南斗屋のブログ

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通勤時の交通事故と労災申請

2007年09月19日 | 労働関係
 労災の申請について、多い相談はこのような相談です(以下の相談は、複数の方の相談をまとめたもので、特定の方の相談ではありません)。

 「私は、会社に勤務していて、通勤時に交通事故に遭いました。加害者には任意保険会社がついていますが、どうも支払いの交渉がうまくいきません。
 通勤時でしたから、労災も請求できるのではないかと思い、労災申請できるかどうかを会社に聞いてみましたら、会社の方で、『加害者の方で任意保険があるなら任意保険から支払ってもらってください』と言われてしまいました。
 このような場合、労災申請はできないのでしょうか?」

 まず、問題を整理してみましょう。

 通勤時に交通事故にあった場合は、
1 加害者に対して損害賠償を請求できます
2 通勤時の災害ということで、労災の適用要件を基本的にはみたします

 問題は、1と2と両方ある場合、労災を申請できるかということですが、労災を申請することはできます。
 つまり、労災と任意保険会社とのどちらへも請求できます。

 もっとも、双方から二重取りできるわけではありません。

 では、どうして労災を申請する必要があるかというと、任意保険会社の対応が悪いとか、被害者の方にも過失がある程度あって、それがどの程度なのかが問題となっているかなどで、任意保険会社が支払いを渋る場合があるからです。
 
 このような交渉が行き詰まりを見せること自体、被害者にとってはストレスです。
 ただでさえ、怪我を負って、日常生活や仕事に影響が出ているのに、なれない交渉ごとをしなければならないというのは、非常に負担です。

 そこで、労災の方がスムースにいくのであれば、そちらで申請しようと考えるのですが、会社の方でも、「任意保険会社の方で・・・」などと言われると、ますます行き場がなくなってしまうわけです。

 先にも述べましたように、労災の適用要件があれば、会社側は申請を拒めないのですが、相談のケースのように、「任意保険会社から支払ってもらってください」などと会社の担当がいうのは、そのようにしてもらってくださいという単なるお願いと考えるべきで、それ以上のものではないのです。

 しかし、実際に会社の労災担当の方に言われてしまうと、被害者側としては、労災の申請はできないのではないか・・・と思ってしまうのが、一般的だと思います。

 法律の筋としては、会社は労災申請をしなければならないわけですから、被害者側が、毅然とした対応をすれば、本来、労災申請は通らないとおかしいです。
 もっとも、かなり粘らないと会社の担当者を説得できない場合もありますので、交渉ごとが負担だという方は、弁護士などの専門家に任せてしまった方がよい場合もあるかと思います。
 
 

 
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