無限の可能性!日本版LLP(有限責任事業組合)の鼓動

LLPによってビジネスモデルの選択ワクが大きく広がります。そんな日本版LLPに関する情報を発信していきます!

LLPにおける所得税基本通達204-1(2)の解釈

2009-11-07 02:08:57 | LLPの給与・源泉所得税
今回は専門家の方に向けて、解説します。

いつも更新をサボっている上に、書き込んでいただいたコメントについては気付
きもしないのですが、ふと下記コメントに気付き、解説することにしました。
約9ヶ月前にいただいたコメントですが。。。(笑)

質問はこのような内容です。

http://blog.goo.ne.jp/llp_japan/e/b6ea375ef7cd7b9a6e80fe5b089732c7#comment-list
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この記事を見つけてご質問させていただきたいのですが、根拠条文の204-1の(2)
にはLLPは該当しないのでしょうか?

税務署に聞いたらLLPに支払うのなら源泉しなくてもいいのでは。と言われてしま
いました。

勉強不足で大変失礼ですが、教えていただけるとありがたいです。よろしくお願
い致します。
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所得税基本通達204-1

法第204条第1項各号に掲げる報酬、料金、契約金又は賞金の支払を受ける者が、官庁等の部、課、係、研究会又は劇団若しくは楽団等の名称のものであって、人格のない社団等に該当するかどうかが明らかでない場合には、その支払を受ける者が次のいずれかに掲げるような事実を挙げて人格のない社団等であることを立証した場合を除き、同項の規定の適用があるものとする。(平13課法8-2、課個2-7改正)

(1) 法人税を納付する義務があること。
(2) 定款、規約又は日常の活動状況からみて個人の単なる集合体ではなく団体として独立して存在していること。


【解説】

ここで何を言っているのかというと、例えばデザイナー個人に企業が報酬10万円を支払う場合、10%の1万円は源泉徴収しなければなりません。

しかし、『官庁等の部、課、係、研究会又は劇団若しくは楽団等の名称(屋号)』で請求してきたら、源泉徴収する義務があるのか、それとも源泉徴収する必要がないのかについて、取り決めています。

>(1) 法人税を納付する義務があること。

すなわち、法人税の納税義務があるのであれば、源泉所得税の規定の対象ではないということ。

(2) 定款、規約又は日常の活動状況からみて個人の単なる集合体ではなく団体として独立して存在していること。

このような団体であれば、人格のない社団と考えて源泉徴収しなくてもよいということ。(※その団体が収益事業を行えば、法人税の納税義務者になります)

そして、この2つのいづれにも該当しなければ、源泉徴収が必要だとこの通達は取り決めています。

さて、ここでLLP(有限責任事業組合)についてはどうか?という問題ですが、
この通達での論点は『人格のない社団等』についてです。

まずはLLP(有限責任事業組合)が『人格のない社団等』に該当するのか否かについて、検証が必要です。

■所得税法第2条1項八号
(人格のない社団等)
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。

■所得税基本通達 2-5
法人でない社団の範囲)
 法第2条第1項第8号に規定する法人でない社団とは、多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有し統一された意思の下にその構成員の個性を超越して活動を行うものをいい、次に掲げるようなものは、これに含まれない。
(1) 民法第667条《組合契約》の規定による組合
(2) 商法第535条《匿名組合契約》の規定による匿名組合


民法第667条《組合契約》の規定による組合に該当すれば、『人格のない社団等』には該当しないということが、明確なのですが、さてLLPはこの民法第667条に含まれるのでしょうか...?

答えはNo!です。

有限責任事業組合契約に関する法律には、民法の準用規定があるのですが、なんと準用は第668条からで第667条は外れているのです!(惜しい~?!)

