたら、人気企画『ルーレットボーリング』を放送していました。2つのチームに分かれて対決するのですが、その一方は観月ありささんが率いるブルーチーム。SMAPのメンバーは木村拓哉くんと香取慎吾くん。
司会の中居くんがチームワークのよさを強調するために観月さんと香取くんに「キスしたろ?」と言ったのです。
もう何年も前の話、二人はTBS「いちばんたいせつな人」というドラマで共演していたのです。私、たまたま見ていました。私の最寄り駅のデパートが出てきたりと(その駅はTBS緑山スタジオに比較的近いので、TBSのドラマではよく駅周辺が出てきます)、ちょっと気になるドラマでした。
そこで二人は幼馴染なんだけど、だんだん恋仲になっていくという、まあありがちな役をやってらした。観月さんは今より顔のラインがシャープで、きりっとした印象がありましたね。香取くんは演技はうまかったけど、ラブシーンはちょっと不慣れかなあ、と思いました。
そのラブシーンで、二人はキスをしたのですね。これがSMAPメンバーの間では語り草となっているようで、前にある番組でTBSの過去を振り返る、みたいなのをやっていた時、草薙剛くんが当時のVTRを見て大爆笑していました。確かに慎吾くんにしてはちょっとすかした役だったと言いますか、今の慎吾くんがやったら、私もちょっと笑っちゃうかも、という役でした。芸に迷いが出てましたね。
これを中居くんに突っ込まれていたのです。
慎吾くん曰く「方向性を探していたんですよ」これ、前も言ってました。「いろいろやってみたの」と仲の良い草薙くんに言っていた彼。「それで分かったの。『オレはハットリくんだ』って」
そして昨日のスマスマでは慎吾くん「・・・来年『西遊記』やります!」

テロップによると、来年の1月から放送される『西遊記』は、何と月9枠なのだとか。こういう冒険を待ってたんですよ。でも私の世代では、『西遊記』といえば日本テレビの、堺正章さんバージョンが余りにも強烈な印象を放っています。三蔵法師には夏目雅子さんでした。今の人は知らないかな。でも主題歌の『モンキーマジック』は、当時大人気のゴダイゴの歌で、今でもちょくちょくかかっているのでご存知の方も多いはず。

11月1日に報じられたところによりますと、月9版『西遊記』では、孫悟空を香取慎吾、女好きの紗悟浄にはウッチャンこと内村光良さん(へえ、もう41歳になるのか・・・)が最初に決まっていたとのこと。そして残りの配役も決定しました。三蔵法師には深津絵里さん。三蔵法師って、頭を丸めるんですよね。深津さんも例外ではないそうです。帽子を取るシーンもあるんだとか。
そして猪八戒には、あの『電車男』こと伊藤淳史くん(まだ21歳なの!)が担当。私の世代の『西遊記』では左とん平さんでしたからね。比べるとフレッシュ!
伊藤くん、コメントを求められ「これからは、伊藤淳史といえば猪八戒、猪八戒といえば子豚といわれるようになりたいです」と、後半はよく分からないコメントになりました。
西遊記といえば天竺を目指す一行の物語。今回は、灼熱のオーストラリアでロケが敢行されました。「いままででいちばん勇気のいるロケでした」と語った慎吾くん。砂丘のは大量のハエが襲い掛かります。衣装の色に反応してか、慎吾くんと伊藤くんにハエが集中攻撃。「一生ハエのこと嫌いだ」ともらした慎吾くん。それにしても伊藤くんはついてないですねえ。でもそれが似合ってたりして。
紫外線は日本の4、5倍!三蔵法師はきれいな白い肌が要求されますよね。深津さんも大変だったことでしょう。日傘必携だったそうです。
このロケ、今月1日から6日間、計8箇所にて行われました。ウッチャンは「天竺についたら自然と泣くんじゃないか」と言ったそうです。

恋愛抜きの歴史物、月9枠では初めてのこと。個人的には、『スローダンス』で大けがをした(笑)深津さんに再起をかけて頑張っていただきたいと思っております。

それにしても、三蔵法師や猪八戒などはキーボードに打ち込むとちゃんと変換できるのに、紗悟浄だけは出来ないんだよなあ。何故でしょ?

