(2)ノートから-つづく―
第2章 経済成長
①低経済成長だと、資本収益率は成長率よりも大幅に高くなることも考えられ、そうした状況こそが、長期的な富の分配格差へと向かう主要な要因なのだ。
②年率1%で成長する社会は、深い永続的な変化を伴う社会となる。
③1950~1980年にかけて日・ドイツ・フランス・イタリアは一人当たりGDPで米やイギリスに追いついた。それ以降はどの国もほとんど成長率に差はない。サッチャーとレーガンの経済自由化政策も現実に何の影響も与えなかった。
第3章 資本の変化
①資本/所得比率は両大戦中に2/3近くに減少し、1945~2010年にそこから2倍以上に増加した。
②資本の中身は変わった。かつては大部分が土地だったが、今では主に住宅と工業資産、金融資産になった。
③リカードの等価定理。
…ある状況下だと公的債務は国民資本の蓄積に影響しない、というもの。公的債務の増加は、民間貯蓄の増加で賄われている。
第4章 古いヨーロッパから新世界へ
①「ライン型資本主義」…株主のみならず『利害関係者』と呼ばれる他の関係者たちも、企業の所有者。『利害関係者』には、その企業の労働者代表のほか、地域政府、消費者団体、環境保護団体の代表がいる。
第5章 長期的にみた資本/所得比率
①資本の性質は農地から都市部の不動産、工業・金融資産に変わったが、国民所得の年数で測った資本ストックの総価値は、超長期にわたってあまり変わってない。
②資本/所得比率は、ヨーロッパで高くアメリカで低い。
③資本/所得比率(β)=貯蓄率(s)/成長率(g)
…たくさん蓄えてゆっくり成長する国は、長期的には、莫大な資本ストックを蓄積する。同じことだが、ほとんど停滞した社会では、過去に蓄積された富が、異様なほどの重要性を確実に持つようになる。
④21世紀の資本/所得比率が18,19世紀の水準に並ぶほど構造的に高い水準になってしまうのは、低成長時代に復帰したせいだといえる。だから成長-特に人口増加-の鈍化こそが、資本が復活を遂げた原因だ。
⑤法則、β=s/gで使われる成長率は、国民所得の相成長率、つまり一人当たりの成長率と人口増加の和である。したがって、一人当たりの所得成長率が同じでも、人口増加率が違うだけで、全く違う資本/所得比率をもつこともある。
⑥もっとも貯蓄する国々は、しばしば人口増加が停滞しており、高齢化しつつある。⇔資本/所得比率が高くなる。
⑦民間貯蓄の二つの部分。
1)民間個人が直接行った貯蓄(可処分所得のうち消費しなかった部分)。
2)企業が、その所有者である個人に代わり、直接的あるいは金融投資を通じて間接的に行う貯蓄。企業が再投資する利益=内部留保にあたる。
(つづく)