七夕 7
2017-07-10 | 七夕
「そうですよね。仕事は楽しいですけれど、そればかりでは…」
チャンミンは言葉を返しながら、時折、目を伏せて、はにかむ。緊張感と恥じらいと、分かり易い好意を見せてくれるからか?いじらしさに心を揺さぶられ…思わず、手を延ばしたくなる。
「あ、あの!」
「どうしました?」
突然、張り上げられた声は何を意味するのだろう。まだ待てと…薄れがちな自制心を戒める為か?妙な動揺は奥へと隠して、笑顔を取り繕う。
「ユノは…今までに…恋をした事はありますか?」
「…え?」
「僕は今まで、他人に興味を持った事はありませんでした。でも…ユノの事は違います。もっと知りたくて堪りません…」
「……」
「…もう夫婦になると決まっていますが…僕は今、ユノに恋をしています。だから…」
消え入りそうな告白を聞いてしまった。嬉しい言葉を与えられ、心を強く揺さぶられる。
何もしないでいるのは無理だ…。途切れてしまった言葉の続きを期待して、自身の気持ちを解き放つ。
「俺も同じです」
「…え?」
「生まれて初めての恋を…今。この瞬間にも…しています」
「……」
「どう言った手順を踏むのが正しいのか、俺には分かりません。だから、無礼を働いても…お許し下さい」
「あ…」
抱き合うだけでは、満足出来ない。無理に引き寄せ、華奢な身体を腕に閉じこめて…自由を奪う。手のひらを頬に添えてから、滑らせた指先で顎を上げる。
「…ユノ」
「…チャンミン…」
互いの名前を囁き、同時に目を閉じる。躊躇いを乗り越え、温もりを重ねた瞬間。甘美な幸せが…至る所へ広がった。
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