きみどりの風

愛って何だろう、愛と体のつながりを覗いてみたい。そんな恋愛小説です。

84. 止められない。「1話から28話までが本編読み切りです」

2011-11-11 15:54:11 | 恋愛小説
東京駅、新幹線のホーム。

軽井沢からの新幹線が
ジュンの目の前でゆっくりと止まった。

グリーン車のドアが開くと
降りてくる友梨香の荷物をさっと受け取った。

「友梨香さん」

ジュンは友梨香の手を握った。

友梨香を見つめるジュンの目は、
宝石の様に輝いていた。

「友梨香さん、乗り換え時間があまりない
ですから、急ぎましょう」

「はい」

東海道新幹線に乗り換え、
二人は息を切らしながら席に腰かけた。

東京駅を出た。
乗客もまばらで二人の席は
二人だけの空間になった。

「会いたかった」

「私も」

二人の長いキスは、品川まで続いた。


新幹線の中、
ジュンの肩に引き寄せられ、
片手はジュンに握られたまま
沈黙の時を過ごした。

時折見せるどちらかの笑顔が
軽いキスを誘う。


京都に着いた二人はタクシー乗り場に向かった。

「友梨香さん、何が食べたいですか」

「何でもいいですよ、何でも食べられます」

「分かりました」

タクシーに乗り、ジュンは運転手に
おすすめの店を聞いた。

食事も終わり、又タクシーに乗ると、
嵐山の旅館に向かった。

「友梨香さん、バタバタさせちゃって
すみません」

「いえ、楽しいですよ」

「これから行く旅館は、僕の大好きな
昔の役者さんの別荘の近くにあるんです。
明日、その庭に行きましょう」

「はい、行きましょうね」

ジュンは優しく返事を返す友梨香の手を握り、
自分の頬にあてたり、
ポケットの中に入れたりした。


嵐山の旅館の部屋。

友梨香が上着を脱ごうとした時、
その手を止めてジュンが脱がせようとした。

「お風呂に入りたいです」
友梨香はお願いするように言った。

「嫌だ」
ジュンは友梨香の唇を唇で塞いだ。

これ以上待たせる事は出来ない、


友梨香はジュンに身を委ねた。








1 コメント

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続きが読みた~い (モンブラン)
2011-12-17 14:24:33
楽しみにしてます!

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