■有限責任事業組合契約に関する法律
第六章 民法の準用
第56条 組合については、民法第六百六十八条、第六百六十九条、第六百七十一条、第六百七十三条、第六百七十四条第二項、第六百七十六条、第六百七十七条、第六百八十一条、第六百八十三条、第六百八十四条及び第六百八十八条の規定を準用する。

それならば、『人格のない社団等』に該当するか否かの判断ができないではないか!と思われるでしょうが、なぜ民法の第667条の準用ができないのかというと、

■有限責任事業組合契約に関する法律
(組合員の出資)
第11条 組合員は、金銭その他の財産のみをもって出資の目的とすることができる。

という規定があるのですが、民法の第667条では、

■民法
第十二節 組合
(組合契約)
第667条  組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。
2  出資は、労務をその目的とすることができる。

とあるため、この青字部分が矛盾となるため、準用されていないものと思われます。


LLP(有限責任事業組合)が『人格のない社団等』に該当するのか否かについては、法律と通達だけの理詰めでは、詰め切れないのですが...税法上の有限責任事業組合(LLP)の課税の取り扱いから斟酌して、民法組合に準ずる組合と考えられることから、『人格のない社団等』には、まず該当しないと考えるのが順当だと思われます。

そうすると、有限責任事業組合(LLP)は、『人格のない社団等』に該当しないもの
となり、この所得税基本通達204-1(2)には該当しないこととなり、源泉徴収義務が免除されるというこの規定には該当しないこととなります。

そのため、原則に立ち返って、LLPの組合員が法人と個人が混在している場合、その個人部分の取り分に対して、源泉徴収義務が生じるというのが結論です。※民法上の組合(任意組合)でも同じ取り扱いとなります。


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LLPが源泉徴収されるとき

2007-03-28 22:48:23 | LLPの給与・源泉所得税

こんばんは

これを読むと誰もLLPを作らなくなるのでは・・・と思いつつ。
個人が事業を行い報酬をもらう際、一定の所得には支払者側で源泉所得税について徴収義務が生じます。具体的には、

原稿料、デザイン報酬、講演謝金、経営指導コンサル報酬、TV等への出演料、専門能力を要する計画・研究・設計・分析・試験・評価及びその指導などに対する報酬

のようなものが対象となります。大企業ではその判別が不明確なため個人への報酬支払いは一律10%源泉徴収している場合なども見受けられます。

さて、LLPと何の関係があるかというと、LLPがセミナーで講演した場合、仮にLLPの構成員が個人であったなら、その個人の収益分配割合に応じた源泉所得税をセミナー主催者は天引き徴収した上で、LLPに支払いなさいという取扱いになる模様です。
(条文根拠は所得税基本通達204-1)
***********************************************
[例]
LLPの構成員:4名(法人A、法人B、個人C、個人D)

個人A:出資割合25% 損益分配割合50%
個人B:出資割合25% 損益分配割合10%
法人C:出資割合25% 損益分配割合30%
法人D:出資割合25% 損益分配割合10%

10日間の講演会でギャラ300万円+消費税15万円を請求したとしましょう。請求書上次のように記載する必要が出てきます。

 請求金額    300万円
 源泉所得税 △ 23万円
  消費税     15万円
----------------------
  お支払金額  292万円
======================

 ※1源泉所得税の内訳(100万円まで10%、それ以上は20%)
  
 個人A:損益分配割合50%につき、300X50%=150
      (150-100)X20%+100X10%=20   
 個人B:損益分配割合10%につき、300X10%=30
      30X10%=3 
 法人C:損益分配割合30% ※法人につき源泉徴収不要

 法人D:損益分配割合10%  ※法人につき源泉徴収不要

なお、本年12月末までの個人組合員に帰属する報酬源泉
につき、報酬の支払調書を交付して頂きます様お願い申し
上げます。記載事項は以下通りです。
(※仮に本年のお支払いが今回のみと仮定致します)

------------------*------------------*
 東京都港区○○1-2-3
 ☆☆☆有限責任事業組合
 組合員 個人A

 支払額 150 源泉徴収額 20 (別途、消費税額7.5)
------------------*------------------*

------------------*------------------*
 東京都港区○○1-2-3
 ☆☆☆有限責任事業組合
 組合員 個人B

 支払額 30 源泉徴収額 3 (別途、消費税額1.5)
------------------*------------------*

***********************************************

会社でいうと、自社の株主構成とその持分割合を請求書
に明記するようなものです。おかしいですよね~

さらに実務上大きな問題は、以前のブログでも触れたことがありますが、仮に単年度損益が赤字の場合、損益(損失)分配割合は出資割合を適用することを私は推奨しています。(理由は今回割愛します)

そうすると、決算時に赤字になったとすると、源泉徴収されたときの報酬(利益が出る前提で分配割合を提示)と、実際の分配割合がことなる結果となります。結局個人の確定申告で精算されるのでいいんじゃないと言われればそれまでですが。。。

いずれにしましても、LLPというものを日本で普及させていく気が経済産業省にあるなら、運用実務面の不都合を解消すべく国税庁へ働きかけるべきではないでしょうか?それとも法律を成立させたことで大満足なのでしょうか? 
 