あ~、眠い。
もう6時になってしまった・・・
それでは今日はこの辺で。
フジでした。

お礼しか書けませんが・・・

2005-11-13 00:00:04 | 雑記
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、うすうす感づいていたけれど、やっぱり左の頬が痛いのは、虫歯のせいだった!のフジでございます。ちょっとお、この年で虫歯かよお。確かに昔神経を抜いたまま未処置にしていた歯が一本あるのは知ってたけど、まさか今頃逆襲してくるとは。やはり『蒟蒻畑』を夜中に頬張るのは考えなければ・・・

さて、日曜です!今日は天気のいいところでも、気温が低めだそうですから、お出かけの方は気をつけてくださいね。
今日はテレビ東京の大橋アナが初グラビアという、私的には衝撃のニュースがあったので書こうと思いましたが、そんなことよりずっと書きたいことが起こりました。

おとといの11月11日(金)に、この『朝刊フジ』に非常にたくさんのアクセスを頂きました。本当にありがとうございました。実はこの日、私は新しい記事を何も投稿していなかったのです。なので何故にこの日、あれほどのアクセスがあったのか、全く分かりません。ですのでただお礼しか書けませんが、今後とも『朝刊フジ』を可愛がって頂きますよう、よろしく御願い致します。

で、大橋アナですが、露出は肩だけだそうです。チッ!期待させやがって・・・って、現役のアナウンサーがそれ以上露出するか!フジのスケベ!

ホント、日曜の朝にこんなグダグダでごめんなさいね。
それでは、よい日曜日を。
フジでした。

『週末に読む極上ミステリ#14』~ミステリになじみのない方のために②~

2005-11-12 00:10:37 | 
おはようございます!『朝刊フジ』編集長は、子どもの時は変化球を投げると肩壊すから、やめたほうがいいよ!のフジでございます。いけねえ、お笑い芸人”レギュラー”のネタ、パクッちまった!

さ~て、土曜の朝です!皆さん、ゆっくりコーヒーでも飲みながら、リラックスして『朝刊フジ』を楽しんでいただけたらと思います。

それにしても昨日の『花より男子』の井上真央ちゃんはかわいい!かわいいだけじゃなく、演技力に確かなものがありますね。「ざけんなよ!」だけじゃなかったんですね(『キッズ・ウォー』です)。私、彼女が『東京フレンドパーク』に出たのを偶然見て、ファンになってしまったんですよね。普段の彼女はとても礼儀正しくて、『キッズ・ウォー』とは全く違った魅力があったんです。『花より男子』はいわゆるF1層(20~34歳の女性)に訴求力が非常にあるようですよ。

F1層と言えば、昨日の23:30~フジ『僕らの音楽2』に、まさにF1層の平原綾香さんが、アンガールズとトークしていました。平原さんって、あんなに笑う方だとは思いませんでした。最新アルバム『From To』では様々な名曲をカバー。久保田利伸『Missing』をスタジオで披露。わあ、ミッシング何年ぶりに聞いたろう。これツボだなあ。大学時代だなあ。当時好きだった人のこと、思い出しました。私の『史上最大の恋の勘違い』も。いつか『朝刊フジ』で書こうかなあ、どうしようかなあ・・・

と、一応『朝刊フジ』もF1層にアピールしといて、と。

それでは行きますよ!
土曜の朝と言えば『極ミス』でございます!!
秋ですねえ、読書の秋。前回から、ミステリ入門向けに私が是非お勧めしたい小説をご紹介しております。もちろん”入門”というのは”簡単””安易”という意味ではありませんので、我こそはミステリ上級者だという方の道場破りも大歓迎しております!

ところで先週、『極ミス』をお届けできなかったのには理由があります。実は本は用意していたのです。でもその本は出版されたばかりの新品。果たしてミステリ紹介人のフジは、新し物ばかり紹介していていいのだろうか?と思ったのです。

やはり、20世紀の黄金期推理小説を、一度は是非読んでいただきたいのです。

例を挙げればきりがない。アガサ・クリスティー、エラリー・クイーン、チェスタトン、クロフツなどなど・・・作者の名前は知らなくても、『そして誰もいなくなった』などの著作の名前はきっといくつかご存知のはず。

そんな中で、私が自信を持ってお勧めするのが、アガサ・クリスティー『白昼の悪魔』(ハヤカワ文庫、756円税込み)です。
初めて読んだときの衝撃を、私は忘れることができません。

確か地中海に面する楽園のような舞台。リゾートホテルにたくさんの観光客が泊まっています。そんな中、美貌の持ち主の元女優が、ビーチで何者かに首を絞められて殺されてしまいます。
悪評の立つのを恐れたホテル側は、事件を警察には届けずに、たまたまヴァカンスを楽しんでいた名探偵、エルキュール・ポアロに真相究明を依頼するのでした。

推理小説というのは・・・というより、アガサ・クリスティーという人は、ものすげーな、と思いました。あまりに精密。それでいて人間味がある。メインの大仕掛けなトリックはもちろん、主人公エルキュール・ポアロの何気ない一言に、実はこんな深い意味があったなんて!という驚き。

それでは今日はこの辺で。
フジでした。

・・・って、オイ!
まともに紹介してないじゃないか!

