ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“Gynoid Multitype Cindy” 「少しずつ分かってきたアリス達の足取り」

2017-02-21 12:15:23 | アンドロイドマスターシリーズ
[2月3日16:45.天候:曇 北海道札幌市 東急REIホテル1Fロビー]

 支配人:「先ほどは失礼致しました」
 鷲田:「いやいや。何かありましたかな?」
 支配人:「この者が事情を知っているようですので、もしよろしければと思いまして……」

 支配人は、このホテルの制服を着たホテルマンの男性を連れて来た。
 ホテルマンは敷島達に一礼する。

 鷲田:「ご協力ありがとう。で、何をご存知なのかね?」
 ホテルマン:「実は当日(1月30日)のことなんですが、私がフロント業務に就いておりましたところ、1つのクレームがございました」
 村中:「クレーム?」
 ホテルマン:「はい。1人の男性のお客様だったのですが、こういった内容でした」

 男性客は新千歳空港に到着した後、このホテルにチェックインするつもりだったらしい。
 だから、最初から予約は入れていたわけだ。
 新千歳空港からどうやって札幌市内まで行こうか考えている時に、たまたま到着口の前に停車していたバスを見つけた。

 ホテルマン:「そのバスには大きく当ホテルの送迎バスと書かれていたそうで、それに乗って行かれようとしたそうです。ところが、『「これは団体専用だからダメだ」と断られた。そんなことどこにも書いてないのに、どうなってるんだ!』といった内容のクレームです」
 村中:「普通は団体専用と断られたら諦めるんだけど、いるんだよねぇ、そういうクレーマーが」
 敷島:「支配人さん、やっぱり団体専用とはいえ、送迎バスを走らせるんじゃないですか」
 支配人:「ところが当ホテルでは、そのような記録も連絡も全く無いんです」
 敷島:「は?」
 ホテルマン:「そのお客様が証拠の写真を撮影しようとカメラを向けたら、物凄い剣幕で運転手や案内係から怒鳴られたとも申されております」
 敷島:「その男性客はどこに?」
 ホテルマン:「あいにくと昨日、チェックアウトされております」
 支配人:「赤川君、もしかして、まだあの写真は残ってますか?」
 ホテルマン:「はい」
 支配人:「すぐに持って来てください」
 ホテルマン:「はい!」

 赤川という名のホテルマンは急いで、事務室に取って返した。

 鷲田:「あの写真というのは?」
 支配人:「例のお客様が近影ならムリだということで、そのバスが出発した後、望遠で撮影されたのですよ」
 村中:「クレーマーの執念は凄いねぇ……」
 支配人:「ご宿泊の最中は、ごく普通のお客様でした」
 敷島:「やはり、偽バスが出されていたんですね」

 少しして赤川というホテルマンが戻ってきた。

 赤川:「こちらになります」
 鷲田:「ほほぉ……」

 デジカメで撮影したのだろう。
 写真といっても紙に印刷されたものだ。
 そのバスは旧年式の三菱ふそう・エアロエースだった。

 
(バス会社は違うが、これが三菱ふそう・エアロエースの旧年式車)

 敷島:「結構、本格的な観光バスだ。一体、どこで手に入れたのやら……」
 鷲田:「ふむ……。というかこれ、北国観光バスじゃないか。一体どうなってる?」
 村中:「まさか、北国観光バス自体がグルだったとか?」
 敷島:「ええっ?」
 支配人:「因みに、こちらが当ホテルの送迎バスになります」

 支配人はタブレットでホテルの公式サイトを見せた。
 そこには送迎バスの写真もある。

 敷島:「色が違う」
 支配人:「ええ。当ホテルの送迎バスも、バス会社に運行を委託したものでありますが、専用の塗装で運行して頂いております」
 鷲田:「すると、そのバス会社オリジナルの塗装で運転されるということは……?」
 支配人:「基本的にございません。それ以前に、新千歳空港からは運行しておりませんし」
 鷲田:「なるほどな」
 敷島:「ん?これは……」

 写真は何枚かあるのだが、最後の1枚はバスの後部を写したものだった。
 ボールペンでナンバープレートのところに矢印がしてあり、手書きでナンバーが書かれていた。

 赤川:「お客様は、バスのナンバーまで御記憶でした。それでメモしたんです」
 村中:「クレーマーの執念は凄いねぇ……」

 そのナンバーは、『札幌231 は 27-39』とあった。

 敷島:「初音ミクかよw」
 鷲田:「ちょっと待った。事業用(緑ナンバー)の場合、平仮名で、『は』は使えんぞ」
 敷島:「ええっ!?」
 村中:「うん。緑ナンバーで使える平仮名は、『あ』『い』『う』『え』『を』『か』『き』『く』『け』『こ』だけだ」
 敷島:「そうなんですか!」

 因みに『お』は白ナンバーや軽自動車ナンバーでも使えない。
 代わりに『を』を使う。

 敷島:「ということは……」
 鷲田:「バスは知らんが、ナンバーは偽造ナンバーだということだ」
 村中:「警視、これで少しずつはっきりしてきましたね」
 鷲田:「うむ。道警に頼んで、この偽バスの行き先を探ってもらおう。あと、北国観光バスに、『おたくのバスが犯罪に使われた』とでも言っとけ」
 村中:「はい!」

 とはいえ、敷島は北国観光バスそのものがアリス達誘拐の一翼を担っていたとは思えなかった。
 もし会社や営業所ぐるみなら、わざわざ偽造ナンバーを取り付ける必要は無い。
 本物のバスを使って、ごくありきたりのツアーバスを装えば良いのだ。
 それとも、バス1台が盗難にでも遭ったのだろうか?
 或いは、犯人達が道内にある本物の観光バスを装う為に、たまたま北国観光バスと同じ塗装に塗ったか。

 敷島:「ん?」

 と、そこへ敷島のスマホが鳴った。
 取ってみると、画面には小山副館長の名前が出ていた。

 敷島:「ちょっと失礼します」

 敷島は席を立つと、少し離れた場所に移動した。

 敷島:「もしもし?」
 小山:「あ、敷島さん。今、電話よろしいですか?」
 敷島:「はい」
 小山:「実は、もしかしたらシンディを遠隔でONにできるかもしれない方法が見つかりました」
 敷島:「おおっ!それは何ですか?」
 小山:「初音ミクの持ち歌に、『ミクのドドンパ』というのがあるでしょう?」
 敷島:「はい」
 小山:「あれを何とかシンディに聴かせれば、再起動できるかもしれないようです」
 敷島:「その方法が……」
 小山:「方法につきましては、私より詳しい敷島さんにお任せします。それでは……」

 小山が電話を切ったので、敷島も電話を切った。

 敷島:「えーと……どうしようかな?……あ、なるほど」

 敷島は取りあえず、ミクのマネージャーに電話をすることにした。
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