森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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生活保護引き下げ発言にみる欺瞞
小宮山洋子厚生労働相は25日午後の衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で、生活保護費の支給水準引き下げを検討する考えを表明した。生活保護の受給開始後、親族が扶養できると判明した場合は積極的に返還を求める意向も示した。
消費税の増税や年金額の切り下げなど、国民に痛みを強いる改革を進めているため、生活保護も聖域視せず、削減する必要があると判断したとみられる。
過去最多の更新が続く生活保護をめぐっては、自民党が10%の引き下げを求めており、見直しの議論が加速するのは必至だ。
生活保護支給引き下げ検討 厚労相、見直し表明
指摘しなければならないのは、生活保護水準の引き下げの理由に「聖域視はしない」をあげていることです。
とってつけたような理屈です。なぜなら、聖域をもうけない姿勢を政府は貫いているわけではないからです。
聖域を設けないというのであれば、消費税増税を提起する前にそのほかの税目を見直したでしょうか。法人税の引き上げはどうか。一部に富裕税を導入せよという声があがっていましたが、高額所得者への課税強化に手をつけたでしょうか。そんなことはありません。
他方で、経団連からの消費税の税率をさらにあげよ、法人税の税率を下げよという牽制があって、政府の態度はこれをそのまま引き受け、まさに大衆課税の途を選択したではありませんか。
だから、小宮山厚労相のいう「聖域視せず」という言葉は欺瞞にほかなりません。
厚労省のこの発言は、むしろ今、河本準一氏の親族の生活保護受給をめぐって「不正受給」の嫌疑がかけられ、同氏が釈明をしたのを契機に発せられたとみてよいようです。
この一件は周知のとおり、自民党・片山さつき氏が取り上げたことに端を発しています。しかし、この件をふりかえり、冷静にそもそもの経過をふりかえり不正受給ではないと判断した意見もみられます(参照)。この意見で整理されている論点には頷けることが少なくありません。
が、「これをきっかけに生活保護が『困っている人たちにまんべんなく』与えられるようになることを願う」とした筆者の願いもむなしく、むしろ逆に生活保護を現に受給している人たちの生活を困難にする方向に、さらにこれから生活保護を受給しようと思う人たちや受給しなければならない人たちを排除する方向に事態を動かそうと政府は考えているということです。
同時に、生活保護水準は事実上、最低賃金とリンクしているので、労働者の賃金動向に少なからず影響を与えかねません。生活保護水準引き下げは、たとえば非正規労働者の時給に波及してしまうでしょう。
こう考えてみえてくるのは、民主党と自民党という二大政党が国民に痛みをおしつけることを競いあう構図です。
表面上はあたかも政権党と自公が対決しているかのようにふるまいながら、消費税増税でも、社会保障水準の切り下げでも基本路線は同じで、つけを国民に回すことでは一致しているといえます。
これまでも生活保護が切り捨てられる口実に常に「不正受給」があげられてきました。増税案を通すために、同様に今回、自民党の片山議員がとりあげ問題として煽る。政府がこれに応じて切り下げを表明する。こんな茶番といえるような筋書で、社会から排斥を強いるかのように、人権侵害の疑いすら感じざるをえないほどに追い込んだあげく、多くの国民に痛み広げ押しつけようとしているのですから、これら政党には厳しい審判を下すほかありません。

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橋下カジノ誘致発言はNO。大阪の将来は府・市民が決める
橋下市長は24日の定例記者会見で、福井県おおい町の大飯原発再稼働などについての考えを述べた。
――福井県の西川一誠知事が、(再稼働への慎重論が根強い)関西に対して発言しているが。
「立地県として、施設を抱え、いろいろと責任を負っている知事の発言は真摯に受け止めないといけない。ただ、僕なりに、しっかりと日本全体のこと、未来のことを含めて1年ちょっと考え抜いて、今の方針を出している」
――敵を作って議論していくスタイルについて、ワシントン・ポストが記事で分析しているが。
「バトルゲームのように次から次へといろいろな人(敵)が出てきてしまうが、政策の方向性を示して敵が出てこない方がおかしい。行政は全会一致でうまくまとめるが、政治は舵を切るものだから反対意見は出てくる。最後の解決は、話し合いか駆け引きか、それでも解決しなければ選挙になる」
――カジノ構想について改めて考え方を。
「増税は必要だが、消費税や所得税ではなく、カジノで楽しんでもらって金を吸い上げればいい。本当にうまく使えば、観光や集客だけでなく、所得再分配機能として有力なツールだと考える。カジノで遊んで一定の金額を行政が確保すれば、低中所得者に回すことができる」(2012年5月25日08時04分 読売新聞)
橋下市長「次から次へ敵が出てきてしまうが…」
世の中のものすべてを橋下市長は勝ち負けでみる、こういう習慣が身についていると断言するにふさわしいと思える発言です。
反対意見は出てくる。最後の解決は、話し合いか駆け引きか、それでも解決しなければ選挙になる
この辺りなんか、政治もゲーム感覚でとらえているといわれてもしかたがない認識です。そもそも行政の長として、こんなゲーム脳でよいのか、見識が問われてしかるべきです。
いやしくも民主主義のしくみの中に身を置くのなら、時間と手間がかかっても議論を尽してこそ、その観点で先頭に立ってこそ市長の役割を果たしうると考えられるのではないでしょうか。
政治をみる際にもこんな認識ですから、ましてやギャンブルを考えると、彼の親和性は最大限の針の振れ方になるとたとえてもよいようです。
市長は以前、大阪府知事時代につぎのような発言し問題になっていたくらいでした(参照)。
ちっちゃいころからギャンブルを積み重ね、勝負師にならないと世界に勝てない
カジノを誘致すれば大阪はどうなるのでしょうか。活気あふれる街になるとでもいうのでしょうか。
あるいは市長がいうように「カジノで遊んで一定の金額を行政が確保すれば、低中所得者に回すことができる」のでしょうか。でも、世界一といわれるマカオがすでにある中で、こんなものは幻想にすぎないといっていいように思えます。
反対に、依存症の社会的影響をこそ心配しなくてはならないと考えますが。
これまでにもさまざま語られているように多重債務がすでに社会的な問題になっている日本。
同じようにカジノ誘致によって、財産を失い自殺や路上生活者の増加などの悲劇をもたらす可能性は大きいと推測されます。この意味で大阪が不健康都市になるのはむしろ目にみえている、こう思えてなりません。
ギャンブルは負ける人がいるのが前提で組み立てられている世界。
だから、これを容認するだけでなく推進しようとする市長の態度は、そのまま競争原理と自己責任論にのっとった彼の政治姿勢にも連なっています。
橋下市長は以前、「政治判断もある種のギャンブル。先進国こそギャンブルが必要で、国民全員を勝負師にする必要がある」とのべていたことが伝えられています(参照)。
勝負師を押し付けられるのは、まっぴらごめんです。
どのような国に、あるいはどのような大阪にするのか、それは橋下市長が決めることではありません。
日本をどのような国にするかは国民が決めるもの。大阪をどのようにするのか、それは大阪府・市民が決めるものにほかなりません。
カジノ容認発言は断じて認められない、これが私たちの選ぶべき選択肢ではないでしょうか。
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