(1)日記から
・2014年4月30日(水)
(「新・世界経済入門」を)読了後、政治哲学2「啓蒙・改革・革命」を100頁。啓蒙が単純な進歩の観念ではないこと、宗教対立の克服を課題として政治的には良き君主制を目指すものであったこと、が明らかにされる。ケネーら重農主義者の私益追求・商業拡大の主張はスミスの先駆けをなすもの。
・5月1日(木)
政治哲学2を読了。わりとおもしろかった。ヘーゲルの革命への心酔とその克服を目指す論理、カントの社会契約の基礎づけ、重農主義者からヒューム・スミスに至る利己主義と社会秩序との相関。どれも興味深い。各人の自己利益の追求が交換を通して相互利益となり社会秩序すなわち公益を実現するという筋は説得力がある。しかし、自己利益の追求は無制限になされるわけではない。内田義彦の言葉を使うと「一物一価の法則」に従う。この法則の順守を保障するものは何か。また、このようにしてなされる経済活動が必ずしも公益をもたらすとは限らない。交換・売買が常に双方に同じ利益をもたらすわけではない。その結果、格差と不平等をもたらす。単純に利己心の追求が公益をもたらすとは言えない。市場万能主義の限界は明らかだ。
(つづく)