ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“Gynoid Multitype Cindy” 「海外逃亡」

2016-09-17 20:55:43 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月4日01:28.天候:不明 宮城県栗原市郊外 廃坑入口付近]

 平賀は固唾を飲んで、『走る司令室』内のモニタを見ていた。
 シンディからの映像は相変わらず砂嵐のままだったが、敷島達が持って行ったヘッドセットに付いているカメラからの映像は鮮明だった。

 平賀:「……あっ!?」
 敷島:「あれはシンディ!?」

 平賀は通信マイクを握りながら言った。

 平賀:「気をつけてください。もしかしたら、暴走して襲って来るかもしれません!」
 敷島:「いや、こっちは生身の人間が2人なんだから、今更気をつけたって遅いですよ」
 平賀:「ええっ?!」
 敷島:「平賀先生もそれくらい分かるでしょう」
 平賀:「いや、それはそうですけど……!」

 敷島とアリスはシンディに近づいた。
 シンディは、袋小路になっている空間の壁にもたれかかるようにして座り込んでいた。
 俯いている為、今がどういう状態なのか分からない。

 敷島:「おい、シンディ。俺が分かるか?」

 シンディは右手をマシンガンに変形させたまま、稼働を停止していた。
 アリスがすぐに手持ちのチェッカーで、シンディの状態を確認する。

 アリス:「何てこと……。弾を全部撃ち尽くしているわ」
 敷島:「そんなに強い敵と戦ったのか!?……いや、違うな。恐らく、そんな強い敵と遭遇した『幻覚』を見たか」
 アリス:「あと、バッテリーが……。メイン・サブ・スペア全部切れてる!?」
 平賀:「それもウィルスの症状の1つですね。うちの七海がネット接続中に、うっかりウィルスに感染したことがあって、バッテリーがどんどんどんどん減って行く症状を出したもので」
 敷島:「ソフトウェアをそっくり入れ替えないとダメってオチ?」
 アリス:「詳しく調べてみないと分かんないけど、そうなるかもしれないね」
 敷島:「どんだけ掛かるんだよ、それ……」

 敷島エージェンシーの業務に支障をきたす恐れがあった。

 アリス:「平賀教授、シンディの回収にエミリーを貸してくれない?」
 平賀:「ウィルス汚染は大丈夫なのか?」
 アリス:「ここまでのルート上にあった装置は、全部タカオが破壊したから」
 敷島:「こんなのテロ兵器以外の何物でも無いですからね、全部破壊に決まってますよ。どうせなら、この坑道ごと爆破したいくらいだ」
 平賀:「気持ちは分かりますが、自分も行きますよ」
 敷島:「えっ?」
 平賀:「その装置の1つをサンプルとして持ち帰ろうと思います。どんなメカニズムなのか、自分も興味がありますから。それに、それが佐久間教授の家にあったものと同じなら……あいにくと、彼がクロであった証拠になりますから」
 敷島:「なるほど。それじゃ、一旦戻ります。アリス、ウィルススキャナーを貸してくれ。まだ実は壊し忘れたヤツがあったりしたら、エミリーまで感染してしまう」
 アリス:「分かったわ」

[同日02:15.天候:晴 坑道内]

 平賀とエミリーも坑道に入って、シンディと破壊されたウィルス汚染装置(便宜上の呼称)の残骸を回収した。
 エミリーは妹機を背負って、坑道の出口を目指した。
 シンディは目が半開きの状態で、電源が落ちていた。
 その目にはライトが灯っておらず(※)、本当にバッテリー上がりで停止するまで戦い続けたというのが分かった。

 ※ロイドに限らず、DCJ製や平賀が製作したロボットにおいても、電源が入っていることが分かるようにする為、両目が僅かに光るようになっている。但し、明るい所では分からない程度の照度。欠点は明るい所では分かりにくいのと、スリープ状態の時は目を閉じる仕様の為に、全く分からなくなることである。

