声の仕事に魅せられ

北関東のFMラジオ局主宰の話し方講座や企業・学校などで講師を務めるフリーアナウンサーの近況やイベント情報など。

懐かしい声

2017-05-18 08:45:27 | 清水由美のDiary
数日前、

昔、お世話になった人から突然の電話がありました。


着信通知で、すぐに懐かしい人からだとわかって

「ご無沙汰しております!」

と、出たとたん、

かけてきた彼女の方は、

開口一番に

「え〜っ!まだ残しておいてくれたんだ‼︎」

と、


昔のままの弾んだ声で

私が電話番号を消さずにいたことに、甚く感激しているようでした。


彼女は、私が今から15年近く前に事務所として借りていた部屋の管理者でした。

年齢は私より7つか8つ上ですが、とても気さくで面倒見の良い人で、

当時、建築関係の会社の不動産部門で仕事をしているバリバリのキャリアウーマンでした。


当時の私は、フリーランスの仕事を受けるための事務所を開業したばかりで、

高い賃貸料が払えないため、

月3万という約束で、彼女の事務所の一角にある四畳半くらいのスペースを間借りしていました。


カウンターに椅子とパソコンを置き、

そこで時々、個人レッスンをしたり、
レッスンのない日は企画書を作ったり、
取引先との商談をしたりしていたのですが、

パーテーションで仕切られただけの部屋なので
隣の会話は筒抜け状態、

そのため、レッスンの予約が入ると、
なるべく彼女の就業時間が終わってからにするなど、

迷惑をかけないようにと、気を使うこともしばしばでした。


彼女は彼女で、

不動産を探しているお客さんや、同業者、
それに様子を見にやってくる彼女の会社のオーナーなどが入れ替わり立ち替わりやってきては

大声で話しているのが、否応なしに聞こえるため

私に対しては、

「ごめんね!大声で…」

と、彼らが帰って行ったあとで苦笑いしながら、こちらを気遣ってくれたものです。


ですが、

私は、その時期、よい社会勉強をさせてもらったと思っています。


まったく世間知らずだった私に、

不動産業の厳しい現実を思い知らせてくれたのも

女性が再就職して働くための覚悟とは、
どんなものなのか、を教えてくれたのも彼女でした。


賃貸料を滞納している人がいると

「ちょい、家賃の取り立てに行ってくるから留守番してくれる?」

と行って明るく笑って出ていく時もあれば、


別の日は、いつのまにか夜逃げしていなくなった住人の部屋を片付けて帰ってきたのか、

「あぁ、ゴミ袋20個も運んだら腰が痛くなっちゃった!」

と苦笑しながら帰ってくる…。


かと、思えば

同業者からはランチに誘われては、

「これからデートなんよ」

と嬉々として出かけていく…。

それが本当は競合他社と面倒な交渉をしに行くためだったとしても…嫌な顔ひとつせずに、

彼女は赤い口紅を引き化粧直しをして、気合を入れて、出掛けて行く…

いつも、そんな具合です。



そんなコマネズミのように忙しく動き回る彼女に

「なぜ、こんなに、いつも笑っていられるんだろう」

と不思議に思っていたある日、

彼女が打ち明けてくれたのは、

10年前にご主人を病気で亡くされ、商売をたたみ残った借金を返済するために再就職したこと、

働きながら女手ひとつで娘さん2人を育てあげたこと…

再就職した当初は慣れない不動産業の資格を取るために猛勉強したことなど

その当時の私などには想像もできない数々の苦労でした。


そして何より、印象に残っているのは、

「男性の業界で対等にやり合うには負けん気も大事だけど、業界の人間とうまく付き合って行くことも大事なんだよ…」

と話してくれたこと…。


その当時、新規の取引先とのトラブルでケンカ腰になって話をしていた私のことをよく見ていたのです。


電話で昔ばなしをしながら、
ふと、あの頃のことを思い出しました。

「まだ、もうちょい働きたいと思っているのよ、
でも会社やめてからは、年金生活…」

続けて、

「だけど、まだ働けるし、もうひと花咲かせたいのよね!」


“かかあ天下魂”はいまだ健在…。


T子さん、

ありがとうございました。



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