ノベラーエクスプレス関東

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“大魔道師の弟子” 「魔界の不思議な旅 〜サウスエンド地区(南端村)〜」

2016-10-29 21:27:15 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[10月23日11:45.天候:晴 アルカディアメトロ環状線→サウスエンド駅]

 外観から内装から、走行音に至るまでJR西日本207系そっくりな電車。
 それに揺られて、アルカディアシティの南端部へと向かう。

〔「まもなくサウスエンド、サウスエンド、南端村でございます。リトル・ジャパン下車駅です。お出口は、右側です」〕

 JR東日本では聞けないインバータの音が響いて電車が止まる。
 そしてこれまたJR東日本の車両では聞けない2打点チャイムの音と共にドアが開く。

〔サウスエンド〜、サウスエンド〜。只今到着の電車は、環状線急行、外回りです。ドワーフ・バレー、インフェルノ・タウン、デビル・ピーターズ・バーグ方面へお越しの方は、こちらにご乗車ください〕

 稲生は電車を降りた。
 高架鉄道である環状線は、ほとんどの駅が高架駅である。
 このサウスエンド駅もそうだった。
 但し、南端村自体は城壁の外の丘陵地帯にあり、東京の山手線では大崎駅辺りに位置する駅ではあるが、立地条件的には上野駅に似ている。
 駅の正面入口は基本的に城壁内の方を向いていて、サウスエンド駅もそうなのだが、利用者数的には駅裏の南口の方が賑わっているという。
 稲生は改札口への階段を下りた。
 運賃定額制であるアルカディアメトロでは、改札口の出口はフリーである。
 そのまま、バーを外側に回せば良い。
 運賃定額制ではあるが、1路線に1枚のトークンが必要。
 つまり、ここから同じメトロの路面電車や地下鉄に乗り換えようとする場合、乗り継ぎ割引は無い。
 また新たにトークンを買わなければならない。
 但し、高架鉄道線同士や地下鉄線同士なら改札口を出入りする必要は無いので、トークンは1枚で良い。
 軌道線については路面電車1回乗車につき、1枚のトークンが必要だが、販売機の無い電停から乗る場合は車掌または運賃箱に直接運賃を払うことになる(1両固定編成の場合はワンマン、2両以上や連接編成の場合はツーマン運転)。

 稲生:「すいません」
 駅員:「はい、何でしょう?」

 稲生は先ほどの207系のような電車が気になったので、有人改札口にいる駅員に話し掛けた。
 高架鉄道に配属されている職員は、概ね人間である場合が多い。


 稲生:「さっき僕、新しい電車に乗ったんです。魔界高速電鉄では人間界のお古の電車ばかりを使っていて、オリジナルの車両は無いって聞いたんですけど……」
 駅員:「ええ、そうですよ。新しい電車って、どんなヤツですか?」
 稲生:「JR西日本の207系みたいなヤツって言えば分かりますか?」
 駅員:「それは4両編成に3両編成を繋いだ7両編成ですか?」
 稲生:「そうです」
 駅員:「なるほど。確かに、たまに走ってますね、それ」
 稲生:「魔界高速電鉄で、どうしてそれが?」
 駅員:「あれは冥鉄さんの車両ですよ。お客さんは、鉄道にお詳しいみたいですね」
 稲生:「一応……」
 駅員:「“ホームライナー鴻巣”と“ホームライナー古河”はご存知です?」
 稲生:「はい。高崎線と宇都宮線の、夕方ラッシュ限定の下り列車ですね。今はもう走ってませんけど……」
 駅員:「それでは急行“能登”はご存知ですか?」
 稲生:「はい。昔、乗ったことがあります。今はもう北陸新幹線の延伸で、廃止になってしまいましたけど」
 駅員:「つまり、そういうことですよ」
 稲生:「ど、どういうことなんでしょう?」
 駅員:「急行“能登”の車両は何系ですか?」
 稲生:「えーっと……確か、JR西日本の485系だったか489系だったか……あのボンネットタイプのヤツですね」
 駅員:「“ホームライナー鴻巣”と“ホームライナー古河”の車両は何系ですか?」
 稲生:「そりゃもちろん185系と……ああっ!」

