ノベラーエクスプレス関東

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 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“大魔道師の弟子” 「マリアの屋敷」 2

2017-06-30 19:20:03 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[6月29日12:00.天候:晴 長野県北部の山間部 マリアの屋敷1F大食堂]

 昼食の時間にイリーナはやってきた。

 イリーナ:「いや〜、よく勉強したなぁ……」
 マリア:「よく寝たの間違いじゃないですか」
 イリーナ:「睡眠学習ってヤツだよ」
 マリア:「どこが……」
 稲生:「先生。先生宛てに手紙が沢山来ています」
 イリーナ:「ん、ありがとう」

 イリーナは目を細めたまま、手紙の山を受け取った。

 マリア:「ね?師匠はこのまま渡しても、全然気にしない人でしょ?」
 稲生:「はあ、そのようで……」
 イリーナ:「ん?何が?」
 マリア:「いえ、何でも無いです。それより、早くランチにしましょう」

 人間形態になったメイド人形達が昼食を運んで来る。

 稲生:「お、今日はオムライスですか」
 イリーナ:「日本発祥の料理を作らせてみたよ」

 因みにマリアが作って、使役する人形はメイドのみ。
 コックが取り仕切る厨房はマリアではなく、イリーナが魔法で作り出した異形の者が行っている。
 コックの下で働くキッチンメイドやスカラリーメイドのみ、マリアが作り出した人形である。
 他にもイリーナが作り出した“使用人”は、コックの他に庭師やお抱え運転手がいる。

 稲生:「いいですねぇ、いただきまーす」

 表向きには屋敷の主人ということになっているマリアだが、実際の主人はイリーナである。
 イリーナ自身が世界各地を飛び回ることが多く、屋敷を空けることが多い為。
 イリーナがいる時は、ハウスキーパー(女主人代行、或いは女管理人)に徹するのがマリアである。
 メイド人形のリーダー2人ですら、屋敷の東西エリアどちらかのマスター・キーしか渡されていないのに対し、マリアはどの屋敷のドアも開けられるグランドマスター・キーを持っているからだ。
 因みに稲生は、自分の部屋の鍵しかもらっていない。
 あとは、元々鍵を掛けない共用室(この大食堂も含む)などにしか入れない。
 イリーナはどうかというと、自分では鍵を持たない。
 鍵を持ったメイド人形に開けさせるか、或いは自分で魔法で開けてしまう。
 尚、稲生専属メイドと称するダニエラがいるが、本来こちらはレディース・メイドだった。
 イリーナの身の回りの世話係としてマリアが用意したものだが、イリーナ自身がいないことの方が多い為、いつしか稲生に付いて(憑いて?)しまったものである。
 どうも最近、メイド人形達は稲生のことをこの屋敷の家令または執事だと思うようになっているらしい。
 どちらも上級使用人扱いであり、下級使用人と違ってその待遇はとても厚い。
 稲生は個室を与えられているが、上級使用人の特権の1つである。
 で、上級使用人の中には専属の使用人を使う特権もあり、ダニエラがそれを行っていることで、他のメイド人形や“使用人”からはそう思われているらしい。

 稲生:「お店にも負けない味ですよ。これは美味い」
 イリーナ:「良かったねぇ」
 マリア:「日本は食事の美味い国とは、よく言ったものです」

 もちろん、稲生はあくまでもイリーナの住み込み弟子としているわけであり、使用人としているわけではない。
 ただ、日本の住み込み弟子と言えば、師匠の身の回りの世話をするのも修行の1つとされており、稲生もそれを想定していたというのは正直な所である。
 だが実際来てみれば、イリーナはあまり屋敷にいないし、そもそも掃除だの料理だのは全部メイドや“使用人”達が行っている為、稲生のやることは殆ど無かった。
 与えられた部屋の掃除だって、最初は自分でやっていたが、そのうちダニエラがやってくれるようになった。

 イリーナ:「午後は引き続き、ユウタ君は魔法陣の書き方を勉強してね」
 稲生:「はい」
 イリーナ:「形は厳密にこだわる必要は無いんだけど、あくまでも今は基礎練みたいなものだから」
 稲生:「分かりました」

[同日14:00.天候:晴 マリアの屋敷・中庭]

 中庭の砂地に魔法陣を描く稲生。

 稲生:「パペ・サタン・パペ・サタン、アレッペ!五芒の星よ、その力を示せ。その証として、光輝いてみせよ」

 ポウッと五芒星の部分が光る。

 稲生:「……光っただけか。うーん……」

 ゴゴゴゴゴゴと背後に気配を感じる。

 稲生:「って、うおっ!?ダニエラさん!」
 ダニエラ:「稲生様……イリーナ様がお呼びです……」
 稲生:「イリーナ先生が!?分かりました。すぐに行きます」

 稲生は魔法の杖と魔道書を持つと、すぐに家の中に入った。
 因みに仕掛けとしては、ここで中庭のオブジェのガーゴイル像が、本物のガーゴイルに化けて襲ってきて、中ボス戦を侵入者にさせるというものである。

[同日14:15.天候:晴 同屋敷1F西側・大食堂]

 稲生:「お待たせしました」
 イリーナ:「あ〜、ユウタ君。あなたに頼み事があるよ」
 稲生:「頼み事?」
 イリーナ:「マリアの魔法の杖を静岡県で作ったって話は覚えてない?」
 稲生:「そういえばありましたね。あの時は威吹と一緒でした。そういえば、喋る大木がいましたね」
 イリーナ:「うん、そうだね。因みに威吹君が、エルダー・ツリーから教わった朴の木で作った鞘を転売していたことは黙ってておくよ」
 稲生:「『仲間の妖狐に何人か剣客がいるから、彼らの刀の鞘用に譲る為』とか言ってましたけど、売ってたのか……。さすがは妖狐だ」
 イリーナ:「そのエルダー・ツリーなんだけど、そろそろ稲生君用に魔法の杖を作ったらどうかって」
 稲生:「でも、僕はまだ見習ですよ?」
 イリーナ:「ユウタ君の才能と上達ぶりからして、想定外に早く一人前になれそうな気がするのは私だけじゃないと思うんだ」
 稲生:「そ、そうですかね……」
 イリーナ:「さっきの魔法陣。星型を五芒星を見立てて、そちら方面の魔力を出そうとする発想、さすが日本人ならではだと思ったね」
 稲生:「五芒星が安倍晴明と直結するという発想ですか。あの魔法陣を書いてみて、そう思ったんですよ」
 イリーナ:「いいと思うよ。最初は先生達の書いた魔法陣をマネをして、その後で自分のオリジナリティが出せれば大したものだから」
 稲生:「はい、ありがとうございます」
 イリーナ:「取りあえず現地までは私の魔法で行くから、そこから先の交通手段はユウタ君に任せるよ」
 稲生:「わ、分かりました」
 イリーナ:「いつまでも伸縮性の金属棒だけじゃ、心許ないだろうしね」
 稲生:「マリアさんとお揃いがいいです」
 イリーナ:「あー、ゴメン。それ、多分ムリ。魔法の杖ってのは、それを持つ魔道師の個性の表れだから。1つとして同じ物は存在しないんだよ」
 稲生:「何だ、そうですか。残念。まあ、しょうがないです。場所は富士宮でしたね。大石寺の近く」
 イリーナ:「朝霧高原の方が近いと思うよ」

 早速稲生の脳内に、富士宮から東京方面の交通手段が検索された。
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