<クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)> ・・・・・・・・・・・・・・・・クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ケンプ、シェリング、フルニエのベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番「大公」

2016-10-17 10:59:24 | 室内楽曲

ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第7番「大公」

ピアノ:ウィルヘルム・ケンプ

ヴァイオリン:ヘンリック・シェリング

チェロ:ピエール・フルニエ

LP:ポリドール(独グラモフォン) SE 7910

 ベートーヴェンのピアノ三重奏曲第7番「大公」は、聴けば聴くほど、その雄大な曲の構成力に圧倒される。歳を取って聴いても、つまり幾つになっても人を自然に奮い立たせるようなエネルギーを蓄えている曲であることに驚かされる。岡田暁生氏によると、ベートーヴェンの9つのシンフォニーは「頑張れば報われる」という“励ましソング”なのだそうであるが、シンフォニーではないが、この「大公」はその典型的な曲ではないかと思ってしまうほど、聴くたびにいつも励まされる。大公とはベートーヴェンより18歳年下のルドルフ大公のことで、ベートーヴェンのピアノの生徒であると同時に財政的支援者でもあった。2人は互いに尊敬し合っていたそうであるので、ベートーヴェンはルドルフ大公を思い描くことによって、室内楽としての“励ましソング”の名作「大公」を完成させたのであろう。このレコードは、ピアノのウィルヘルム・ケンプ(1895年―1991年)、ヴァイオリンのヘンリック・シェリング(1918年―1988年)、チェロのピエール・フルニエ(1906年―1986年)という、3人の名手の息がぴたりと合った、古今の「大公」の録音の中でも1、2を争うほどの名盤である。ウィルヘルム・ケンプは、ドイツの名ピアニストで、1936年の初来日以来、10回も来日した親日家であった。私も実演を聴いたことがあるが、特にベートーヴェンのピアノソナタ全曲連続演奏会はテレビでも放送され、多くのファンが熱狂したことを思い出す。ヘンリク・シェリングは、ポーランド人で後にメキシコに帰化した名ヴァイオリニスト。パリ音楽院に入学して、ジャック・ティボーに師事する。シェリングは多くの録音を残しているが、中でもバッハの無伴奏ヴァイオリンのための作品は今でも名録音として名高い。ピエール・フルニエは、フランスの名チェリスト。1923年パリ音楽院を一等賞で卒業した翌年、パリでコンサート・デビュー。気品のある容貌とその格調の高い演奏内容で“チェロの貴公子”とも呼ばれ、親日家でもあり、ヴァイオリンのジャック・ティボー、ピアノのアルフレッド・コルトーとピアノトリオを組んだこともあったほど、室内楽にも力を入れていた。この3人が録音した今回のLPレコードは、いたずらに力まずに、3人が悠然としていて、奥行きの深い、そして堂々とした演奏は、まるで「大公」の演奏のために生まれたピアノトリオではないかと思ってしまうほどだ。(LPC) 

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