Reverse

一応、秘密の…ホミンのお話置き場です。

ホミンだけ。ホミンの幸せが最上の幸せです。

夏の特別編 12

2017-08-05 | 夏のケーキ屋さん



幼い子の声には自ら応えたいと、チャンミンは今にも駆け出しそうだった。チャンミンの身体は大事な時期だ。もし、躓いてしまったら大問題だ。過保護だと自覚しながら、じっとなどしていられなくて、急いでチャンミンを抱え上げ、店先に向かった。


扉を重そうに開けて入ってきたのは…幼い子供だけではない。何処かで見たような容姿の母親は俺を見て固まる。幼い子供達は俺達を見上げ、わあっと歓声を上げていた。


「おにいちゃんがケーキやさん!?」
「うわ!!パパにそっくりだね!!」
「だっこしているのは…およめさん!?ママにそっくりだ!!」
「ほんと!ママににて、かわいい!!」

先に子供達へ微笑んでいたチャンミンは母親を見て、声を上げる。

「あれ!鹿ミンちゃん!?いや…違う?トナチャミちゃんとも違うし…看護師さんんとも違う…」

思い切り眉間に皺を寄せ悩んでいるチャンミンを見て、驚きを隠さなかった母親は頭を下げる。




「えっと、どうしてここに来られたのか、僕にもよく分かりませんが…。こ、これは夢なのかも知れませんけど…それならそれで楽しめば良いと思いまして、お邪魔しました。えっと、美味しいケーキを僕達親子に分けてくれませんか?…でも、何故か、財布を忘れてしまっていて…代金がお支払い出来ないんです。あっ!その代わりに、何かお手伝いをさせていただけると有り難いんですけど!あ、幾ら夢でも勝手な事を言い過ぎですよね!すみません!!」
「ケーキやさん!!ママ、ケーキがだいすきなの!」
「ぼくもだいすきだから、たべたいな!!」
「くだものいっぱい!!」
「クリームもいっぱいね!!」
「ユノ、チャミナ、我が儘は言わないの」


申し訳なさそうに長い説明をされても、状況はよく分からない。それでも、俺のチャンミンに似た母親の言い分や、可愛い子達のお強請りを突き放すなんて、俺には出来ない。




「選べる程の種類はないが…どれでも好きなものを…」
「ユノ様!僕も一緒に食べたいです!!」
「…え?」

プリンだけで満足なんて出来る訳ない。幼い兄弟にショーケースの中身を説明し始めた俺のチャンミンは、同じように大きな目を輝かせているから、もうこの先の結果は変わらないだろう。
表の扉に早々と閉店の看板を掲げ、今日の営業は諦める事にした。








ジャンル:
小説
コメント   この記事についてブログを書く
« 夏の特別編 11 | トップ | 夏の特別編 13 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

夏のケーキ屋さん」カテゴリの最新記事