ノベラーエクスプレス関東

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“私立探偵 愛原学” 「最終電車」 10号車 Final

2017-07-27 10:29:38 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10号車]

 バージョン4.0なるテロ用ロボットが私達に銃口を向ける。
 と、同時に魔法陣が光り出した。
 そして、その中から1人の人物が現れた。

 それは銀色の髪を肩まで伸ばし、頭に狐耳を生やした者。
 さっきの鬼と同じ、着物に袴という姿だったが、色合いはこちらの方がもう少し明るい。
 4.0も何が起きたのか分からず、フリーズしているようだった。

 稲生:「やったぞ!召喚成功!威吹、助けてくれ!」
 威吹:「ユタ!?何だ、いきなり!?ここはどこだ!?」
 稲生:「それどころじゃない!ピンチなんだ!取りあえず、このロボットを一刀両断にしてくれよ!」

 威吹と呼ばれた男もまた人間ではないようだった。
 しかしさっきの鬼と違い、角では無く狐耳を生やしていることから、鬼の一種ではないようだ。
 これがこの稲生勇太氏とやらの使い魔なのか?

 威吹:「わ、分かった!」
 4.0:「キュルルルルルル!」

 4.0は自動で再起動したらしく、再び銃口を向けて来た。
 この時、ガチャガチャガチャという音がした。
 恐らく、銃砲内に銃弾が不足した為、リロードしたのだろう。

 敷島:「いや、ちょっと待った!4.0を日本刀で斬るなんてムリ!頭部を狙撃用ライフルで撃ち抜くか、地道にショットガンで対応しないと!」

 敷島氏が叫ぶ。
 だが、威吹という名の男は全く意に介さない。

 威吹:「でやあーっ!」

 威吹氏は居合道の達人なのか?
 正しくそれで、まずは4.0のマシンガンを斬り捨てた。
 だが、肉弾戦も得意なのか、間合いに入った威吹氏を今度は太い左手で殴り付けてくる。

 高橋:「み、見えない!?」
 愛原:「速過ぎるんだ、あの剣豪!」
 威吹:「はーっ!!」

 4.0のボディに亀裂が入り、そこから火花が飛び散る。

 敷島:「嘘ぉ!?」

 このロボットについて、この中で1番詳しいであろう敷島氏が目を丸くした。
 まあ、その気持ちは分かる。
 ロボットに詳しくない私でさえ、こんな鋼鉄製の鈍重そうなヤツ、爆弾でも投げ付けてやらないと壊せそうにない気がしたのだ。
 それを日本刀でだけでなんて……。

 稲生:「威吹!コイツを真っ二つにしてくれ!」
 威吹:「何だかよく知らんが、了解!」

 で、本当にこの威吹という男は稲生氏の依頼にしっかり応えたのである。

 敷島:「稲生さん、このバージョン4.0が一体……?」

 敷島氏が、火花を散らして完全に動けなくなった4.0の中を覗き込んだ。

 威吹:「これでいいかい?」
 稲生:「助かったよ、威吹!ありがとう!……あ、御礼に僕の生き血啜る?後で生け贄とか欲しくならない?」
 威吹:「キミも魔法使いに染まったなぁ……。あ、そうだ。キミがよく見てた、JRの通販の……」
 稲生:「NREトレインショップ?」
 威吹:「魔界じゃ、いい鰻が手に入らないので、今度の土用の丑の日に鰻を送って欲しいんだ」
 稲生:「よし、分かった!そうするよ!」

 魔法使いと使い魔が報酬のことで話をしている間、私も敷島さんと同じくロボットの中を覗き込んだ。

 愛原:「こんなものが敷島さんの世界では、普通に歩いているんですか?」
 敷島:「普通、かなぁ……?まあ、私のような立場の人間はよく接する機会があります」
 愛原:「何だか大変そうですねぇ……。ん?」

 その時、私はロボットの体内からある物を見つけた。

 愛原:「高橋、ゴム手袋ある?」
 高橋:「あ、はい」

 高橋は本当に用意のいいヤツだ。
 実は私、適当に言っただけなのだが、本当に持って来たようだ。
 何しろ、仕事先が山の中と言っただけで登山ロープを持ってくるようなヤツだ。
 私はゴム手袋をはめて、感電しないよう慎重に手を入れて体内で発見したものを取り出した。

 敷島:「鍵ですか?どこの……」
 稲生:「あっ、それです!それが僕が探していたヤツ!」

 稲生氏は私から鍵を受け取った。

 敷島:「それはどこの鍵なんだい?」
 稲生:「乗務員室の鍵です!」
 愛原:「な、何だってー!?」

 稲生氏は早速その鍵を持って、運転室のドアに駆け寄った。
 もちろん、私達もついて行く。
 稲生氏はそれで運転室のドアを開けた。
 そして、中に入ると……。

 稲生:「遅かったか……」

 運転室内に運転士がいなかった。
 ただ、ハンドルだけがガチャガチャと動いていた。
 ハンドルの所にはただ、『スト決行中 動労』という血文字のプレートが置かれていた。
 これは車掌室には無かったものだ。

 稲生:「どうも冥界鉄道公社で、昔の国鉄闘争みたいなことが起きてるようなんです」
 敷島:「いやいや、日本の国鉄はストで本当に電車が動かなかったけど?」
 稲生:「こっちの鉄道会社は、電車自体が幽霊みたいなものなんで。ただ、勝手に走り回って大変なことになりますけど」
 愛原:「じゃあ、どうする?」
 稲生:「そうですねぇ……」

 ①運転台のブレーキハンドルを右に回す
 ➁運転台の赤い「緊急」ボタンを押す
 ③無線電話で救助を要請する
 ④1号車に戻って車掌用非常ブレーキを操作する
 ⑤乗務員室のドアから外に脱出する

(※恐らくこれが最後の選択肢になると思います。ゲームオーバー直行のものがありますので、ご注意ください)
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つぶやき (雲羽百三)
2017-07-27 18:33:23
 学会歌“今日も元気で”は学会の婦人部の愛唱歌であるようだが、これがそのまま顕正会の婦人部の歌としても歌えるという感想を抱いたことは既に何度も述べた。
 学会から顕正会へ移って来る婦人部員もそれなりにいると思われるが、彼女達はそういう裏話はしないのだろうか。
 もっとも、部署ごとの愛唱歌は顕正会では許されまい。
 学会や日蓮正宗では有志によるローカルな愛唱歌があるのだが、顕正会では浅井会長が完全介入しないと有志によるものは認められないからだ。
 というか、今まで認められた事例を私は知らない。
 “池田華陽会の歌”(華陽の誓い)は10代の少女達が笑顔で歌っている様子が聞き取れるものになっているが、これもまたきれい所が揃っている学会ならではの愛唱歌なのだろう。
 もっとも、私もひねくれもので、その少女達の笑顔の裏にはドロドロの愛憎劇が……なんてネタを思い浮かべてしまうのだ。
 顕正会や日蓮正宗で毒されると、こんな感じになるものさ。

 素直にいい歌はいい歌、芙蓉茶寮の飯は美味いと言えればいいのにね。

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