そうなんです。『白昼の悪魔』は是非ともお読みいただきたいのですが、実は私、この本をいまや持っていないのです。かと言って、大体を覚えているので、もう一度買う気になれません。ですので、ぼんやりでしか内容をご紹介できない。とにかくこの本は、フジが一押しということで、余計な解説抜きに読んでいただきたいのです。
じゃあ、今日は・・・?
実は今回の『極ミス』、私にとって黄金期推理の”次点”というべき、もう一つの小説をご紹介したいのです。
今日ご紹介する小説は、私の中学生時代に部屋の本棚に並んでいたものです。

ディクスン・カー『皇帝のかぎ煙草入れ』(創元推理文庫、540円+税)です。

「オイ、フジ!こんな超有名な作品、いまさら紹介するなよ」と言う方もいらっしゃることが容易に想像できるくらい、それはもう有名な作品です。前回の『極ミス』でご紹介した倉知淳さんも、カーの大ファンなのだそうです。

私、ミステリ(当時は推理小説と呼んでいましたが)を読み始めたのが中学時代なんです。でも何と言っても中学生。今思えば、読んで内容が理解できるはずがないんです。黄金期の推理作家が知恵を絞った作品が、ロクに本も読まない中学生に分かったら、向こうだってたまらないでしょう。
私は当時、この本の宣伝文句『あのアガサ・クリスティーが脱帽したトリック』というのに惹かれて即買いしました。そして読みました。そして、やっぱりよく分かりませんでした(笑)。

ではなぜ今回これを選んだか。以前『極ミス』でご紹介した作家、森博嗣さんが出された『ミステリ工作室』という講談社文庫の本があります。これに森さんが読んできたミステリがたくさん紹介されているのです。この中に『皇帝のかぎ煙草入れ』が載っていました。そこには「トリックは、『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』などでよく使われるものです」と書かれていました。そして「私はできるだけ使わないようにしていますが」とも。
私、どんなトリックかピンと来ました。これはかなりインパクトのあるトリックなのです。でも、ある意味陳腐だとも言えます。私は大好きなんですけれど。
そこで、「これはミステリの楽しさを知るにはいいんじゃないか?」と思ったのです。
再び書店で手にした本書は、昔同様、古いタイプの活字の本ですが、読み直してみて「私は中学時代、この本を本当に手に取ったのだろうか」と思うくらい、全く新鮮でした。
では、そのストーリーとは?

*ストーリー*

美貌の持ち主、イヴ・二ールは、向かいの家に住むロウズ家のトビイ・ロウズと恋に落ちた。イヴには離婚歴があったが、幸いロウズ家には暖かく迎えられた。トビイは彼女に求婚した。
ある日、ロウズ家と一緒に観劇をした夜、部屋に戻ったイヴの元に突然現れたのは、離婚したはずの前夫、ネッド・アトウッドだった。彼は家の鍵を返していなかったのだ。
「きみは本気なのか、あのロウズなんて野郎と結婚なんて」
ネッドは、彼女とよりを戻したかったのだ。「君を愛してる」と連発するネッド。
イヴは向かいの家を気にした。彼女を理想化しているトビイにこのことが知れたら!
襲い掛かろうとするネッド。しかし彼は、向かいのロウズ家ではモーリス・ロウズ卿(トビイの父)が窓を開け、机で骨董品の類を眺めている習慣があるのを知っていた。カーテンを開けて、向かいを覗くネッド。
「モーリス卿はまだ起きてるの?」とイヴ。
「ああ、起きてるよ。虫眼鏡を持って、かぎ煙草入れみたいなものを眺めてる」
それは、ナポレオン一世の遺品である時計型のかぎ煙草入れという非常に由緒正しいものであり、モーリス卿が是非手に入れたいと思っていたものであった。
モーリス卿がこちらに気付いていないと知ったネッドは、イヴを捕まえた。その時、偶然にもトビイからの電話があり助けられたイヴ。
ネッドはモーリス卿に向かって自分の存在を叫ぼうとした。カーテンを開けると・・・
誰かが卿の部屋から出て行くところだった。ノブを回す手から、茶色い手袋をしていると分かった。
モーリス卿は、血まみれだった。
双眼鏡で、卿が火かき棒で頭を割られているのを確認したイヴとネッド。
「ネッド、帰らなくては。早く!」間違いなく、ロウズ家の誰かがイヴを呼びに来る!
表通りでは、警官の声が聞こえる。
焦ったイヴは、ネッドを階段の上から突き落としてしまう。
鼻血を出したネッド。とにかく彼を勝手口から出したイヴ。しかしイヴが家の中へ戻ろうとした時、ドアがカチンという音を立てたのだ。鍵がかかった!
通りでは、トビイがイヴに会いに来ようとしていた。警官に止められていたのだ。早く戻らなくては!

