アメリカで働く臨床栄養士のブログ

内科ICU栄養士。食が大好きな一男一女のママ。日本と異なる医療・栄養事情、過去に書いた情報は既に古いことも…あしからず。

RDが栄養処方を書くこと

2011年08月31日 | お仕事
またまたRDが栄養処方を書くにはどうすればいいか…というのが私の住む地域でちょっぴりホットな話題。病院によっては食事はもちろん、経腸栄養、静脈栄養までRDが処方を出せるところもあります。私の病院はなんと食事の変更もあまりできません。普通食から特別食や軟らかい食に変更することはできますが、特別食や軟らかい食事を他の特別食や普通食に変える事ができません。はっきり言って非常に不便です。

確かに100%RDが決めると医師の医療行為などと反する場合もあると思います。だから「Diet per RD(RDが食事を決める)」とか「Tubefeed per RD(RDがチューブ栄養を決める)」とか医師が栄養処方をサインオフをするシステムを使っている病院もあります。このサインオフというのは医師の間でよく見られます。例えば主治医(入院中の責任者みたいな感じ)は日常的に専門医にコンソルトしますが、問題が解決したりすると専門医がサインオフします(専門医が主治医のあなたでも出来るからお任せしますみたいな感じ)。私がこことで書いているサインオフとは医師がRDに栄養処方を託す事です。私はサインオフはとってもいい方法だと思います。要は手術や検査など、何らかの特別な措置が必要じゃない場合はRDが栄養療法を決めるという形です。サインオフじゃなくて自動的にRDが処方するところもあるみたいです。

既にRDの判断で退院後の栄養管理の指導はしているわけで、病院での短期の栄養はダメってのも何か変だと思います。でもこのへんは法律が絡んでくるんで、解釈の仕方がいろいろあるみたいです。

病院によってまちまちなので「あなたが処方書いてくれる?」と医師が聞いてきて「うちの病院ではRDが処方できない」と答えることになったり、「書いてくれたら私がサインするよ」と結局私が書いて医師がサインするってこともあります。私としてはサインオフシステムが出来ればいいのになぁ~と思います。

【RDの栄養処方に関する質問メール】
Hi Everyone,

I've been approached to consider changing my hospital's protocol so that Dietitians can automatically write orders. Currently, we only document our recommendations and do not write orders unless a physician specifically requests that we do.

I'm curious if this is part of our "scope of practice" - is it acceptable for an RD to write orders? What is the practice at your hospital?

Any comments, thoughts, suggestions, would be much appreciated :)

Thank you.

A○○○ ○○, MS, RD, CNSC


【他の人の返答メールによる情報源 1】 米国栄養士会の情報源

Hi ○○,

You can look up this type of information on ADA’s website, they have resources available to help you in this. Try this link as a starting place, you’ll have to log in to view it: http://www.eatright.org/practice/



【他の人の返答メールによる情報源 2】 ASPENから出ている本

A Comprehensive Guide to Obtaining Clinical Privileges for Nutrition Order Writing

Merchandise Details

A Comprehensive Guide to Obtaining Clinical Privileges for Nutrition Order Writing is designed to help Registered Dietitians of all levels of practice, from entry-level dietitians to clinical nutrition managers, to nutrition educators, to department chairs with practical advice on where, when , why and how to achieve nutrition order writing privileges. The book is a timely resource that arose from the substantial response by RDs nationwide to the changes that have occurred in the delivery of health care - characterized by greater acuity of patient conditions and shorter length of patient admission into health care settings. It is also an attempt by the authors to clarify the many misunderstandings and misinformation that currently exist with regard to the issue of whether or not the writing of nutrition orders falls within RD scope of practice.

Written in a rather formal, but clear and easy to read style, the authors describe the evidence for the need for RDs to achieve order writing privileges and they provide examples of how other RDs have achieved such privileges



RDインターン生の研修開始

2011年08月30日 | お仕事
今週からまた1人RDインターン生が病院にやってきました。毎日8時間、11月下旬まで私の病院で研修です。毎日プリセプターRDについて学びます。私が担当するのは10月下旬頃からです。これだけ時間を掛けても臨床栄養士になるとは限りませんが、クオリティーの高い栄養士を育てるためにとても重要なシステムだと思っています。

私の病院のダイエットテクもこのインターン生と同じインターンシップに応募しましたが採用されませんでした。きっと複雑な気持ちでしょう~。ウチのダイエットテクは2人とも物凄~く素晴らしいのになぜだぁ~。インターンシップで振り落とすのもよい事だと思いますが競争が厳し過ぎる!!

