カエサルの世界

今年(2019年)1月中旬から「休載中」ということになっているのだけど、まあ、ときどき更新しています。

キンドル・ペーパーホワイト

2013年01月18日 | ☆読書とか    

 「キンドル・ペーパーホワイト」を買って1週間、まだ使い勝手がわからないというところはあるんですけど、その長所・短所などについてレポートしたいと思います。主に「紙の本」との比較、ついでに「液晶モノ」との比較もしてみたいと思います。点数をつけてみたいと思っています。
 いろんな写真も出てくるわけですけど、写真とその後のテキストの内容とはバラバラです。「写真は本文の内容とは関係がありません」ということになるでしょうか。予めご了承ください。

 最初に、キンドルで読んだ本について書いておくと、林芙美子『新版 放浪記』、坂口安吾『心霊殺人事件』、森鴎外『山椒大夫』、小栗虫太郎『人外魔境』、小林多喜二『蟹工船』、長谷川時雨『平塚明子(らいてう)』・・・というところです。みんな、青空文庫です。みんな、0円で購入しました。
 『放浪記』以外は短編小説です。短編集ではなく、雑誌でもなく、「短編を短編として読む」というのはけっこう新鮮な読書体験です。それに、3つ、4つの作品を相前後して読み始めて、気に入った作品を読み進めるというのも面白いです。みんな、キンドル+青空文庫だからこそできることですね。

 あ。それから、この記事でただ「キンドル」と書いてあるときは、キンドル・ペーパーホワイトのことです。


 文字の読みやすさ・・・キンドル(9点)、紙の本(8点)、液晶(4点)

 キンドルの文字は、とにかく、読みやすいです。まず、紙の印刷物と比べて遜色ないです。暗いところでも読めるという点では、紙の本に比べて圧倒的なパフォーマンスがあります。もちろん、明るいところでも読めます。ただし、紙本に比べれば光を反射しやすいですね。トータルで考えると、紙の本よりも+1というところだと思います。
 液晶だって文字が読めることは読めるわけですけど、読書(何時間も続けて文字ばかりを読む)ということを考えると、目が疲れます。暗いところでも読めるというのはキンドル同様なんだけど、明るいところでは読めなくなってしまうというのも大きな欠点だと思います。キンドルに比べて-5としました。

 写真は、文庫本と並べてみたところです。この写真を撮ってみて吃驚したんだけど、キンドルって、縦・横は、文庫本とほぼ同じようなサイズなんですね。文庫本と比べて圧倒的に薄いので、相対的なイメージとして、もっと大きいのかと思っていました。要するに、文庫本が入るようなスペース(バッグとかポケットとか)にはスッポリと入ってしまうということですね。


 本としての読みやすさ・・・キンドル(10点)、紙の本(5点)、液晶(9点)

 紙の本は放っておくと閉じてしまうので常に手を添えていなければならない(写真参照のこと。ちなみに、右のページの下にキンドルがあります。)わけですけど、キンドルや液晶はその必要がありません。机の上などにポンと置いておけば、読めるのですね。これ、すごく楽です。仰向けになって読むようなときは手で持たねばなりませんが、持っていればいいだけで、開いておく(両手を使う、または、片手の5本の指を巧妙に使う)必要はありません。キンドルを使い始めてすぐに気がついたことなんだけど、すごく楽です。
 文字の大きさ、行間、余白などを変えられるというのも、キンドル・液晶に共通するメリット。縦にしても横にしてもいいというあたりは、紙の本では太刀打ちできません。こういうのに慣れちゃったら、紙の本は読めなくなってしまうかもしれません。
 キンドルと液晶で差をつけたのは、重さの違いです。「液晶」といってもいろんな機種があるわけだけど、キンドル・ペーパーホワイトが213g、キンドル・ファイアHDが395gというスペックを考えると、1点くらいの差をつけてもいいだろうと思いました。


 ページめくり・・・キンドル(9点)、紙の本(9点)