それからちょうど一週間後、警察署長のゴロンは、友のダーモット・キンロス博士に言った。
「モーリス・ローズ卿殺しの容疑で、イヴ・二ール夫人を検挙することにしたよ」

*編集長フジの眼

皆さん、このストーリーの中に、既にトリックが隠されているのですよ。フジは今、とても冒険してます。おお、怖!

皆さん「なぜイヴが?」と思われたでしょうね。実は様々な状況証拠が、イヴを指し示していたのです。
彼女のアリバイを証明してくれるのは、ロウズ家に一番知られたくないネッドしかいないのです!
筋立ては実にシンプル。それゆえに、イヴはどうなってしまうのか、読む私たちも思わずのめりこんでしまうのです。ページを繰る手が止まりません。
よく「推理小説は人間が描けていない」とおっしゃる方がいます。私も、そういう小説を知っています。でもこの本のように、人間の緊迫した状況を描くことに非常に丁寧なものは、やはり生き残るんでしょうね。 

物語はキンロス博士の慧眼で、思いもよらぬところへ。謎の手紙や意外な人物登場など、とにかくあきさせません。一体どうなってしまうのか?
解決編はかなりのボリュームで、もしかしたら入門者向けではないかも、と危惧するのですが、読むほどに、ここまで考え抜かれていたとは!と驚嘆してしまいます。トリックはとても洗練された使い方をされており、思わず納得です。それにしても完壁主義だなあ。こんなに完璧じゃ、うつ病になっちゃうんじゃないかなあ、と要らぬ心配すらしてしまうほど。

犯人については・・・私、どこまで申し上げたらいいんでしょうか。これは皆さんの感想に委ねたほうがいいかな、と思うのです。読み手の期待のし具合によって、満足度に違いが出てくると思うからです。だって、薄い本ですよ。よくあるじゃないですか、登場人物表を何度も見なければ、誰が誰やらわからないという分厚い小説。そういうのなら、とんでもない人を犯人にできるでしょうが、今回のところは、常識的な判断で。

それにしてもこういう小説を、カーが初めて書いたという事実をかみ締めていただきたいのです。黄金期の推理小説作家たちがいかに偉大だったかに思いを馳せると、今から70年近く前に書かれた小説も、なかなか楽しいではありませんか?

*私的採点*

★★★☆☆(★5つで満点)

この採点は、正直言って迷いました。いろいろ理屈も考えました。3個では読んでくれないのではないかとも思いました。でも私のミステリの神様がどうしても「3個」とささやくのです。結局*編集長フジの眼*で書いた解決編と犯人の所を汲んで、少し割り引いておこう、ということです。としても、大半は★5個つけてもいい出来であることを保証いたしますので、アマゾンではありませんが、これはあくまでも”私的”採点と言うことで、是非お読みになった上で、ご自身で星を決めて下さい。ちなみにアマゾンの評価は★4と1/2個という非常に高いものであることを、付け加えさせていただきます。

本書、2005年で第51版を迎えたロングセラーです。現代でも充分通用するカーの名作を、是非あなたの本棚にも1冊!

さて、来週は~ミステリになじみのない方のために③~でございます。これでこのシリーズは完結です。本来なら今週のために準備していた小説をご紹介します。私の小説の先生をして「こいつが若手で一番力がある」と言わしめ、年末のミステリベスト10にはかなりの確率で入ることが予想される作家の本のご紹介です(もっとも、私は先生がそんな風に思っていることを昨日知ったばかりなので、選んだのは私の判断です)。これはミステリ黒帯を自認する方も含めて、是非とも読み逃しのなきよう、宜しく御願い致します。

それでは、今度はほんとにこの辺で。
フジでした。