ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“Gynoid Multitype Cindy” 「事件解決」

2016-10-17 21:11:01 | 脳内妄想SFツアー
[10月9日17:30.天候:曇 栃木県南部某所・某廃屋]

 ボス:「早く外に出て舌を噛み切りやがれ。さもねぇと、御主人様の頭が無くなるぜ?10、9、8、7……」
 アリス:「ちょっと!カウント早いわよ!」
 ボス:「うるせぇ!」
 シンディ:「マスター!」

 シンディはダッと廃屋の外へ飛び出そうとした。
 しかし!

 ボス:「……2、1、0!」
 ヤス:「わっ、わあああああっ!!」

 何と、ヤスがボスに飛び掛かった。

 ボス:「てめッ!!」

 ボスは銃口をアリスではなく、ヤスに向けて発砲した。

 ヤス:「うっ……ぐぅっ……!」

 ヤスは胸に3発ほど被弾した。

 アリス:「えいっ!!」

 アリスはその隙を突いて、ボスの肩口に手持ちのドライバーを突き刺した。

 ボス:「ぐわっ!こ、このクソ女っ!!」

 ボスがアリスを殴り付けると同時に、

 シンディ:「ロケット・アーム!!」

 シンディが左手から有線ロケットパンチを飛ばした。

 ボス:「だぁっ!!」

 シンディの怒りの拳はボスの顔に命中し、ボスは2〜3メートルほど後ろに殴り飛ばされて、ついに動かなくなった。

 シンディ:「マスター!大丈夫ですか!?」

 シンディがアリスに駆け寄る。

 アリス:「何とかね。それより、早くこいつを縛り上げなさい!」
 シンディ:「かしこまりました!」

 シンディは使用していない電動ドリルのコードと延長コードを使って、ボスの手足を縛り上げた。
 その頃にはシンディに気絶させられた部下が目を覚ましたが、外からパトカーのサイレンの音が何重にも響いた。
 抵抗しようにも、銃器はシンディに取り上げられてしまっている。
 部下Aが逃げ出そうとしたが、

 鷲田:「よぉーし!DCJ関係者以外全員逮捕する!抵抗すると撃つぞ!!」
 村中:「全員両手を上げろ!今すぐだ!」

 踏み込んできた警官隊に退路を断たれ、万事休すと相成った。

 鷲田:「ん?そいつはどうした?」
 シンディ:「こいつらの仲間で、フランケンのユーザーだったみたいなんだけど……」
 村中:「警視、残念ですが……もう……」

 村中は血だまりを作って倒れているヤスの姿を見て、静かに首を振った。

 鷲田:「そうか。だが、死亡確認をするのは私らではない。すぐに救急車の手配だ」
 村中:「はっ!」
 シンディ:「マスター。どうして、こいつはボスに飛び掛かったりしたんでしょうか?私には分析不能です」
 アリス:「時々とんでもない行動を起こすのが人間なのよ」
 鷲田:「何があったのか、またお前のメモリーを頂戴するぞ」
 シンディ:「メモリーチップがいくらあっても足りませんねぇ……」

 シンディはボーカロイドと違い、ちゃんと人間の耳の形をした耳穴からメモリーチップを取り出した。
 ボーカロイドの耳は、ヘッドホンの耳当てを模した形になっている。
 ヘッドセットと組み合わさって、まるで常にヘッドホンをしているかのようなスタイルになっている。
 対してマルチタイプは無線通信機やGPSを搭載したヘッドセットを着けているだけで、耳の形は人間と同じ。
 以前、ボーカロイド達のマイナーチェンジ化に合わせ、マルチタイプもマイナーチェンジさせる一環でボーカロイドと同じ耳の形にしたが、却って集音機能が劣化した為、元に戻されている。

