喜多流職分会六月自主公演能(東京・喜多六平太記念能楽堂)
ちょっと贅沢をして、東京まで遠征。遠方からなので、ひと月前、指定席予約の電話を受付開始と同時にかけ始めたのだけれども、ようやくつながったときには完売した後だった。
当日10:30から整理券を配ると聞き、何時頃から人が並び始めるのか尋ねると、「友枝先生のときは予測がつきません」とのお答え。なので、新幹線で品川に着いたらとるものもとりあえず、能楽堂へ直行。
到着9:30で、もらえた整理券は「no.60」。列の前の方に知り合いがいて、彼は9:00で「35」、後方にも知り合いがいて10:00で「135」。ちなみに開場は11:00、開演は11:45。関西ではあり得ないことだ。亡き友枝喜久夫さんの舞台も見ていたという知人曰く「昔は、もうちょっとのどかでしたけどねぇ」。
「頼政」
黒い顔のお爺さん、姿の見える前「のおのお〜」と呼びかける声からしてすでに人間ではなかった。後シテにいたってはメタリック装備で、第一印象マグマ大使。やはり人間ではなかった。
アイの部分は「息子の愛馬に焼き印を入れられたから怒った」という省略形で、その後頼政側も一矢報いたくだりは語られなかった。(ために通常より早く休憩時間が来て、食堂のおばさんが焦っていた)。
たしかに、頼政メインで謀反の理由を語るだけならこのほうが無駄がなくてわかりやすいと思う。ただ、泣く泣く手放した愛馬に焼き鏝を入れられ鞭打たれた仲綱の苦しさはあっさり流されてしまったような気もする。
もしかすると男性諸氏は、ここで頼政、仲綱の受けた〈屈辱〉にぐっとくるのかもしれないけれども、わたしなどは、そんなメンツの問題よりも、愛する者(馬)を傷つけられても守ってやれない辛さ苦しさのほうにこそ感情移入しがちだ。そこがしきれなかった憾みはあるかもしれない。
とはいえ、仕返しにまた別の馬を虐めたからって自慢にはならないな、たしかに。
演目のクライマックス、平家側が川を馬で渡るくだり、謡がノリノリでテンポを上げてくると思いきや、逆にゆっくりゆっくり抑えめに聞こえた。すると意外なことに、場面の激しさがいっそう際だち迫ってくるのが、なんとも面白かった。
TVや映画では、よく戦闘や災害など、最も激しく悲惨な場面を、リアルな音声を消してゆったりしたBGMのもと、映像はスローモーションで見せたりする。お能でもこんなことができるとは! 一瞬「ロード・オブ・ザ・リング」を観ているような錯覚に陥る。
今回特殊な配慮があったのか、地謡にいらした粟谷明生師のブログでお尋ねしたら、そういうわけでもなかったらしい。自然に生まれた効果なのだろうか。
来月また「頼政」を見るチャンスがあるので、そのあたりにも注目してみよう。
もう何十年もお能を観ている知人曰く、今日のお囃子はよかったらしい。他の人々もそう言っていた。だからきっと素晴らしかったのだ。
ああ、でも残念ながら、わたしには全然わからなかった。なんだか覇気のないお囃子だなぁなどと思って聴いてしまった。音よりもまず、ヴィジュアル的に、姿勢が悪いのにびっくりした。こんなにダレた格好で坐っている囃子方は初めて見た。ある意味、新鮮。
「蝸牛」
山本家のあの尻上がりのイントネーションはどうも苦手だな。でも、今日の蝸牛はしつこいくらいにおかしくて、素直に笑ってしまった。よかったです。
「誓願寺」
ふっくら顔の和泉式部。アイの語りが狂言師といようりもワキ方のようだった。
太鼓方、お名前のわりに若いひとだなぁと思っていたら、実際に太鼓を使う場面が来るまで坐っている役だったらしい。あとは叩くだけというところまでセッティングが済んだところへ、おもむろに惣右衛門さんが出てきて叩いていた。うーん、お爺ちゃん、そういうのあり?