  

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日本版LLP(有限責任事業組合)と源泉所得税

2005-06-07 20:49:32 | LLPの給与・源泉所得税
こんばんは、今日は知っている人は知っているし、知らない人はへぇ~っていう話です。有限責任事業組合は構成員課税のため、税金とは無縁~♪と思われるかもしれませんが、源泉所得税については、個人事業者や法人と同じように、源泉徴収義務を負うこととなります。

すなわち、有限責任事業組合が雇い入れた社員に対する給与や、士業等個人事業者に対する報酬の支払いの際には、源泉徴収を行い、毎月(又は、納期特例の場合、年2回)源泉所得税納付を行わなければ、キッチリとペナルティまでも課されることとなります。

■不納付加算税(税額×5%)年利じゃぁありません。1日送れても、1年遅れても5%
※上記は自主納付の場合(税務調査にて指摘を受けた上での納付は10%...)

■延滞税(納期限から最初の2ヶ月:年利4.1%  その後:年利14.6%)


となります。

例えば、6/10納期限の源泉税100万円を1日送れて納付すると、100万円×5%=5万円が必要となります。利息制限法・出資法・ヤミ金もビックリです。年利で換算すると1825%になってしまいます。。。


所得税法 第6条(源泉徴収義務者) 

第28条第1項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他第4編第1章から第6章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は、この法律により、その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある。


源泉所得税には気をつけましょう~ ではまた!
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組合からの組合員への給与は新しい問題(日本版LLP)

2005-05-26 13:34:00 | LLPの給与・源泉所得税
日本版LLPが始まるまで、「組合からの組合員への給与」問題はあまりクローズアップされることがなかったポイントだと思います。なぜ今までも民法上の組合組織が存在し、金融や不動産に偏っていたとは言え、活用されてきた経緯の中で、注目を集めることがなかったのでしょうか?
(今も注目しているのは私だけ?!(笑))

その理由は、ビジネススキームにあります。基本的なビジネススキームは、

○ 投資家 (節税効果や、運用利回りに期待を寄せるだけで、実際何もしない)
○ 運営会社(実際に業務に従事する企業等で、管理報酬や成功報酬を得ることが目標)
○ 運営担当者(運営会社の役員・社員のため、運営会社から給与等をもらう)

このような感じのものが多く、組合から直接個人が給与を支払う必要性があまりなかったのです。
しかし、これからの日本版LLP(有限責任事業組合)は、様々なビジネスに活用されることが想定されるため、「組合員への給与支給」の税務上取扱いは新しい問題と言えるのではないでしょうか?

何が給与所得区分に該当し、何が事業所得区分に該当するのか、是非、経済産業省から国税庁に事前照会を入れてもらえないかなぁと思います。 事前照会に対する文書回答等について (国税庁HPより)

偶然にでも経済産業省の担当者の方が当ブログを見てくれないだろうか??

【中小企業庁(経済産業省)より国税庁に事前照会を行った例】
投資事業有限責任組合契約に関する法律(ファンド法)の施行について
中小企業等投資事業有限責任組合に係る税務上の取扱いについて (PDF)

ではまた~
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日本版LLP(有限責任事業組合)と個人構成員の給与(その5)

2005-05-24 13:56:09 | LLPの給与・源泉所得税
【5】前回で終わりでは...書き忘れがあったので、延長戦突入です。

給与所得と事業所得の違いによって、こんな影響も生じる可能性があるっていうお話です。

例)
耗駄目駄有限責任事業組合 出資金額100万円
(組合員Aさん 50万円 組合員Bさん 50万円)

設立初年度 赤字1000万円 (取引先への負債[買掛金の支払い代金]1000万円)

業務執行組合員Aさんへの支払い(労働対価として)(第1期中) 750万円
その他社員・アルバイトへの人件費 2000万円

と、このような場合を考えてみたいと思います。

下記日本版LLP法の35条と36条から、仮にAさんが受け取った750万円全額が事業所得(損益の分配)とみなされると、大変です。

初年度欠損金 赤字1000万円―出資金額100万円=欠損額900万円(債務超過状態)

