ジャズ喫茶 LOST AND FOUND は、
1960年代後半〜1980年代の作品で、
名手による珠玉の名演にもかかわらず
ジャズ評論界で取り上げられることが極端に少ないため
ジャズ史からは見落とされがちなアルバムのレコードを、
”優先的に”ご紹介しているジャズ喫茶です。
便宜上「70年代ジャズ」という表現を使う場合が多いのですが、
「70年代」という単語を聞いただけで短絡的に「フュージョン」を連想し
何者かに植えつけられた先入観が頭をもたげ、聴いてもいないのに
食わず嫌いの様相を示す方々がまだまだ多いように見受けられます。
しかしながら、当時のフュージョン大ヒット作の影に隠れてしまった
いわば「埋もれた音源」には、素晴らしいアルバムが沢山あります。
私自身は、非常に運が悪いことに
昭和17年生まれの母親が元リー・モーガン追っかけ親衛隊長だったせいで、
3歳からジャズ喫茶に無理矢理連れて行かれては爆音の調教を受けるという
何とも不幸な幼少期を経て今現在に至っておりますが、
時代がLPからCDに移行してしばらく経った1990年代の中頃に
とあることに気がつきました。
ジャズ喫茶で聴いて「これはいいなぁ」と思うレコードにかぎって、
理由はよく分かりませんが
音楽メディアに登場することが非常に少なく、
インターネットで検索しても情報が全く出てこない。
しかも、一向にCDとして発売される気配がない。
音楽が一般に広まるための利便性に優れた媒体として
現時点ではCDが挙げられますが、
(インターネット配信のベースになっているのもCDですよね)
自分好みの音源がCD化されない以上、
アナログLPで聴くしか方法はありません。
CD世代の私にとって、
「知らないジャズ」を聴く手っ取り早い方法は一つ。
それは「ジャズ喫茶に通うこと」でした。
とくに、横浜・関内 BITTER SWEET のマスターからは
実に多くの「埋もれた音源」の存在を教えてもらいました。
そんなしがない1ジャズファンだった私ですが、
神様の粋な計らいで非常に尊敬できるオーディオ蒐集家の方と出会い、
2006年11月10日、その方の御尊父のお誕生日に
LOST AND FOUND を立ち上げるに至りました。
ジャズ喫茶という特殊文化の一片を担っている以上は
店の一貫した「コンセプト」を維持していきたいと、
常にそう思っています。
もっとも私は、音楽を「ジャズ」だとか何だとかカテゴリー分けすること自体
あまり意味がないことだと思っています。
「これは随分とかっこいいジャズだなぁ」と感じたものが
実はプログレッシヴ・ロックにジャンル分けされている作品だったりと、
先入観なしに音楽を聴いていると、いろいろと新しい発見があるものです。
ジャズ喫茶を訪れて一日で聴けるレコードの数は、たかが知れています。
一つの店で、全ての年代のジャズ、全てのジャンルのジャズを聴くことは
物理的に不可能なことです。
私は、昔からの1ジャズ喫茶ファンとして、
今までジャズ喫茶という場所とはご縁のなかった方々にも、
そして「ジャズは50〜60年代ハードバップ聴いときゃ十分だぞ」と
頑なに信じているお父さん達にも、
もっともっと「ジャズ喫茶巡りの旅」に出てもらって、
それぞれのお店の個性を楽しんでいただきたいと、
心からそう願っています。