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西澤保彦 「身代わり」 幻冬舎

2012-10-05 | 読書



これは前作の「依存」に続く作品で、メーンキャラクター(だそうだ)の四人の学生と、前作の顔見知りの警官が登場.
少し前の経緯などをたどりながら読まないといけない部分もあるが、発行順でなくても新しい事件にはついていける。
短期間に起きた話だが、前作の4人、目撃者、警官、被害者、被害者の親族など、登場人物が多い。
「身代わり」ということでそれぞれの関係を整理しないと、ストーリーが先滑りして、読み直さないといけないこともあった。

     (ニックネーム)
辺見裕輔(ボンちゃん)国立安槻(あつき)大学生
曽根崎洋(ソネヒロ) 死亡
石丸尚之(シシマル)   
高瀬千帆(タカチ)    
匠千暁(♂)(タック)  
羽迫由紀子(ウサコ)   
(コイケ)        
高良日南子(ナコorヒナ) 
飯野ひなた(ヒナ)   
(ハヤタ隊員)      
贄川(ニーチェ)     

鯉登(こいと)あかり 妊娠死亡  藍香(アイキョウ)学園
       母 直子
       父 一喜 

芳谷(はがや)朔美 死亡 藍香(アイキョウ)学園図書館司書
瀬尾朔太郎  朔美の婚約者

盛田清作   目撃者
       妻操子(みさこ)

三津屋怜 4月に結婚

七瀬  刑事 
平塚  〃
佐伯  〃
鶴橋巡査部長 鎌苑(カマクサ)交番
明瀬(みょうせ)巡査 鎌苑交番 死亡

 
<居酒屋 さんぺい>店主セリさん
常与神社
名理(ナトリ)家
酒屋<すが>

***

8月17日 夏休みも半ば過ぎ。夏恒例の「飲み会」が終わり、二次会になだれ込むところが、ソネヒロとシシマルが抜けた。

ソネヒロは会場(しけた居酒屋)を右手に折れて、結構先にある公園で、殺された。

帰宅拒否症で残業の後、必ずベンチで時間調整をする盛田は、自宅では禁じられているタバコをくわえたまま、近くで男女の争う声を聞いた。その後逃走する女を暗闇越しに目撃した。

しばらくして、藍香学園学園二年生の鯉登あかりが自宅で殴られ首を絞められて殺害された、遺体のあるリビングに巡査明瀬の死体もあった。犯行時間に4時間の間があった。

鯉登あかりは妊娠3ヶ月だった。彼女は年のわりに言動も大人びて人気があり、特に図書館司書の芳谷朔美になついていた。部屋に入り浸り、自作の作品「身代わり」を読んでもらって指導を受けていた。
だが芳谷朔美は玉の輿だと噂の許婚者と、近々婚前旅行に出ることになっていた。鯉登あかりとの間の不仲説がひそかに流れてはいたが。

鯉登あかりは婚約者とも顔見知りだったが、殺されたとき、芳谷朔美は旅行中で完璧なアリバイが有った。

この二つの事件のつながりも証拠も無いまま日が過ぎていった。
ところが帰国した芳谷朔美が殺され、「天狗つり」という呪いの儀式を行えば、霊験あらたかだと噂の、常与神社の境内に遺棄されていた。

国立安槻大生4人と、それを取り巻く面々が推理をたくましくする。
刑事たちはその推理を参考に情報を整理分析する。
ひそかに(こんな捜査状況を漏らしていいのだろうか)とも思うのだが、馴染みの彼らの話す推理は現実味があり捨てがたい。
そして、理解不能に見えた3つの殺人事件は、何とかつながり、解決の光が見える。

* * *

という読んでいても先が見えない事件で、その上読みづらい名前や地名が出て、最初は少しイラついた。
上のように書き出してみると、事件とのつながりがよくわかる。
事件としては単純だと思うがこういう風に繋げると作者も只者ではないといえる。
有りそうでなさそうな、犯人の心理や方法など、小説だから納得できるという部分も多いが、特異な事件にはそうたびたび遭遇するものではない。となればちょっと無理のある展開も作者の意図したところで、事実は小説よりも奇なり。殺人者の心理に巻き込まれ共鳴すれば、こういうことも起きるかもしれないが。
パズルのようなストーリーに惹かれて読んでみるのもいい。頭の疲れていないときに。



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1 コメント

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疲れた頭をほぐす新作 (琢馬)
2013-07-11 07:05:21
新作短編集の『ぬいぐるみ警部の帰還』を読んでみました。
読後感も良い感じでした。明るいのがいいですよ。
短編集なので、ちょっとした時間に1編のみ・・・
とかですね~。

いろんなサイトで感想とか読んでいると、次は何を読むか悩みますが、
http://www.birthday-energy.co.jp/
ってサイトで、作者の西澤さんを評価する記事を見つけました。
これからがますます楽しみらしいです。
相当変わり者っていうのが、どれくらいなのかがちょっと気になるところ。

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