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一応、秘密の…ホミンのお話置き場です。

ホミンだけ。ホミンの幸せが最上の幸せです。

七夕 22

2017-07-17 | 七夕




忙しいと言い合いながら、姉様達は部屋を後にした。

夢の中ではなく、目の前に現れた鳥は天帝と顔見知りらしい。まるで親しい友人のように会話を始め、止まらない。

チャンミンが肌を晒していた事に、気付かれなかったのは、鳥のお陰か。心の中で感謝をして、失礼だと思いながらもチャンミンの手を引き、そっと抜け出す。

チャンミンも同じ気持ちでいるのか。黙って着いて来てくれた。






人の気配のない、中庭に降りる。チャンミンの衣を汚さないようにと抱き上げる。その途端。柔らかな唇を押し当てられた。
驚き、見返すと悪戯な瞳を投げられ…簡単に吸い寄せられてしまう。

一頻り、唇を合わせ…手入れされた花壇の端に腰を下ろした。



「…ユノ」


チャンミンはまた唇を重ねようと可憐な笑みを溢す。甘ったるく囁かれ、指先を這わせられると…拒む理由を見失う。

軽く唇を合わせ、洩れる吐息に急かれて…甘美な感覚に溺れかけた。


けれど、それを止める声がする。



『ああ!何してんの!』


聞こえた声は…それまでの鳥とは違う。不思議に感じながら、視線を向けると、頭上にある枝の先に今までとは違う容姿をした鳥達が俺達を凝視していた。





『本当に!見張り役がいないと、駄目だ!』

『だよね!本当に、ここのユノとチャンミンは言い付けをまもらない!』

『ここだけじゃない!』

『ああ、そうか!』



賑やかなのは…鳥の仲間なのだろうか。反論はせず、チャンミンの誘惑に乗ろうとして、鳥の群れの弾丸絶叫に阻止された。






折角、ユノが絡み付いてくれたのに。賑やかな声に邪魔をされ、動きを止めてしまった。


それが不満な僕は代わりに手を延ばし、まだ軽くユノに触れる。その小さな動きすら見逃さない鳥達は大袈裟に咎めてから、自己紹介を始めた。


カササギの親戚だとか、兄弟が多いだとか。至る所まで広い繋がりがあるみたい。丁寧で細かすぎる説明を僕は聞き流す。



「本当に!末っ子の我が儘に、振り回されてばかりだ!」

「いつも報われない弟が不憫だ!」

「でも、実はお前達の幸せを願って止まないんだよな!」

「だから、お前達!絶対にくっつくなよ!」



ユノは鳥達の愉快な身の上話を聞いているようだった。でも、僕は何も耳に入って来ない。ユノしか見えなくて、ユノしか感じたくない。


意識を向けられないのが嫌。余所見をしているのが嫌。思いがこもり、尖る唇をユノの手のひらに押し付ける。




「ああ!お姫様!駄目だって!」

「また未来が変わるって!」

「皆の苦労を無駄にするのか!」


「でも…だって…」


声を震わせ、不服さを口にすると、鳥達はユノに向かって叫び出す。



「我が儘なお姫様だな!」

「でも、可愛いからな!」

「オレ達は嫌われたくない!だから、旦那!しっかりしろ!」



鳥達の言い分と僕の我が儘さに挟まれるユノは苦笑いをする。それでも何とか制御しようと努力をしているのか。僕からの口付けを優しく受け止めるだけだった。







鳥達の話を聞き、思った。

やはり、俺達は好きなように行動するばかりではいけない。俺達自身の幸せも勿論だ。けれど、それだけでなく、心配してくれる皆の想いも大事にしなければならない。


至極、当たり前の答えに納得してみた。納得したつもりでも、チャンミンの瞳を見ると、決意は揺らぐ。余りに簡単に揺らぐから、苦笑いで誤魔化したくなる。



「チャンミン」

「ユノ。早く、口付けをして下さい」

「俺もそうしたい。けれど…」

「したいなら、して下さい」

「そればかりだと…」

「してくれないと…もっと強請るだけです」

「だけどな…」

「ユノはしたくないですか!」



チャンミンは声を荒げてから、ハッと我に返り、表情を曇らせる。



「…ごめんなさい、ユノ。勝手ばかり言って…」


強気な態度から、急な弱気さを見せるのは…決して計算ではないだろう。だがしかし、効果は抜群。

何とか、距離を保っていたのに。


懸命を努力は無駄になり、唇を重ねてしまう。



「ああっ!何してる!」

「今、納得してただろ!」

「我慢しろ!」

「旦那ぁ!!」



背中に怒声を受けながら、チャンミンのしっとり感と柔らかさを思い切り、堪能してしまった。










「…どうして、こんなにも…くっつきたいのでしょうか…」

「本当に。これ程に、欲しがりだとは思いませんでした」



僕達を探す父上の声がした途端。

いつもとは違う緊張感に襲われて、ユノと少しだけ、離れられた。


笑顔を見せる父上がその場を去ってから、ユノと顔を見合せて、溜息をつく。


分かっているのに、離れられない。

やはり僕達は深刻な病にでも掛かっているのだろう。


だとしても…ユノと一緒なら、病でも良い。口にしなくても、目と目を合わせるだけで気持ちは伝わる。ユノも仕方ないと言いたげに、微笑んでくれる。




「ところでユノ…」

「何ですか?」

「僕達が深く結ばれるのは…結局、いつなら良いのでしょうか」

「え?」

「婚儀の前に、衣装を破かなければ、致しても良いのですよね?」

「…それは…」

「僕はカササギの話をはっきりと覚えていません。ユノは覚えていますか?」

「そう言われてみれば…」



見上げる僕の額に、ユノの唇が押し当てられる。



「結局、好きにしろ…と、言われた気がします」

「なら、ユノ!いつにしますか?」

「…今、ここで…」

「…え」



期待に跳ねた心音は、カササギ一味に邪魔をされる。




結局的に、僕達がどんな未来を迎えるのか。
それはまだ分からない。


たった7日間でも、泣く自信しかない僕は…残りの全てをユノと堪能しようと更なる決意して。飛び交う賑やかさの中で、ユノに埋まりながら、開けた肌に吸い付いていた。









 
 
とりあえず、ここで、おしまい。



もし、続きがあるとしたら…来年の七夕付近に。













ジャンル:
小説
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