今日の患者さんは栄養問題ばかり

2011年08月26日 | お仕事
今日みた患者さんは10人。全員が何らかの重大な栄養問題あり。こんなの滅多にないです。エイズの患者さんが4人、チューブ栄養はチューブ栄養でも特殊なケースが3人、超低栄養の患者さんが2人、重症肥満が1人、もちろん更に色々な病気あり。エイズの患者さんはいつも栄養状態が悪いわけではないですが、今日みた患者さんはみんな問題あり。RDを必要としない患者さんもいるなかで(=スクリーン止まりでアセスメントが必要ない)、今日は100%。患者さんとしては深刻な状態で大変な思いをされていると思いますが、栄養士としては大変やりがいのある日でした…。

「食べてないのに…」

2011年08月23日 | お仕事
またやっちゃいました。退院した患者さんの家族から突然電話が掛かってきて、「肉と野菜しか食べていないのに血糖値が物凄く高くなる」と言われ、ちょっと薬の話をした後に、「それならばお薬の調整が必要そうですからドクターと話し合って下さい」と私。たまに患者さんが言うことをそのまま信じてしまうんです(本当は信じたいのです)。でも1~2分話すだけで、「ジュースは飲んでるけど水で薄めてる」とか「オーツ麦はお椀一杯分しか食べていない」というのが超巨大お椀だったり…。おいおい、肉と野菜しか食べてないってさっき言ったばかりなのに…。

1週間前に糖尿病が発覚した英語を話さないおばあさんの子供から電話が掛かってきたのですが、電話を掛けてきた相手には基本知識がないし、わたしも全く患者さんの事が分からないので電話ではどうにもならない…。「ジュースは水で薄めても栄養は変わりませんよ」とか「お椀1杯というのは病院で使っていたお椀の大きさのことですよ」と言うくらいが精一杯。栄養指導がまた必要と思いますが、まあ、どちらにしても家族ぐるみで努力しているつもりで、あれだけ血糖値が高かったらお薬の調整が必要でしょう。。。

こちらに住んでいる人の「食べていないのに…」の定義ってなんだろう。

超重症肥満患者(BMI83)のチューブ栄養

2011年08月16日 | お仕事
アメリカの静脈経腸栄養では重症肥満患者の栄養アセスメントが今ホットなトピック。私の個人的な感覚では、超肥満層が割と多い40~60歳くらいが集中治療室に搬送されるようになってきたからかな…と思います。BMIが60とか80とかそういう超ヘビー級は、いくらアメリカでも昔の人にはあまり見られなかったはず。これからどんどんこの超肥満層が増えていくはず…。

BMI40とか50とかは内科ICUではあんまりめずらしくないけど、BMI80以上の栄養管理はどうしようかな…。だいたいの場合、腎臓機能低下、糖尿病、cellulitisとかも絡んできます。経腸栄養を決めるのは当然私。これまでの最高BMIは113。日本じゃありえないでしょ。

今ちょっと検索したところ、小錦が引退後に一番重いときでBMIが85。ってことは日本でもありえるかな…。

内科ICU研修医への栄養レクチャー

2011年08月11日 | お仕事
少し前に指導医に頼まれた研修医への栄養レクチャーの第1回目を今日やりました。私に頼んだ指導医ではない、他の指導医も部屋に入ってきて「おっ教材作ったのか…」みたいに独り言を言っていました。本当は3日前にこのレクチャーをするつもりでしたが、この指導医が「今すぐラウンドするぞ」みたいな感じでドタキャンになってしまいました。今回も何か言われるのかな…と思いましたが、パワーポイント5枚目くらいの時に部屋出てきました。出て行く寸前に「おーそうか…」みたいに独り言をまた言っていました。

とりあえず15分くらいの短いレクチャー。参加者は6人。パワーポイントは表紙と参考文献を入れて10枚のみ。内科のcritically ill patientを対象に絞って、どう経腸栄養とTPNの栄養処方を出すかのハウツーもの。ドクターたちからの質問の対応で5分くらい。とりあえず無事終了。

