<クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)> ・・・・・・・・・・・・・・・・クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇カラヤン指揮ウィーン・フィルのリヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

2017-07-17 10:40:45 | 管弦楽曲

リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン

管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

発売:1980年

LP:キングレコード K15C 8026

 カラヤンの遺した録音は膨大な量に及ぶと思うが、その中で万人が賛同する演奏の一つが、このリヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」ではなかろうか。つまり、カラヤンの指揮の特質とこの曲の持つ特質とがぴたりと一致し、感動的な名演を繰り広げているからである。カラヤンの指揮の特質は、極限までオーケストラを精緻に演奏させ、曖昧さや余計な贅肉を削ぎ落とし、明快な言葉で語り尽くす、そんな感じの指揮ぶりである。そして、この計算し尽くされた演出効果を、オーケストラに最大限発揮させる“魔術”をカラヤンは備えているのである。そのため、ダイナミックな曲になればなるほど、その威力はより一層大きくなることになる。哲学書「ツァラトゥストラはかく語りき」は、ドイツの哲学者ニーチェが1883年~85年にかけて書き上げたもので、ツァラトゥストラ(ギリシャ語ではゾロアスター)とは、ゾロアスター教の開祖といわれる紀元前6世紀ごろのペルシャの伝説上の人物。ツァラトゥストラは山にこもって思索にふけり、悟りを得た後、山を下り、各地でその新しい思想を人々に語り聞かせた。その思想の根源は「永遠にかく生きんと欲せよ」とする“永劫回帰”であり、この思想の具現者が“超人”である。そして、この超人だけが未来を創造することができるとする。この交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」は、リヒャルト・シュトラウスがニーチェの著作を読んだ後に、深くその思想にひかれ作曲したものであるが、しかし、リヒャルト・シュトラウス自身が語ったところによると、この曲は哲学的な音楽でも、宗教的な音楽でもないという。つまり、この音楽の意味するところはというと、ニーチェの哲学者としての才能を褒め称える内容の音楽なのであるとしている。哲学的な音楽でも、宗教的な音楽でもない音楽とは言っても、この音楽自体が、哲学的であると同時に宗教的な劇的な雰囲気を醸し出していることはまぎれのない事実なのである。そして、出来上がった作品は、あたかも、カラヤンの指揮を想定してリヒャルト・シュトラウスが作曲したかのような雰囲気を帯びている。そんな内容の曲を、カラヤン&ウィーン・フィルのコンビは、ダイナミックな要素をふんだんに取り入れると同時に、宗教的神秘性も併せ持った演奏にまとめ上げ、LPレコード史上の1ページを飾るに相応しい名演を繰り広げている。(LPC)

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