幸福的結局

幸福的結局

ちゃんなないってまっっと

2017-03-15 12:17:51 | 日記


「何もわかってないから、ばかだって言ったんだよ。お前、これまでずっと一緒に居て俺の何を見て来たんだよ。ふわふわしたやつだって、俺はすぐにわかったぞ。耳のところ、茶色のメッシュが入ってたじゃないか。」

「は……?」

「そいつにナイトか?って聞いたら、そうだよって答えたけどな。」

夏輝の見開いた目から、どっと涙が溢れてすぐに後悔の悲嘆に変わった。

「うそ……。だって、あの子はどうみても人間だったよ。」

「ああ、何故だか知らないけどな。だけど、足首に夏輝が買ってやった猫用の赤い首輪をはめてた。どうせ、その状態じゃ見なかったんだろ?」
酷いことをたくさん言ってしまった……。あっちに行けって。触るなって、手を振り払ってしまったんだ。泣かせてしまった……ナイト。」

考えてみれば、あの下から見上げる瞳は、文太が殺人的に可愛いと言って何枚も写真を撮ったナイトのものだったのに。どこかで見たことあると思ったのに。深く考えないで傷付けた。

「俺、ナイトをバシッと叩いた……。ナイト、泣いてた……。俺、八つ当たりしたんだ。文太の恋人だと思ったから……俺が必死でナイトを探しているのに、脳天気な笑顔で寄って来たと思って、何だか無性に悔しくて。」

膝を抱えてすっかり意気消沈貨物存倉してしまった夏輝は、ぼんやりと雑踏を眺めていた。
夏輝と暮らせないなら、この町には何の未練もない。
父ちゃんは白狐さまに別れを告げて、しゅっと犬型に戻っていた。犬種は、四国犬という奴だ。人型で居るのは、体が大きい分「燃費」が悪いんだそうだ。
父ちゃんみたいに大人になると、狗神の血を引く俺も、いずれ自分で自在に人型に変身できるだろうと白狐さまが言った。

「長次郎に教えてもらうと良い。修業は大変だろうがしっかりおやり、仔犬。」

「はい。」

白狐さまが九字を結んで呪を掛けてくれたから、俺はもう少しの間は人型で居られるらしい。俺は、父みたいに苦み走ったタイプが良かったのに、人型になるとふわふわした小型犬の雌みたいでがっかりした。
父ちゃんみたいに人型になったとき、誘因フェロモンがだだ盛れする「すけこまし体質」だけ似たみたいだ。そのうち「せいぎょ」することも覚えなきゃなって父ちゃんが言っていた。でないと、あちこちに狗神の落とし胤(だね)が散らばるだろうって。そっか、それでいろんな奴に声掛けられたのか。

「白狐さま、ありがとう。俺、また会いに来るから、それまで今のまま綺麗でいてね。」

「嬉しいことを。さすがは狗神の子だな。このたらしめ。」

白狐さま搜索引擎優化は俺に頬をくっつけて、すりすりした。


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