今度話をするときは、実際の症例をあちこちにちりばめて(でも超手短に)話をした方がいいかな…と思いました。

生活習慣病系一命を取り留めた後…

2011年08月09日 | お仕事
患者Jさんが脳卒中で倒れて一命を取り留める。血糖値、中性脂肪などビックリするほど凄~く高い

Jさんと話をすると日頃から食事に気をつけているとこのこと。食事の管理について話をする。

Jさんの妻によると夫が好き放題に食べていて困っているとのこと。

Jさんが内科ICUにいたため、私がダイエットレプの代わりに食事の注文を受ける。チョコレートケーキが食べたいと言う。

Jさんの妻が高炭水化物&高脂質食をどこからか仕入れてくる

マジ??????患者さんが適当に話をするのはよくある事だとしても、運が悪ければ命を落としていたかもしれないのに(物凄い偶然でERから30秒くらい離れたところで発作)、チョコレートケーキ?高炭水化物&高脂質食???私には分かりません~。特別に今日だけお祝い?だといいけどな~。


重度肥満の患者さん

2011年08月05日 | お仕事
今日も重度肥満の患者さんと話をしました。BMIは52.
重度肥満患者さんの減量は栄養士だけでは無理です。というのが私の意見。

知り合いに重度肥満を専門にしたRDがいますが、かならず深刻な理由が隠れていると言います。一日に8名くらいの患者さんを毎日診るそうですが、気持ちの切り替えが大変だそうです。確かにそうだろうな…と思います。

今日の患者さんとも1時間話したので、隠されたダークな部分が少し見えてきましたが、精神面のケアは私の専門ではないので、聞いてあげることはできても解決したり導いたりすることはできません。聞いていてこっちも悲しくなったりむなしくなります。Behavioral counselorや精神科医などとの協力が必要ですね。

ナースとのやりとり

2011年08月03日 | お仕事
なんか最近ドクターのことばかり書いていましたが、ナースがいなくては仕事になりません。
ナースは食事をどれくらい食べたとか、チューブ栄養はスムーズにいってるとか、下痢やお腹の張りなどについても伝えてくれます。ナース記録には便の状態や、皮膚の状態なども書き込んであるので必ずみます。

入院してからずっと1週間くらい口から食べていない患者さんがいました。入院前は栄養剤だけ飲んでいたようで食事はしてなかったようです。他の疾患等でチューブ栄養が今のところ必要ですが、おとといベッドサイドで話していたら「チョコレートアイスクリームとクランベリージュースが飲みたい」とのこと。タイミングは結構大切だと思うので、大急ぎでキッチンに行き食べ物を持って来ました。

担当ナースは快く、おやつを患者さんに与えてくれました。「一滴残らず食べたよ、夜はステーキがいいって!」など後で報告してくれました。私があげてもよかったのですが、今回はちょっと例外で任せたほうがよいケース。

ナースによっては「この患者さんに食べさせるのは時間がかかるんだから…」と不機嫌気味になる人もゼロではありません。また、忙しいくてそれどころでは無い事もあります。あと疲れてそうな感じのときとか…。ナースのケアの仕方には個人差もあります。患者を担当するナースは毎日代わるので、ナースと私の相性や忙しさなどを見計らって栄養療法を進めることもあります。栄養士が1人でやっても限界ありますからね・・・。お願いすることも多いですし、私もナースから何か頼まれたら快く引き受けるようにしています。

この患者さんは他の施設へ移動することに。ドクター(またでた!)が「転院後の栄養処方はどうすればいい?」と聞いてきたので、とりあえず私の考えを伝えると「I like it!」とのこと。。。ちゃんと食べれるようになって元気になってほしいです。

ラウンド中にプレアルブミンチェックを依頼

2011年08月02日 | お仕事
今日ICUでラウンドしている時に、とある患者さんのプレアルブミンもオーダーするようにドクターたちに勧めました。
普段は「OK」という感じで特に何の反応もありません。
ちなみにプレアルブミンとかアルブミンはICUでは一般的に栄養の指標として非常に使いにくい、というか使えない場合が多いです。
なので、ルーチン的にチェックするというのはありません。

今日の指導医は「それで何を調べるの?」「その結果をみてどうするの?」「何が変わるの?」
など色々聞いて聞いてきました。

指導医によって差がありますが、研修医、栄養士、薬剤師に「なぜなぜ?」と聞いてくる指導医っていいなぁと思います。
みんなが何を考えてそうしているのかが分かります。