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IUCNのニホンウナギに関するレポート

ニホンウナギがIUCNの絶滅危惧種に登録されましたが、そのレポートの"Major Threat(s):"(主な脅威)の部分を和訳してみました。このレポートでは他に分類や生息数、生態などが記述されていますが、生息数の減少の原因と推定されることは"Major Threat(s):"に書かれており、ここが一番重要なところです。

なお、読んでみれば分かりますが脅威は乱獲だけではありません。一部のマスコミや学者らしき人は乱獲しか書きませんが・・・・

あっ、それから私、英語はとっても苦手なので間違っているところもあるかと思いますが、暖かくご指摘いただければ幸いです。

では、

主な脅威:
この種に対する脅威は乱獲、生息地の喪失や海洋状態の変化変更等であり、その結果、FAOは、ニホンウナギの資源量が安全な生物学的限界以下であり近年では漁業が持続可能でないことを示唆した(FAO2013)。これらの減少は過去に他の地域の他の種( Asia (e.g. A. bicolor, A. marmorata), Europe (A. anguilla) and America (A. rostrata) )では養殖施設にシラスウナギを供給するために発生した(Han et al. 2002)。

国内/国際的な規模での養殖のために日本ウナギのシラスウナギの漁獲が生息数への主要な脅威の一つだと論じられている。実際、台湾の淡水の生息地におけるニホンウナギの深刻な減少は、養殖のための乱獲と適切な成長の生息地の荒廃の結果かもしれない。人工繁殖は日本で行われているが銀ウナギと黄ウナギの何パーセントが成熟したウナギになるのかはいくつかの研究 (Lin et al. 2010) が着手されているものの殆ど分かっていない。2003年に、仔魚からシラスウナギを人為的に生産することに成功したという研究が公表された。そして2010年には完全養殖が出来た(Masuda et al. 2012)。日本でのウナギの大量生産は、生物学的、経済的に実行可能である。しかし、より良い飼料や更なる飼育プロセスの簡素化と短縮化が必要だ。養殖には他のウナギ属も使われているものの、ニホンウナギへの広範な脅威は依然として続いている。なぜなら日本の消費においてそれは特別なウナギとして選択されるからである。

エルニーニョや太陽黒点などの環境現象が仔魚の回遊や生存、そして淡水や海岸の生息環境へのシラスウナギの供給に打撃を与えるという説がある(Kimura et al. 2001, Bonhommeau et al. 2008, Miller et al. 2009, Tzeng et al. 2012)。開発や河川の生息環境の変化や荒廃の方が継続的な影響があるものの、このような環境要因はシラスウナギの供給量を左右する効果があると提案されている。しかしながら海流の変化が供給量のような生息数の変化に影響を与える役割をしているかははっきりしない。さらに、他のウナギ属と同様に、ニホンウナギの浮き袋には線虫(Anguillicola crassus)が寄生し生存と移動に影響を与えるという説もある。しかしながら、日本のウナギは、耐性を獲得した証拠があり、ヨーロッパウナギへの病理的影響(Knopf 2006)よりも有意に影響が少ない。これはおそらくこの寄生虫に歴史的により長く暴露されたためである (Munderle et al. 2006)。

他のウナギ属とともに、ニホンウナギの上流側や下流の移動は、水路内のバリアの存在に打撃を受けてきた。日本では、ダム建設により、いくつかの地域でウナギの漁獲量が減少した(Tatsukawa 2003)。216の河川において黄ウナギと銀ウナギの漁獲量の減少率は魚の上流への移動を阻害するバリアの数と明らかな相関があり、分断された河川ではウナギの運搬能力が減少することを示唆している (Hakoyama unpub. data)。1953から2009年の間の年間ウナギ(黄と銀)の漁獲量データは日本の農林水産省(MAFF)から得た。そしてYoshimura et al. (2005)はウナギが超えられないとみなせる15m以上のダムが日本だけでも2,675あると報告している。

その他の脅威として、農業、都市そして産業のための開発の結果、日本では治水のために川や湖の岸が広く護岸となったことによる河川の生息場所がなくなることがある(Yoshimura et al. 2005, Itakura et al. 2014)。これは日本では停滞状態にあると考えられるが、この種の分布の他の地域では継続的に起こっている。開発はまた産業排水、除草剤や農薬の流出によって引き起こされる汚染の量を増やす。これらは全て生息域の消滅、繁殖の低下、そして直接的な死を通してウナギの数に悪い影響を与えることが知られている。(e.g. Tzeng et al. 2006)。

脅威への理解が相対的に不足しているため、我々は国際自然保護連合(IUCN)の「脅威の等級付けスキーム」を使用して、定量化することを試みてきたが、これは決して決定的なものではない。
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