となり、分配額750万円<欠損額900万円 ∴負債1000万円のうち、750万円分につき、連帯債務者となります。

750万円とはいえ、既に生活費として大部分が消えてなくなっていることでしょうから、これはきついと思います。逆に、他の社員やアルバイト同様に労務対価として給与所得扱いとなれば、連帯債務を負う必要がなくなります。

従って、税務上微妙な問題ではあるのですが、事業所得とならないように、形式を整え金額の多寡も検討した上で、給与を支給することがと~ても重要だと思います。だって、これじゃ~、有限責任と言えなくなりますよね?!


日本版LLP法

第35条(財産分配に関する責任)

分配した組合財産の帳簿価額(以下この条及び次条において「分配額」という。)がその分配の日における分配可能額を超える場合には、当該分配を受けた組合員は、組合に対し、連帯して、分配額に相当する金銭を支払う義務を負う。

2 前項に規定する場合において、当該分配を受けた組合員は、分配額が分配可能額を超過した額(同項の義務を履行した額を除く。)を限度として、連帯して、組合の債務を弁済する責任を負う。

第36条(欠損が生じた場合の責任)

組合員が組合財産の分配を受けた場合において、当該分配を受けた日の属する事業年度の末日に欠損額(貸借対照表上の負債の額が資産の額を上回る場合において、当該負債の額から当該資産の額を控除して得た額をいう。以下この条において同じ。)が生じたときは、当該分配を受けた組合員は、組合に対し、連帯して、当該欠損額(当該欠損額が分配額を超えるときは、当該分配額。次項において同じ。)を支払う義務を負う。ただし、組合員が組合財産を分配するについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。

2 前項の規定により組合員が組合に対して欠損額を支払う義務を負う場合において、当該分配を受けた組合員は、当該欠損額(同校の義務を履行した額を除く。)を限度として、連帯して、組合の債務を弁済する責任を負う。

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日本版LLP(有限責任事業組合)と個人構成員の給与(その4)

2005-05-23 17:17:10 | LLPの給与・源泉所得税
【4】ついに最終回!青山さんの所得は?!

日本版LLP(有限責任事業組合)の個人組合員で業務執行を行う青山さんに対する毎月の支給金額は、どのようになるのでしょうか?事業所得又は給与所得?

前回紹介した裁判事例の中で、次のようなことが書かれていました。

【事業所得】
①自己の計算と危険において独立して営まれ
②営利性、有償性を有し、
③反復継続して遂行する意思と
④社会的地位とが客観的に認められる業務 から生ずる所得をいい、

これに対し、

【給与所得】
①雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。
とりわけ、給与支給者との関係において何らかの
②空間的、時間的な拘束を受け、
③継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない。


これらのことを、念頭に考えると、まず青山さんが月額50万円保証される見返りとして、

例えば、

①店舗での現場指揮監督義務を負い
②毎日スタッフ同様にタイムカードを押し(押さなくてもいいでしょが、前回の裁判事例の場合は押していました)
③勤務時間が定められ、
④同様の作業を、もし別の人に行わせるとしても同等の人件費が必要

のような状況があれば、給与所得として取り扱ってもいいのではないでしょうか?
(もちろん責任は負いかねますので、あくまでも自己責任で実行して下さいネ!)

有限責任事業組合は個人(又は法人)の集合体で、課税上個々の組合員(構成員)単位で考えるものだとしても、
組合自体が法的な契約当事者になり得ることから、組合と組合員の間に結ばれる雇用契約は成立すると私は考えます。(あくまでも私見ですよ~)

すなわち、アセをかいた分は、損益の分配の一部(労務出資)と見るのではなく、労務の対価として組合の必要経費として考えてよいと思います。

LLP法第11条(組合員の出資)
組合員は、金銭その他の財産のみをもって出資の目的とすることができる。


条文の中でも、金銭出資のみを認めていて、暗に労務出資を否定しています。
(※その他の財産とは、一定の現物出資のこと)


しかしながら、そのアセの値段を世間相場から逸脱して、高額に設定するとまず税務署から事業所得認定の指摘が入るものと思います。
世間相場ってなんじゃ~と言われるかもしれませんが、同業他社の同じようなポストの人の給与がいくらくらいかということで、調べれば大体分かると思います。