 シンディ:「こちらにフランケンと戦ってから、ここで警視と会うまでの記録が私視点で記録されています」
 鷲田:「よろしい。あー……うむ。どうやら、悪党どもに対しても実弾は使わなかったようだな」
 シンディ:「もちろん、取り決めには従っておりますわ」
 鷲田:「そうか。一発だけでも誤射してくれたら、それを理由にお前をしょっ引けるのにな」
 シンディ:「それは残念でした」
 鷲田:「いいか?私はお前を“東京決戦”或いはそれ以前からのテロロボットと同じだと思っている。そう簡単に信用は勝ち取れないものと思え」
 シンディ:「……分かりました」
 鷲田:「……とはいえ、今回はよくやったとだけは言っておこう」
 シンディ:「! ありがとうございます」
 鷲田:「美術館無断侵入の罪は、これでチャラにしといてやるよ」
 村中:「警視!救急車が到着しました!」
 鷲田:「よーし!」
 シンディ:「あの、警視!」
 鷲田:「何だ?」
 シンディ:「マスター……アリス博士がギャングのボスに頭を殴られたので、一緒に病院に搬送して頂けませんか?」
 鷲田:「なに?それは本当ですかな?」
 アリス:「うん。ちょっとタンコブできたかも……」
 村中:「いいですね、警視?」
 鷲田:「すぐに救急車へご案内しろ。これで親分の方は、殺人未遂罪でもしょっ引けるわけだ」

[同日19:00.天候:晴 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー会議室]

 敷島:「……というわけでありまして、敷島エージェンシーとしても、ギャング団の一斉逮捕について大変喜ばしいものであると考えております。ギャング団達においては、法の裁きを受け、己の罪に真摯に向き合ってもらいたいと考えています」
 記者A:「敷島社長、今回の功労者は社長の秘書であると伺っているんですが、ご紹介してもらえませんでしょうか?」
 敷島:「分かりました。シンディ、入ってこい」

 敷島はシンディを記者会見場に呼んだ。
 シンディが入って来ると、一斉にシンディに向かってフラッシュが焚かれる。
 シンディは敷島の横に立って、両手を前に組んでいた。

 敷島:「今回のギャング団の一斉逮捕について、彼女の功労無くしては解決できなかったものでありましょう。皆さん、“東京決戦”については未だに御記憶に新しいかと存じます。その時の黒幕であるドクター・ウィリーの片腕として、実行犯のリーダーとして暗躍した彼女は似て非なるものです。彼女は当時のボディを捨て、それと姿形は同形でありながら、今は正義のマルチタイプとして活躍しております。私の目が黒いうちは、彼女にもう“東京決戦”やそれ以前のことは絶対にさせません」
 記者B:「敷島社長、KR団の残党についてはどうお考えですか?」
 敷島:「彼らの主張には一理あるとは思います。ですが、結局ロボットやロイドは使う人間次第なんです。使う人間が誤らなければ、彼女らは人間の良きパートナーとしてよく働いてくれるでしょう。敷島エージェンシーは、そのように考えています」

[10月10日15:00.天候:晴 埼玉県さいたま市西区 DCJロボット未来科学館・研究室]

 仕事が終わったボーカロイド達が、ルカの見舞いに来ていた。

 MEIKO:「ルカ……。こんな痛々しい姿になって……」
 ルカ:「自由に歩けないのが辛いね。早く歩けるようになって、思いっ切り歌いたい」

 ルカは相変わらず、下半身が無いままだった。

 KAITO:「まあ、博士達がキミの新しい体を急いで作っておられる。もう少しの辛抱だ」
 ルカ:「ええ」
 鏡音リン:「んじゃ、ルカ姉!ファンの人達に向かってメッセージを送るから、リンの方向いて!」
 ルカ:「えっ?そんな、急に……!」

 リンの右目の下、ほんの僅かに赤いランプが点いている。
 メモリーへの映像記録中という意味だ。

 ルカ:「えー、皆さん。こんなことになってしまって、ごめんなさい。私……」

 ルカがファンへのメッセージをリンを通して行っている中、その様子を敷島が難しい顔をして見ていた。

 敷島:「ルカの体を真っ二つにしやがったのは、フランケンじゃなかった。すると一体誰が?……KR団の生き残りしかいないだろうがな!」
 井辺:「社長、鷲田警視からお電話です」
 敷島:「あー、分かった分かった。……もしもし?」

 もちろん、フランケンを倒し、ギャング団を警察に突き出したことは1つの勝利であるが、どうもKR団の生き残りに踊らされているような気がして、不快感の取れない敷島だった。
ジャンル:
小説
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