Reverse

一応、秘密の…ホミンのお話置き場です。

星月夜 12

2018-01-14 | 星月夜






本来なら、僕がユノを一番に見つける筈だった。

互いに何も…名前も素顔すら知らず、導かれ…それでも引き寄せられ、あの夜、生まれ持った意味に気付く筈だった。

全てを知っていても、父様や母様にも手出しは出来ない事。

順調に事が進めば、あの宴の終わりに僕はユノの手を取り、婚姻を約束する筈だった。

でも、それは叶わなかった。

ユノがその場から居なくなってしまったのは、悪魔が先にユノを見つけたから。

…ユノが既に僕への想いを抱いていて、そこにつけ込む悪魔の力が作用した為だと知らされた。

何処で僕に気付いてくれたのか、分からない。でも、ユノが以前から僕を思っていてくれた事は素直に嬉しかった。

けれど、その事がユノを追い詰める理由になったのなら、悔しさが込み上げた。

もっと早く、僕も見つけたかった。 

知らなかった事実を知れば知る程、少しでも早く、どうにかしたかった。





次の満月の夜。それが運命の時。

はっきりと悪魔の声が聞こえた以上、その時を待つしかないと言われた。

僕が出来るのは…ユノに訴える事。

悪魔の力がユノを浸食していても…まだ、完璧じゃない。僕と心を通わせれば、悪魔に手出しは出来きなくなるらしい。

でも、それは…紙一重…。

ユノが諦めてしまったら…ユノの魂は奪われる。僕は運命の人を失ってしまう。




あの夜…ユノに抱き締められたのは、夢の中ではない。あの時のように、僕はユノの元へ引き寄せられるだろうと侍女は言った。

でも、それはユノの決意を意味するとも言われた。たった、一晩の逢瀬だけで…ユノは満足して、全てを諦める覚悟を決めた結果だと言われた。


もし、満月の夜に…ユノに会えなかったら。ユノは悪魔の囁きに乗らなかった事になる。

それはそれで、ユノが僕との未来を拒む事に繋がる。


僕がユノと一緒になれかどうかは…満月の夜に決まる。


僕は、ユノと再会出来たとてしても…また、声を奪われるだろうと言われた。言葉以外で想いを示すしかない。伝わる歴史や悪魔の企みを説明する時間も術もない。

ただ、僕との未来を諦めないでと…ユノに伝える事しか方法はない。




僕はユノに会いたいと願いながら、悪魔に勝てるか、不安もあった…。それでも、ユノとの未来以外は考えられなくて、眠れない夜を過ごしていた。








.


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。