 稲生はそこで気がついた。
 上野〜福井間(2001年より金沢発着に短縮)を運行していた急行“能登”号、どういうわけだか、間合い運用で“ホームライナー鴻巣”と“ホームライナー古河”にも使用されていたことを。

 駅員:「あの207系は、冥鉄さんから乗り入れて来た電車です。間合い運用として、次の運行日まで環状線や中央線を走行しているんですよ」
 稲生:「そうでしたか……」

 これで合点がいった。
 冥界鉄道公社は人間界から見れば、この世とあの世を結ぶ幽霊列車。
 207系電車が幽霊化したものと言えば、あの事故しか無い。

 稲生:「2005年から運用に就いているんですね?」
 駅員:「そんなところです。さすがに新し過ぎるので、お客さんみたいな鉄道ファンの方からは珍しがられているんですよ」
 稲生:「そうですか。じゃあ、次の帰りはあの207系なのか。何だか、味気無いないぁ……」
 駅員:「魔列車の運行でしたら、される時は何本もの列車が設定されることが多いですからね。件の207系だけではないと思いますよ。確か、特急車両も乗り入れていると聞いています。さすがに特急車両を通勤線区で運転させるわけにはいかないので、それはさすがに車両基地で整備中ですが」
 稲生:「なるほど。そうでしたか。ありがとうございます」

 稲生が駅の外に出て再び高架線上を見上げると、今度はJR東日本で改造された205系が見えたのだが、あれも冥鉄からの乗り入れ列車なのだろうか?
 それとも……。

[同日12:15.天候:晴 サウスエンド地区(南端村)郊外・白麗神社]

 稲生は駅前から辻馬車に乗り込んで、威吹とさくらが住む神社に向かった。
 サウスエンド地区(南端村)は日本人街ということもあってか、まるで街並みが日本の住宅街とよく似ていた。
 昭和時代の街並みといった感じ。
 これでオート三輪やボンネットバスでも走っていれば、リアル“三丁目の夕日”だが、魔界には自動車交通が無い為、専らこういった馬車となる。
 南端村は城壁の外に形成された村である為、路面電車も地下鉄も通っていない。
 村は平坦な土地にあるわけではなく、丘陵地帯にある。
 白麗神社は丘陵の1番上にある為、徒歩だと少しキツい部分がある。

 御者:「あの鳥居の前でいいですか?」
 稲生:「あ、はい。お願いします」

 辻馬車は自動車交通の無い魔界においては、タクシーの代わりになる手段である。
 稲生は鳥居の前で馬車を止めてもらうと、料金を払った。
 因みに辻馬車の料金はメーター制ではなく、途上国のタクシーと同じく、交渉制である。
 但し、サウスエンド地区においては、所謂“円タク”のような制度になっており、10ゴッズ(日本円のレートで1000円くらい)定額になっている。

 御者:「ありがとうございました」
 稲生:「どうも」

 稲生は辻馬車を降りると、鳥居の前に立った。

 稲生:「さて、威吹はどこにいるかな?」

 少し肌寒い為、稲生はスーツの上から魔道師のローブを羽織った。
 そして、境内の中に足を踏み入れた。
 と、その時!

 稲生:「!!!」

 メタボ:「次回に続きます!以上!」
 作者:「誰だ、キサマ!?」
ジャンル:
小説
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2 コメント

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ひとこと (いおなずん)
2016-10-31 17:25:08
ホームライナー古賀ではなく、ホームライナー古河ではないでしょうか?

古賀は聞いたことないのですが。

浅学ならごめんなさい。
いおなずんさんへ (雲羽百三)
2016-10-31 17:45:49
 こんばんは。

 確かに仰る通り、誤字でした。
 御指摘、ありがとうございます。
 修整しておきました。

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