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LLPにおける所得税基本通達204-1(2)の解釈

2009-11-07 02:08:57 | LLPの給与・源泉所得税
今回は専門家の方に向けて、解説します。

いつも更新をサボっている上に、書き込んでいただいたコメントについては気付
きもしないのですが、ふと下記コメントに気付き、解説することにしました。
約9ヶ月前にいただいたコメントですが。。。(笑)

質問はこのような内容です。

http://blog.goo.ne.jp/llp_japan/e/b6ea375ef7cd7b9a6e80fe5b089732c7#comment-list
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この記事を見つけてご質問させていただきたいのですが、根拠条文の204-1の(2)
にはLLPは該当しないのでしょうか?

税務署に聞いたらLLPに支払うのなら源泉しなくてもいいのでは。と言われてしま
いました。

勉強不足で大変失礼ですが、教えていただけるとありがたいです。よろしくお願
い致します。
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所得税基本通達204-1

法第204条第1項各号に掲げる報酬、料金、契約金又は賞金の支払を受ける者が、官庁等の部、課、係、研究会又は劇団若しくは楽団等の名称のものであって、人格のない社団等に該当するかどうかが明らかでない場合には、その支払を受ける者が次のいずれかに掲げるような事実を挙げて人格のない社団等であることを立証した場合を除き、同項の規定の適用があるものとする。(平13課法8-2、課個2-7改正)

(1) 法人税を納付する義務があること。
(2) 定款、規約又は日常の活動状況からみて個人の単なる集合体ではなく団体として独立して存在していること。


【解説】

ここで何を言っているのかというと、例えばデザイナー個人に企業が報酬10万円を支払う場合、10%の1万円は源泉徴収しなければなりません。

しかし、『官庁等の部、課、係、研究会又は劇団若しくは楽団等の名称(屋号)』で請求してきたら、源泉徴収する義務があるのか、それとも源泉徴収する必要がないのかについて、取り決めています。

>(1) 法人税を納付する義務があること。

すなわち、法人税の納税義務があるのであれば、源泉所得税の規定の対象ではないということ。

(2) 定款、規約又は日常の活動状況からみて個人の単なる集合体ではなく団体として独立して存在していること。

このような団体であれば、人格のない社団と考えて源泉徴収しなくてもよいということ。(※その団体が収益事業を行えば、法人税の納税義務者になります)

そして、この2つのいづれにも該当しなければ、源泉徴収が必要だとこの通達は取り決めています。

さて、ここでLLP(有限責任事業組合)についてはどうか?という問題ですが、
この通達での論点は『人格のない社団等』についてです。

まずはLLP(有限責任事業組合)が『人格のない社団等』に該当するのか否かについて、検証が必要です。

■所得税法第2条1項八号
(人格のない社団等)
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。

■所得税基本通達 2-5
法人でない社団の範囲)
 法第2条第1項第8号に規定する法人でない社団とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有し統一された意思の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、次に掲げるようなものは、これに含まれない。
(1) 民法第667条《組合契約》の規定による組合
(2) 商法第535条《匿名組合契約》の規定による匿名組合


民法第667条《組合契約》の規定による組合に該当すれば、『人格のない社団等』には該当しないということが、明確なのですが、さてLLPはこの民法第667条に含まれるのでしょうか...?

答えはNo!です。

有限責任事業組合契約に関する法律には、民法の準用規定があるのですが、なんと準用は第668条からで第667条は外れているのです!(惜しい~?!)

■有限責任事業組合契約に関する法律
第六章 民法の準用
第56条 組合については、民法第六百六十八条、第六百六十九条、第六百七十一条、第六百七十三条、第六百七十四条第二項、第六百七十六条、第六百七十七条、第六百八十一条、第六百八十三条、第六百八十四条及び第六百八十八条の規定を準用する。

それならば、『人格のない社団等』に該当するか否かの判断ができないではないか!と思われるでしょうが、なぜ民法の第667条の準用ができないのかというと、

■有限責任事業組合契約に関する法律
(組合員の出資)
第11条 組合員は、金銭その他の財産のみをもって出資の目的とすることができる。

という規定があるのですが、民法の第667条では、

■民法
第十二節 組合
(組合契約)
第667条  組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。
2  出資は、労務をその目的とすることができる。

とあるため、この青字部分が矛盾となるため、準用されていないものと思われます。


LLP(有限責任事業組合)が『人格のない社団等』に該当するのか否かについては、法律と通達だけの理詰めでは、詰め切れないのですが...税法上の有限責任事業組合(LLP)の課税の取り扱いから斟酌して、民法組合に準ずる組合と考えられることから、『人格のない社団等』には、まず該当しないと考えるのが順当だと思われます。

そうすると、有限責任事業組合(LLP)は、『人格のない社団等』に該当しないもの
となり、この所得税基本通達204-1(2)には該当しないこととなり、源泉徴収義務が免除されるというこの規定には該当しないこととなります。

そのため、原則に立ち返って、LLPの組合員が法人と個人が混在している場合、その個人部分の取り分に対して、源泉徴収義務が生じるというのが結論です。※民法上の組合(任意組合)でも同じ取り扱いとなります。


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1 コメント

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わかりません・・ (?)
2010-03-25 12:16:43
LLPには民法667条を準用できないんですよね?準用できないから、すなわち民法上の組合ではないから、LLPは「人格のない社団等」に該当すると解釈できるんじゃないんでしょうか?

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