★ご注意★
今後のLLP法の政省令や税法、通達等で、私の考え方が通用しなくなることも考えられますので、その点ご注意下さい。もちろん、当ブログでもフォローアップはしっかりと行っていこうと思います。


では、また~ 
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日本版LLP(有限責任事業組合)と個人構成員の給与(その3)

2005-05-22 14:12:02 | LLPの給与・源泉所得税
【3】林檎殺人事件!じゃなくて、りんご生産組合訴訟。。

いい加減、引っ張りすぎ~? いえ、引っ張らせて頂きます。

平成6年に税務調査により、りんご生産組合(任意組合)の個人組合員が、りんごの生産作業を行ったことに対して支払われた賃金を給与所得として申告していたが、この賃金は組合に対する労務出資(金銭出資の代わりに、アセを流すので、利益分配してね♪というものです。SWEAT EQUITY[スウェット エクイティ]なんて洒落た言葉もあります。)として、事業所得(組合損益の分配)になるという税務署判断(更正処分)に対して争った事案です。結論からいうと、

国税不服審判所(納税者× 税務署○)



地方裁判所(納税者○ 税務署×)



高等裁判所(納税者× 税務署○)



最高裁判所(納税者○ 税務署×)


で、納税者側が勝利し、給与所得扱いとなりました。ここで注目していきたいのが、結果ではなく、裁判所がどのようなポイントに着目し、どのような判断を下したかということです。

判決文をネットで探してみたところ、納税者敗訴の高等裁判所分しか見つからなかったのですが、十分参考になるので、大切な部分を抜粋しました。(いいのだろうか。。。)



【税務署(徴税)サイドの考え方】

「~さらに、被控訴人の本件収入を給与所得であると解すると、仮に組合員全員が労務を提供しているような場合には、組合に発生した事業所得を給与として各組合員に支払うことになるから、これにより組合の事業所得が極端に圧縮されてしまうという結果を生ずる反面、組合員の給与所得については給与所得控除を通じて給与所得の金額が圧縮される結果となるばかりでなく、給与の支給により組合に対する出資に係る事業所得がマイナスになれば、事業所得と給与所得との損益通算によりさらに給与所得の金額が圧縮されることとなり、組合員の労務提供に対する対価を給与所得と認めることにより、著しい課税の不公平を招来し、所得税法が事業所得と給与所得を分けて課税の公平を期した趣旨を没却することになりかねず、被控訴人の右主張はこの観点からも採用することができない。~」


【過去の判例の引用】

「~ところで、
この点に関して、最高裁判所昭和五三年(行ツ)第九〇号、同五六年四月二四日第二小法廷判決・判例時報一〇〇一号三四頁は、弁護士の顧問料が事業所得か給与所得かが争われた事案において、所得税法上の事業所得(同法二七条一項)と給与所得(同法二八条一項)の区分に関して、「およそ業務の遂行ないし労務の提供から生ずる所得が所得税法上の事業所得と給与所得のいずれに該当するかを判断するにあたっては、租税負担の公平を図るため、所得を事業所得、給与所得に分類し、その種類に応じた課税を定めている所得税法の趣旨、目的に照らし、当該業務ないし労務及び所得の態様等を考察しなければならない。」としたうえ、

「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい、

これに対し、

給与所得とは雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいう。なお、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない。」
と判示しており、~」


着目すべきポイントは、やはり色を付けた、「事業所得とは」、「給与所得とは」という部分です。最高裁では、状況から給与所得と考えるのが相当と言っており、実際に作業に従事する行為が、どちらの所得に該当する性格のものかを判断することが重要であって、組合組織だから即組合員への支払いは事業所得(損益の分配)と考える必要はなさそうです。

という、過去の裁判事例も考慮しつつ、また次回へ続く~!
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日本版LLP(有限責任事業組合)と個人構成員の給与(その2)

2005-05-20 23:55:03 | LLPの給与・源泉所得税
日本版LLP(有限責任事業組合)と個人構成員給与(その2)

【2】組合事業に参画するということ

日本版LLPに個人組合員として、金銭出資を行い経営参加するということは、税務上の課税の考え方からすると、民法上の任意組合に準ずるものと考えられることになります。そのため、任意組合の税務上の取扱いを理解することが、日本版LLPの税金を理解する早道となります。(堅苦しくなってきました。。。)