★今日の発見:六平太記念能楽堂は来月から飲食物持ち込み可になるらしい。
↑
と思ったけど違うらしい(_ _;)
*******
仕舞「兼平」松井駿介
「杜若」キリ 内田成信
「天鼓」佐々木多門
能 「頼政」
シテ:友枝昭世 ワキ:宝生閑 アイ:山本則重
笛:藤田大五郎 小鼓:北村治 大鼓:柿原崇志
狂言「蝸牛」シテ:山本則俊 アド:遠藤博義、山本則重
仕舞「山姥」キリ 大村定
能 「誓願寺」
シテ:大島政允 ワキ:工藤和哉 ワキツレ:大日方寛、梅村昌功
アイ:遠藤博義
笛:一噌仙幸 小鼓:亀井俊一 大鼓:亀井広忠 太鼓:金春惣右衛門
ちょっと贅沢をして、東京まで遠征。遠方からなので、ひと月前、指定席予約の電話を受付開始と同時にかけ始めたのだけれども、ようやくつながったときには完売した後だった。
当日10:30から整理券を配ると聞き、何時頃から人が並び始めるのか尋ねると、「友枝先生のときは予測がつきません」とのお答え。なので、新幹線で品川に着いたらとるものもとりあえず、能楽堂へ直行。
到着9:30で、もらえた整理券は「no.60」。列の前の方に知り合いがいて、彼は9:00で「35」、後方にも知り合いがいて10:00で「135」。ちなみに開場は11:00、開演は11:45。関西ではあり得ないことだ。亡き友枝喜久夫さんの舞台も見ていたという知人曰く「昔は、もうちょっとのどかでしたけどねぇ」。
「頼政」
黒い顔のお爺さん、姿の見える前「のおのお〜」と呼びかける声からしてすでに人間ではなかった。後シテにいたってはメタリック装備で、第一印象マグマ大使。やはり人間ではなかった。
アイの部分は「息子の愛馬に焼き印を入れられたから怒った」という省略形で、その後頼政側も一矢報いたくだりは語られなかった。(ために通常より早く休憩時間が来て、食堂のおばさんが焦っていた)。
たしかに、頼政メインで謀反の理由を語るだけならこのほうが無駄がなくてわかりやすいと思う。ただ、泣く泣く手放した愛馬に焼き鏝を入れられ鞭打たれた仲綱の苦しさはあっさり流されてしまったような気もする。
もしかすると男性諸氏は、ここで頼政、仲綱の受けた〈屈辱〉にぐっとくるのかもしれないけれども、わたしなどは、そんなメンツの問題よりも、愛する者(馬)を傷つけられても守ってやれない辛さ苦しさのほうにこそ感情移入しがちだ。そこがしきれなかった憾みはあるかもしれない。
とはいえ、仕返しにまた別の馬を虐めたからって自慢にはならないな、たしかに。
演目のクライマックス、平家側が川を馬で渡るくだり、謡がノリノリでテンポを上げてくると思いきや、逆にゆっくりゆっくり抑えめに聞こえた。すると意外なことに、場面の激しさがいっそう際だち迫ってくるのが、なんとも面白かった。
TVや映画では、よく戦闘や災害など、最も激しく悲惨な場面を、リアルな音声を消してゆったりしたBGMのもと、映像はスローモーションで見せたりする。お能でもこんなことができるとは! 一瞬「ロード・オブ・ザ・リング」を観ているような錯覚に陥る。
今回特殊な配慮があったのか、地謡にいらした粟谷明生師のブログでお尋ねしたら、そういうわけでもなかったらしい。自然に生まれた効果なのだろうか。
来月また「頼政」を見るチャンスがあるので、そのあたりにも注目してみよう。
もう何十年もお能を観ている知人曰く、今日のお囃子はよかったらしい。他の人々もそう言っていた。だからきっと素晴らしかったのだ。
ああ、でも残念ながら、わたしには全然わからなかった。なんだか覇気のないお囃子だなぁなどと思って聴いてしまった。音よりもまず、ヴィジュアル的に、姿勢が悪いのにびっくりした。こんなにダレた格好で坐っている囃子方は初めて見た。ある意味、新鮮。
「蝸牛」
山本家のあの尻上がりのイントネーションはどうも苦手だな。でも、今日の蝸牛はしつこいくらいにおかしくて、素直に笑ってしまった。よかったです。
「誓願寺」
ふっくら顔の和泉式部。アイの語りが狂言師といようりもワキ方のようだった。
太鼓方、お名前のわりに若いひとだなぁと思っていたら、実際に太鼓を使う場面が来るまで坐っている役だったらしい。あとは叩くだけというところまでセッティングが済んだところへ、おもむろに惣右衛門さんが出てきて叩いていた。うーん、お爺ちゃん、そういうのあり?
★今日の発見:六平太記念能楽堂は来月から飲食物持ち込み可になるらしい。
↑
と思ったけど違うらしい(_ _;)
*******
仕舞「兼平」松井駿介
「杜若」キリ 内田成信
「天鼓」佐々木多門
能 「頼政」
シテ:友枝昭世 ワキ:宝生閑 アイ:山本則重
笛:藤田大五郎 小鼓:北村治 大鼓:柿原崇志
狂言「蝸牛」シテ:山本則俊 アド:遠藤博義、山本則重
仕舞「山姥」キリ 大村定
能 「誓願寺」
シテ:大島政允 ワキ:工藤和哉 ワキツレ:大日方寛、梅村昌功
アイ:遠藤博義
笛:一噌仙幸 小鼓:亀井俊一 大鼓:亀井広忠 太鼓:金春惣右衛門












同じグーのブログですね、この竹のデザインもいいですね!
