ノベラーエクスプレス関東

 自作の小説がメインのブログです。
 主にSF、ファンタジー、ミステリーの脳内妄想を文章化したものです。

“Gynoid Multitype Sisters” 「最終電車」 北海道新幹線

2017-08-10 15:47:06 | アンドロイドマスターシリーズ
[7月31日18:30.天候:晴 JR新函館北斗駅・北海道新幹線ホーム]

 上りの東京行き最終列車“はやぶさ”38号が11番線に停車している。
 敷島はホームに降りて、自分のスマホで会社に電話していた。
 バックボーンである事務職は既に就業時間は過ぎているのだが、ボーカロイド達は『倉庫』に保管しているからだ。

 鏡音リン:「ハイ、お掛けになった電話番号は現在使われてませんYo〜!」
 敷島:「そうか。そいつは残念だ。また後で掛けるとしよう」
 リン:「どわわーっ!?社長!?」
 敷島:「仕事は終わったのか?」
 リン:「うん!あのねあのね、リン頑張ってるYo!今日はねぇ、新しいCDジャケの撮影したんだYo!リンも夏真っ盛りのきわどいビキニ着たからね!」
 敷島:「(白と黄色のチューブブラに、せいぜいデニムのショートパンツを上にはいてるってとこか……)そうか、そりゃ感心だなぁ。後で頭を撫でてやろう」
 リン:「エヘヘ……」
 敷島:「事務所には他に誰もいないのか?井辺君とかは?」
 リン:「IP君(リンの井辺に対する新しいニックルネーム。Inobe Producerから)ね、めーりん(MEIKO)とりりん(Lily)の仕事に立ち会ってるよ」
 敷島:「そうか。新しいユニットを組んだって聞いたな。それまでの枠に囚われない、新しい流れか。四季エンタープライズのノリだが、悪くは無いのか」
 リン:「そうだね!……おっと!ちょっとちょっと……」
 敷島:「ん?どうした?」

 電話の向こうで何かあったようだ。
 そこへ、こちらも12番線に下り列車が到着したことで、急に賑やかさが増す。

 初音ミク:「あ、あのっ、たかおさん……!」
 敷島:「おっ、ミクか。北海道では色々ありがとうな」
 ミク:「いえ。今、帰ってらっしゃるところなんですか?」
 敷島:「ああ。今、新函館北斗駅だ。これから新幹線に乗って帰るよ。といっても、終電だから着くのは夜になるからな。取りあえず今日は家に帰るから、明日そっちに顔出すよ」
 ミク:「はい。お待ちしてます……」
 敷島:「じゃあな」

 敷島はピッと電話を切った。
 下り列車の乗客達が在来線乗り換え改札口へと殺到する為、それと直結している11番線ホームも賑やかになる。

 敷島:「増えたなー、メイドロイド」

 メイドロイドの多くは、メイド服を着ているのですぐに分かる。
 敷島がグリーン車の9号車に戻ると、既に隣に座っているアリスが弁当を食べていた。

 敷島:「もう食ってるのか」
 アリス:「お腹空いたんだもん」
 敷島:「食ってる割には、太らないのが助かるけどな」
 アリス:「科学館の地下に、フィットネスルームができたの。それで運動もしてるしね」
 敷島:「金持ってんなぁ、DCJ……」

 エミリーとシンディは、通路を挟んで隣の席に座っている。
 座席のコンセントにコードを繋いで充電をしていた。

 敷島:「まあいいや。俺も食うか」

 敷島はホタテやイクラなどの海産物をふんだんに使った駅弁の蓋を開けた。

 敷島:「あー、そうか」
 アリス:「なに?」
 敷島:「この前、アメリカに行った時さ……。せっかくだから、向こうの列車に乗ってみても良かったな」
 アリス:「アムトラック?」
 敷島:「そう、それ。駅弁はやっぱりデッカいステーキでも入ってるヤツとか……」
 アリス:「え?そんなの聞いたことないよ」
 敷島:「ん?」
 アリス:「いや、だからアメリカじゃ、こういうの売ってないって」
 敷島:「そうなのか!」
 アリス:「駅弁が無い代わりに、向こうはダイニングカー(食堂車)があるけどね」

 日本では食堂車が廃止された代わりに、駅弁が充実化した。
 大陸などの長距離列車は本当に乗車時間が長い為、2食以上分の食料は確保しなくてはならない。
 その為、一食分だけの駅弁だけでは却って効率が悪い。
 そういう場合、食堂車の方が良かったりする。

 そういうことを話しているうちに、当日最終の東京行きが発車した。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。本日もJR北海道をご利用くださいまして、ありがとうございます。この列車は北海道新幹線、“はやぶさ”号、東京行きです。次は、木古内(きこない)に止まります。……〕

 敷島:「いいか?次の木古内駅をよしんば通過したら、まずは最後尾の乗務員室を目指すぞ」
 アリス:「また夢の話?いい加減にしてよ」
 シンディ:「大丈夫ですよ、社長。今回は私達がいますから。いざとなったら、私達が何とかしますわ」
 敷島:「そうだな。お前達がいれば、ドアもこじ開けられるし、列車も強制停車させられるだろう」
 シンディ:「はい、お任せください」
 アリス:「エマージェンシーの時だけにしてよ、それは」

 駅弁を食べ終わったアリスは、ペットボトル入りの紅茶を飲んだ。
 偏見かもしれないが、コーラより紅茶を飲みたがる辺りから、やはりアリスはイギリス出身ではないかと思う敷島だった。

[同日18:49.天候:晴 JR北海道新幹線“はやぶさ”38号9号車内]

 外はだいぶ暗くなってきた。
 いかに夏とはいえ、さすがにもう暗くなる時間だろう。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく、木古内です。道南いさりび鉄道線は、お乗り換えです。お降りの際はお忘れ物の無いよう、お支度ください。木古内の次は、奥津軽いまべつに止まります〕

 列車が速度を落として行く。
 東京行き最終列車ということもあり、北海道新幹線内は各駅に止まる列車である。

 敷島:「通過したらお前達の出番だぞ」
 エミリー:「はい!」
 シンディ:「お任せください!」
 アリス:「タカオの精神世界では、クルーもアナウンスも無いミステリートレインだったわけでしょう?これは違うわよ」

 アリスは呆れた顔をした。
 因みに先ほど、ちゃんと車掌が巡回に来たし、新函館駅で乗り込む際にアテンダントの姿も見えた。
 尚、昔はグリーン車にもシートサービスがあったのだが、今はグランクラスのみとなっている。

 で、ちゃんと列車は木古内駅に停車した。

 アリス:「ほら、見なさい。ちゃんと止まったでしょ?」
 敷島:「いや、これはほんの序の口だ。大宮駅を通過したら……」
 アリス:「シンディ、ちょっと頭に電気ショックが必要かもよ、こいつ」
 シンディ:「かしこまりました」
 敷島:「こらこらこら!」

 楽しい上りの旅を満喫しているようである。
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小説
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