任意組合は、各個人があたかも、自分の分配割合部分について自分一人でその事業を行っているものと考えて、所得計算を行い、所得区分に応じて税計算を行い申告することとなります。

所得区分というのは、所有不動産の賃貸ビジネスなら不動産所得、株のデイトレーダーなら株式の譲渡所得、カフェレストランの経営なら事業所得という具合です。

では、本題に戻り、今回のビジネスはアパレルショップの運営ですので、...そう!事業所得になります。

もう一つ考えて頂きたいのが、個人事業者がアパレルショップを経営したとき、自分に給与って支払いますか?もちろん、利益の中から日々の生活費をカバーしていくことになると思いますが、事業主本人に対する給与ってないですよね?経理処理をするときには、

借方)事業主貸 500,000円 / 貸方)現金(レジにあったお金を抜いちゃった。。)500,000円

となり、経費として認識されないこととなります。何を言っているのか分からなくなりました???
ポイントは2点です。

①LLPによる組合事業は、あたかもその個人組合員が分配割合に応じて1人で事業を行っていると税務上考えるということ。

②個人事業の場合、事業主は自分に給与は出せないということ


さて、問題です。

青山さんに対する50万円は、所得税法上給与所得になるのか、それともLLPの個人組合員として損益の分配(事業所得)とみなされるのでしょうか? (前回のコピペじゃないかって?その通り!)

またまた、続く~!
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日本版LLP(有限責任事業組合)と個人構成員の給与(その1)

2005-05-19 20:31:28 | LLPの給与・源泉所得税
こんばんは、本日は今まで書きたくても中々書けなかった難しい問題に触れたいと思います。
今後政省令の整備によりある程度取扱い方法が明確化されることを期待しますが、税金の問題なのでとても微妙~なのです。


日本版LLP(有限責任事業組合)と個人構成員給与(その1)

【1】問題提起

LLPの構成員として考えられるのは、法人及び個人です。個人も法人構成員からの出向や転籍により、直接的な構成員(組合員)
でなければ、問題もないのですが、個人構成員の場合にその人に対して毎月支払う給与って、何なのでしょうか?

<例示>

表参道有限責任事業組合(表参道LLP)

■組合員:

1.法人組合員 原宿商事 業務執行組合員 神宮さん
2.個人組合員 青山一郎さん

表参道有限責任事業組合は、カリスマ服飾デザイナーの青山さんと、以前より取引関係のあった原宿商事の
新ブランドでのアパレルショップ共同プロジェクトです。

■出資金額:

原宿商事 9900万円
青山さん  100万円 合計1億円

■損益分配:

原宿商事 50%
青山さん 50%

■スタッフ構成:

神宮さん (法人組合員 原宿商事 業務執行組合員)
青山さん (個人組合員 業務執行組合員)
渋谷さん (表参道LLPと雇用契約) 
代々木さん(表参道LLPと雇用契約) 以上4名

■主な役割分担:

神宮さん  経営財務全般
青山さん  実務全般
渋谷さん  青山さんのアシスタント  
代々木さん 雑務全般

以上のような場合に、スタッフ給与はどうなるのでしょうか?

★神宮さんは、所属している原宿商事から別途給与がでているので、表参道LLPからは直接もらわないものとします。
★渋谷さんと代々木さんは、表参道LLPと雇用契約により勤めることとなりますので、各人30万円/月を支払うこととします。
(※表参道LLPは、給与支払事務所として源泉所得税の徴収義務を負い、社会保険、労働保険の適用が出てきます。)
★個人組合員のカリスマ服飾デザイナー青山さんですが、原宿商事との事前交渉で月額50万円を保証してもらっています。

そこで問題ですが、青山さんに対する50万円は、所得税法上給与所得になるのか、それともLLPの個人組合員として損益の分配(事業所得)とみなされるのでしょうか?


どっちでもいいのでは?って...良くないのです。給与所得の場合、給与所得控除の適用を受け税率面でメリットがあるのに対して、事業所得の場合、給与所得控除の適用がないだけでなく、所得金額が290万円を超えると、越えた部分に対して5%の事業税も課されることになります。

ていうか、どうみても給与でしょっ!て? どうなんでしょう。。。 (続く~!)

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