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ケーキ屋さんのハロウィン編 11

2016-10-29 | ケーキ屋さんのハロウィン編



「ユノ、みんなが怖がってるから、怒らないで?」


チャンミン坊ちゃんは慣れた様子で、まだ唸る虎に手を伸ばし、宥めている。





「あっ!そうだ!」


布の山から、ヒョコッと頭を出した赤毛のユノが良い事を思い付いたと叫び声を上げた。それに反応するのは煩い鳥。



「何だよ、急に!」
「ハロウィンに蘇る悪霊達がもし攫いにきても、虎がいたら大丈夫じゃない?」
「は?」
「みんな、虎に守って貰えば良いよ!」
「なに言って…」


確かに、悪霊達もあの厳つい虎には敵わないだろう。妙に納得し、頷きかけた時、違う場所から叫び声が上がる。



「それは駄目っ!!」


騒がしい会話を止めたのは…虎にしがみつくチャンミン坊ちゃんだ。



「ユノは僕だけのユノだから!他の人を守る余裕なんて、ないの!!」




それまでにない、必死の叫び声だと感じたのは、俺よりも本人らしい。集まる視線にハッとして、顔を赤く染めている。



「…う、煩くして…ごめんなさい…」



何故か皆に謝るチャンミン坊ちゃんの動揺ぶりを目にし、可憐さに頬を緩ませた。
それと同時に、突き刺すような鋭い眼差しを感じた。




「…俺のチャンミンを勝手に見るな!」



あっと言う間に虎から人の姿に変化したユノがチャンミン坊ちゃんを抱え上げ、周りに冷たく言い放つ。そして、くるりと背を向け、その場から居なくなった。





「…ユノ様。虎ユノさん、怒ってましたね」

微かに震えるチャンミンが俺を見上げ、呟く。

「虎はかなり嫉妬深いみたいだな…」

頷き返していると、また鳥が賑やかに騒ぎ出す。




「虎は当てにならないから、やっぱり衣装が必要だって!」


作業に戻れと叫ぶ鳥。けれど、虎が居なくなった事が悲しいのか、それまで楽しんでいた双子が泣き出す。




「双子ちゃん!泣かないで!」
「もしかして、お腹空いた?」



母鹿チャンミンと俺のチャンミンが慌てて駆け寄る。それから、赤毛ユノとオオカミチャンミンが裸のまま、飛び出してきて、お互いにお互いを隠そうと慌てている。



「もう!だから、間に合わないってば!」



鳥は誰にも届かない叫び声を上げ続けていた。












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ジャンル:
小説
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