 どうにか坑道の外に出し、『走る司令室』まで戻った時、置いていった敷島のスマホが鳴っているのが分かった。

 敷島:「はい、もしもし?」
 鷲田:「おっ、やっと出たか。つい、ロボット達にやられたのかと思ったぞ」
 敷島:「さすがにそれは無かったですがね。何かあったんですか?」
 鷲田:「ああ。どうでもいい話と悪い話がある。どっちから聞きたいかね?」
 敷島:「どうでもいい話から聞かせてください。後の方が、寝付きが悪くなりそうです」
 鷲田:「これは海上保安庁からの情報なんだが、南太平洋から日本にやってきた貨物船が拿捕された。罪状は禁制の武器などを隠し持っていたのが臨検でバレたというものだ」
 敷島:「確かに、どうでもいい話ですね。悪い話というのは?」
 鷲田:「その船会社なんだか、昨晩に仙台港を別便が出航したらしいんだが、どうもその中に例のロボットが乗り込んだらしいな。押収した積み荷のリストの中に、どう見ても電ノコ男の姿をした絵柄の人形を積み込んだことになっているんだ」
 敷島:「と、いうことは!?」
 鷲田:「散々っぱら、我々やキミ達を荒らし回ったあげく、悉く先手を打たれて海外逃亡されたってわけだよ」
 敷島:「くそっ!……その船の行き先は?」
 鷲田:「フィリピンになっているが、おおかたフィリピンに着く頃にはドロンだろう。我々も、海外までは手が出ないからな」
 敷島:「……!」
 鷲田:「キミ達の方の状況はどうかね?」
 敷島:「シンディは発見しましたが、ウィルスに汚染されている上、バッテリー上がりで停止中です」
 鷲田:「回収できただけでも良かったじゃないか。できれば、彼女が遺した映像の解析結果を、我々にも回してもらいたいものだがね」
 敷島:「『幻覚』なんか見たってしょうがないでしょう?」
 鷲田:「だが、真実の記録も一部は残っているかもしれん。頼むよ」
 敷島:「分かりました」

 敷島は電話を切った。
 そして、鷲田警視からもたらされた悪い話を皆に話した。
 当然ながら、皆して落胆の色が出たのは言うまでもない。

 敷島:「とにかく、ここを離れましょう」
 平賀:「うちの大学まで運んでください。どこまでできるか分かりませんが、取りあえず、応急処置くらいはしたいと思います」
 敷島:「分かりました。お願いします」

 敷島は『走る司令室』の運転席に座ると、それを発進させた。
 そして適当な空き地で方向転換すると、来た道を戻ったのである。
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4 コメント

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お知らせ (雲羽百三)
2016-09-18 11:45:33
 本文中に脱字等があったようです。
 後で修正します。
 失礼致しました。
お知らせ 2 (雲羽百三)
2016-09-18 13:32:09
先ほど、脱字を修正しました。
以外に凄い群馬県 (いおなずん)
2016-09-18 16:47:32
こんばんは。
地域ブランド調査万年下位の群馬県在住のいおなずんです。

こう見えても群馬県は何気に凄いのだ。

群馬県は家電業界ダントツトップのヤマダ電機
(学会員が社長?、そんなの関係ねー!)

業界第2位のビックカメラだって、創業の場所は群馬県高崎市なんだぜー

草津温泉は温泉番付で東の横綱だし、富岡製糸場は世界遺産じゃい。

でもなぁー。

群馬の県庁所在地は宇都宮と答えるバカはいるし、草津温泉は長野県と答えられては・・・

JRは不便だし、高速道路に群馬県の地名が無さすぎる。

と、いうことでしばらくこちらのコメント欄を使わせて頂きます。

群馬県の魅力を広宣流布じゃー。

迷惑なら止めます。
いおなずんさんへ (雲羽百三)
2016-09-18 18:24:15
 こんばんは。

 ここではポテンヒットさんもチャリレポなど書いてくれますし、いおなずんさんも是非書いてみてください。
 因みに、今挙げて下さった群馬県の特徴は私も知ってますので、どうぞご安心ください。

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