 ふつうに1ページをめくる、戻すという操作については、紙の本よりキンドルの方が上だと思います。紙の本だと、ページがくっついていて、2枚いっしょにめくっちゃうなんてことがありますからね。キンドルも、操作に慣れていないということもあって、うまくめくれないこともありますけど、そうしたことを考えた上でも、キンドルの方が上ですね。ある場面を探して矢継ぎ早にページをめくったりするとき、圧倒的な違いが出ます。
 ただし、そういう、ある場面を探すようなとき、紙の本では何十ページもまとめてめくることがあるわけですが、キンドルではそういうことができません。キンドルには「移動」という機能があるのだけど、非常におそまつです。これは、インターフェースの改善を要求したいところですね。たとえば、1から100までのページ数(相対値)のバーが表示されて、どこかをタップすればイッキに移動できる・・・みたいなことができればよいと思います。

 キンドルでも、ページをめくるときは1ページまるごと変わってしまいます。でも、最後の1行を残すというやり方もあるんじゃないかな。たとえば、1ページが1行目から10行目までだったとすれば、次のページは、11行目から20行目ではなく、10行目から19行目にするわけです。その次のページは、19行目から28行目までにするわけです。
 人によって違うと思いますが、カエサルの場合、最後の行を読み始めたところでページをめくり始め、ページをめくりながら最後の行を読む・・・ということをやっているような気がします。それくらいのタイミングじゃないと、ページごしの文章がつながらなかったりするわけです。
 その他にも、ページをめくるのではなく、スクロールするということを考えることもできます。あくまでも、オプションとして・・・ということですけどね。ちょうどいい場面がページをまたいでいるというようなとき、圧倒的なパフォーマンスを見せてくれると思います。そういう機能、欲しいですね。
 キンドルの場合、痛し痒しなのは、ページ数が一定ではないということです。文字の大きさとかを変えることができますから、そのことに伴って、ページ数や行数が変わってしまうわけです。ページがわりの数値が表示されているのだけど、直感的にわかりません。このあたりをどう扱っていくかも、今後の課題ですね。
 まあ、要するに、キンドルのインターフェース、まだまだ未熟だと言うことができると思います。こういうところが熟成してくると、世の中から「紙の本」は消えちゃうでしょうね。

 写真は、文庫本とキンドルとの文字の読みやすさの比較・・・なんだけど、このあたりは写真の撮り方(明るさ、コントラストなど)で変わっちゃうので、あくまでも参考として見てください。


 バッテリー・・・・キンドル(8点)、紙の本(10点)、液晶(2点)

 キンドルは電子機器なので、バッテリーが必要です。でも、公称8週間(Wi-Fi接続をしない場合)という省電力設計。まだ、ほんの数日しか使っていないのだけど、Wi-Fiを使い続けても、1週間や2週間くらいは余裕でもつという感じがしています。まあ、月に1回くらいはUSBにつないでやればいいかな・・・という感じです。
 液晶モノだと、省電力という点では定評のあるキンドル・ファイアHDでも公称11時間ということで、この場合、毎日充電しなければならないわけですよね。これは、けっこう大変だろうと思いました。

 写真は、キンドルの文字のアップです。これも、参考写真ということになるのだけど、ルビまでクッキリと読めるというあたりは賞賛に値すると思います。


 メモリ・・・キンドル(9点)、紙の本(1点)、液晶(10点)

 ちゃんと計算したわけではないんですけど、ふつう、1冊の本って、1メガバイトくらいの情報量だと思うのですよ。キンドル・ペーパーホワイトのメモリ容量は2ギガバイトということなので、まあ、2000冊分くらいの本をストックしておくことができるということになります。キンドル・ファイアの場合は8~32ギガということになるので、本だけに特化すれば図書館ができますね。
 カエサルは、出張に行くし、旅行に行くこともあります。そういうとき、読みかけの本を持っていったりすることがあります。持っていくかどうかで悩むことがあります。3泊4日の旅行だったりすると、何冊の本を持っていくかで悩みます。上・中・下とか、分冊になっている本を読むことが多いのだけど、旅先で続きが読めなくなって困ったときもあるし、まったく読まなかったのに何冊もの本を持ち歩いたということもあります。
 そんなこんなのとき、キンドルや液晶モノならノープロブレムなのですね。まあ、子どもたちがゲーム機やヘッドフォンオーディオを携帯しているような感じ。常にキンドルを携帯していて、読みたいときに読みたい本を読めばいい・・・ということになります。

