Reverse

一応、秘密の…ホミンのお話置き場です。

white 25

2017-11-18 | White





「…ん」

「うわ!女神様が目覚めた!」
「綺麗だけど、可愛いかも!」


「…え?」


いつの間に…僕は意識を失っていたのだろうか。あちこちから聞こえる声は…何だろう。不思議に思いながら、目を開けると、心配そうなユノの顔が飛び込んでくる。


「チャンミン、大丈夫か?」
「…あれ?ユノ…。ここは…?」


ユノに手を延ばすと、握り返された。それだけで安堵感に包まれる。もっと温もりを確かめたくて、抱き着こうとした時。ぴょこぴょこと小さな姿が視界に入る。



「女神様!お怪我はありませんか?」
「この不審者は女神様の夫だと言うのは本当ですか!?」
「」

「…ああ、可愛いリスさん達の声だったのか。え?でも、僕はユノと夜空を飛んでいたんじゃ…」
「チャンミン。こいつらは可愛いリスじゃない。警戒心が強く煩い…」

「こら!不審者!!女神様に触れるな!!」
「そうだ!そうだ!」

「…あの、その女神って…誰の事?」

「女神様は天から降りてきた美しい方の事!」
「可愛い貴方の事です!!」

「…え?」

ユノの肩に次々と並ぶ可愛いリスさん達は、不思議な呼び方をして、僕の心配をしてくれた。









「だから、巣穴を荒らして悪かった…」
「…本当に、ごめんなさい」

赤い光に目がくらみ、僕が気を失ったせいで落下した先は、リスさん達の住処だったみたい。ユノから経緯を聞きながら、上を見ると、天井らしき部分に大きな穴が開いていた。小さいとは言えない空間の先に、お月様が覗いている。直す作業は大変だと聞けば、罪悪感しかない。ユノと一緒に頭を下げた。


「女神様は謝らなくて良い!」
「旦那は修理を手伝え!」

 
何故か、僕に対して優しいリスさん達は、ユノに厳しい口調を向ける。それでもユノは深く頭を下げ、真剣に謝っていた。





夜なのに、明るい不思議な空間に住むリスさん達は、ただのリスじゃないらしい。何でも精霊と呼ばれる特異な存在で、この世界は僕とユノが元いた世界とは全く違う場所だと知る。


「何にも知らないのか!?」
「それでよく、危険な空を飛んでたな!」

「ああ、そうだな」
「…何も知らなくて、ごめんなさい」

「ああ!女神様は謝らなくて良い!」
「そうだ!女神様は悪くない!!」

「…でも」

「そうだ、チャンミン。チャンミンは悪くない」
「だけど、ユノ…」

「それより、女神様!お腹空かない?」
「ボク達の食料!分けてあげるよ!」


ユノもリスさん達も、僕を責めない。みんなして、体調を気遣い、心配してくれる。

先を急ぐ必要があると分かっていても、厚意を無に出来ない。それに足りない知識を補いたいと思ったから、躊躇いながらも頷いて、僕はユノの胸へと沈み込んだ。