医療と適当に折り合いをつける内科医

医師国家試験浪人後の適当な医療を目指す内科医を追います

健康な細胞はノリで構成されているのだろうか

2013-09-29 23:52:20 | 日記
メタボローム解析の先生の話を聞いてきた。簡単に説明すると、とある細胞が代謝して作るものを数千種類一気に解析できる技術である。がん細胞と正常細胞を比べてがん細胞に多い物質を同定し、腫瘍マーカーにしたり、原因の探索ができる。それは面白い話で、ココでは書けないような産物が同定されている。完全に因果関係が証明されない限り論文化も難しいだろう。下手なことを公表すると首が飛んでしまうようである。是非完璧に証明するところまでいってほしいものである。
しかし一方でこういう概念が頭をよぎってしまうのである。それって、はっきりいってとある人と標準語をしゃべる人の話言葉の50音を全部さらいだして、この人は標準より「よ」が多いから和歌山弁だとか「が」が多いから高知弁だとか、そういうレベルの解析に近いのでは?結局話しの内容については何にも解析できていないような気がするのである。もう一つ言うならば、とある音楽の音符一つをとってきて何かものを言っているような。いや、それが極端なら楽譜全部でもいい。その楽譜の音のつながりと符号だけをみて何かを言うような。誰がどう演奏するかで傑作にも駄作にもなるのに。
今私が研究している内容も、生命が誕生し、魚が海から川、陸へ上って行き、そこから二足歩行する生き物へ変遷するその仮定を後追いするような発想で腎臓の仕組みに迫るようにしている。そう、腎臓、尿細管の仕組みだけをとってもその生命の歴史の歩みがそこに完全に内封されている。しかし、いわゆる元気な腎臓と病気の腎臓はどこに差があるのか、これはなかなか難しい問題で、論文を見てもあの物質が原因だ、この物質が原因だと百花繚乱である。
最近ひらめいたのは、もしかしたら元気な、というのはとあるリズムを持った躍動感のある体内の代謝なのではないかと。つまり一つの代謝産物が影響しているのではなく、またいくつかの相互作用なんかでもなく、簡単にいえば沢山の代謝産物のノリの良さが健康をキープしているのではないかと。しかしそうなると、研究内容はとある曲がなぜ最高にノレるのか、とかこのクラシックはなぜ身も震えるほど感動するのか、とかそういう世界に足を踏み入れるはめになるし、非常に難しい問題にもなってしまう。いや、実際人間の健康なんてそれぐらい仕組みは難しいものなのでしょうが。ただ、もしかしたらこのノリも人間の歴史の中で今まで繰り広げてきた生命活動に関係しているような気はする。

コメントを投稿