 ただし、インデックス機能については、課題があります。
 カエサルは、今、20冊くらいの本をダウンロードしていて、そのうち4~5冊を読み終えたという状況なのだけど、こんな状況でも、「蔵書」を調べるためには手間がかかるのですね。これが、数百冊もの本(未読・既読)をストックしているという状況になったら、その中から読みたい本を探すというのは至難の業だと思います。購入日、読み始めた日、読み終えた日、作者名、作品名とかでソートさせて欲しいです。キンドルではできなくても、パソコンでソートしておけるとか、そういう風にして欲しいです。
 このあたり、まだまだ未熟だな・・・と思いました。成熟していくのが楽しみですね。


 辞書機能・・・キンドル(5点)、紙の本(1点)

 写真は、『放浪記』の中に「モスリン」という言葉が出てきたので、その言葉を長押ししたところです。こんな感じで、辞書にアクセスして、その意味を表示してくれるんですね。初めて使ったときはちょっと感動しました。
 紙の本を読む場合、傍らに辞書を置いておいて、辞書を引きながら読むっていう人もいるみたいなんだけど、カエサルは、そんな読み方はしません。あまりにも気になる言葉については、後で、ネットで調べたりはしますけどね。本を読んでいるときに出てきた知らない言葉は、基本的に、放って置いていました。それが、こんな簡単に調べることができるんですね。
 でも、この辞書機能は、ちょっとお粗末です。「○○を参照のこと」みたいになったときに、「○○」へリンクできないんですよ。せめてそれくらいの機能はつけて欲しかったですね。
 ついでに言っちゃえば、キンドルは、辞書だけでなく、グーグルやウィキペディアにアクセスすることもできるのですよ。でも、その使い勝手については、推して知るべしです。はっきり言って、使えません。
 まあ、紙の本では、そういうことが一切できないわけで、それに比べれば高評価をしていいと思いますけど、まあ、5点どまりかな。まだまだノビシロがあります。
 それと、紙の本だって、注釈とかがついていたりして役に立つことは少なくないので、0点ではなく、1点としました。




   ブックマーク機能・メモ機能・・・キンドル(5)、紙の本(1)

 紙の本には、栞というものがあります。付箋紙を利用することもできるし、ページを折っておくということもできます。文章に線を引いたり、余白に何かを書き込むということもできます。そうしたことが、キンドルだと、もっと手軽にできるわけですね。もちろん、本を汚しちゃうということもありません。
 でも、まだ、そうした機能の使い方がよくわかりません。上手に使えばすごく便利なんだろうなとは思うけど、今のところ、ないよりはあった方がよいというくらいの印象しかありません。
 期待はしているのだけど、不安もあります。特に、1冊で何カ所もメモして、そういうのが何十冊分もたまったりしたようなとき、メモを検索する機能がないような気がするのですよ。

 写真は、文字のサイズを最小/最大にしたところ・・・だと思います。


 日本で「本を読む人」って、3000万人くらいなんだそうですよ。たくさん読む人やときどき読む人を含めて、3000万人。国民の4分の1くらいですね。そう言われてみると、そうなのかなと思ったりします。
 8000万の「本を読まない人」にとっては、キンドル・ペーパーホワイトは無用の長物。ゲームをしたい、とか、AVコンテンツを楽しみたいという人は液晶モノを買った方がいいと思います。
 でも、「本を読む人」にとっては、キンドル・ペーパーホワイトは凄いと思います。インターフェイスとかはまだ未熟だけど、それでも凄いです。0円で購入できる青空文庫のことを考えると、とんでもなく凄いです。
 「ペーパーレス」なんて言葉が出てきたのは四半世紀も前の話だと思うのだけど、いよいよ始まったな・・・という気がしています。


        ← 応援クリック、よろしくお願いします。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