そのうち真似しちゃおうかな〜
ところで二階の食道「べあ」は閉鎖になりますが
食べ物の持ち込みは未だ禁止状態です。
飲み物は自動販売機が置かれようですが、
どうぞ次回からは何か召し上がってからいらして下さい。早く業者を捜したいのですが〜〜
いや、しかし、食堂がなくなってもなお、飲食物持ち込み禁止って、なんだかすごいですね。
もちろん、何か食べてから行こうと思いますが、それでも朝9時から並ぶなどという場合には、それから午後5時まで絶食状態!
皆さん、ちょこっとお外に出て召し上がったりするそうですが、女性に立ち食いを強いるのは酷いですー。
自動販売機でもよいから、パンなりお菓子なり固形栄養物がほしいところですね。お能見てる最中にお腹ぐーぐー鳴ると恥ずかしいです、けっこう(^_^;)
あー、初コメントへのレスが食糧問題とは(>_
佐々木多門君の「天鼓」如何でしたか。
彼は若手(本当の若手)の中で私が最も注目し期待している能楽師さんです。
以前(10年以上前?)一度仕舞を見たきりですが、その間の良さにびっくりしました。
半世紀後の能界を背負う人とまで.....(これはチト気が早すぎました。)
考えてみたら、半世紀後は、私は黄泉の世界です(苦笑)。
彼、どうでしたか、お話を聞かせて頂けると嬉しいです。
http://blog.goo.ne.jp/luna2816/e/e18d77eb329280a2a78f4a1c02aaa69a
この日の「天鼓」悪くなかったですよ。というか、わたしに仕舞の批評はできないです〜(/_;)
もしも笛方が御期待と違ったとすれば、藤田大五郎師は御高齢(確か90を越されているはず)ですから確かに「エネルギッシュ」な演奏では無かったと思います。
ただ、お若い(とは言っても60代以降の藤田師しか存じ上げませんが・・)ときから決してリキまない音色で、音波的には鋭くないが中身的には鋭くとおる独特の笛で、私もいつも不思議に思っていました。
「音波的には鋭くないが中身的には鋭くとおる独特の笛」ですか。
わたしにはまだ難しすぎる表現ですが、少しずつ聞き分けられるようになるといいなと思います。
(しかし、耳の悪さにはかなり自信もあります(_ _;) )
とても嬉しいです。
我が事のように(笑)。
最近、彼が弓八幡を演じたと聞いて、行かなかった
ことを悔しく思います。(まあ、知ってて行ったか
どうかは別問題として......)
世阿弥自身も自信作とする、私の大好きな作品でも
あるので。
やっぱりこまめにチェックすべきだなあ。
で、話変わって、金春惣右衛門師、
今もまだそんなことしてるのですか、困ったものです。
確かこれは、
「キセルの伝」
という小書きだとも聞いたのですけど。
もしかして、ジョークかな(-。-?)
金春惣右衛門さん、4年前のビデオを拝見したらちゃんと最初から坐ってらっしゃったので、それだけお歳を召して膝がもたなくなったのではないかと推測しておりますが、「今もまだ」とは、はて意味深な…。お怪我をされたとか、そういうことでしょうか…?
勿論、ジョークです。
たしか、堂本正樹さんあたりが言っていた言葉です
(堂本さん、違っていたらゴメンナサイ)。
キセルという言い方言葉、使わなくなってますか?
世の流れに疎いもので。
「頭と尾っぽだけ」の意味です。
そういえば、誰ぞの能のブログで、
昔は無賃乗車のことをと言ったそうです
が…. (ウソー、本当ですか?)
といったニュアンスの書き込みがありましたが、
私は、使っている現場で育った現役ですね。
親父は口にしてました。
もっとも最近は、キセル乗車や無賃乗車を話題にした
ことが無いので、口にしていません。
さて、「まだ」と言った訳は、年を重ね、いいかげん
善悪の判断する力をつけなさいと言いたかったのです。
私の記憶の範囲では4年より大分前からだったと思い
ますけど。
以下、文の肝心の言葉「」部分が抜けてしまいました。
昔は無賃乗車のことを「薩摩の守」と言ったそうですが…. (ウソー、本当ですか?)
いつかTVのクイズ番組でやってました(^0^)
「叩く」←ちょっと皮肉入ってます。ゴメンナサイ!