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「新防衛大綱」提言と自衛隊強化の危険 その(1)

2010-11-24 | 日々のニュース
 民主党の外交・安全保障調査会は11月17日の役員会で、12月改定予定の「防衛計画の大綱」(防衛大綱)に向けた提言案のたたき台を示した。「武器輸出三原則」の緩和や、「基盤的防衛力構想」からの脱却と南西諸島防衛重視を組み込むなどきわめて危険な内容になっている。防衛大綱の見直しは、昨年策定の予定だったが、新たに誕生した鳩山政権のもとで棚上げされた経緯がある。今回出された提言は歴代自民党政権でさえ躊躇していた内容にまで踏み込んで書かれている。菅政権は、政府要人の相次ぐ失言問題と柳田法相の辞任、「ビデオ流出問題」等で機能不全に陥っている。日本の防衛政策の根本的転換を目指す防衛大綱が、そのような立ち往生した内閣の元で粛々と決定されようとし、自衛隊の増強が着実に進められていくところにかつてない危険性がある。新防衛大綱の制定に反対する。

 民主党提言案は、新聞報道などによると以下の5項目からなる。
(1)NSC(国家安全保障会議)の新設。官邸機能の強化。
(2)南西防衛戦略で沖縄本島の陸自第15旅団を師団化。先島諸島(宮古・八重山列島)にも陸自を配備。
(3)自衛隊の人的基盤強化。
(4)自衛隊海外派兵のための恒久法制定。
(5)武器輸出三原則の緩和。

 以下の新聞ウェブ版各紙の報道からわかるように、最大のポイントの一つは武器輸出三原則の緩和である。殺りく兵器の開発と武器輸出を経済活性化の起爆剤としたいという財界の意図を露骨に反映している。一方産経新聞だけは、「NSC新設」「沖縄・陸自を師団化」を見出しに出し、支配層のもう一つの意図を明らかにした。中国と北朝鮮への軍事対抗、対決を戦略化するというのである。NSC(国家安全保障会議)の新設、官邸機能の強化は、自民党安倍政権時代に提案され、福田政権で廃案になった経緯がある。安倍政権は独立したNSCの設立を目指して挫折したが、菅政権は内閣情報調査室の機能強化で対応し、とにかく官邸権力の強化に結びつけようとしているのである。沖縄と南西諸島重視は菅政権で急速に強まっている。それは、軍事挑発や武力紛争の危機をはらむきわめて危険な動きである。
※武器輸出、民主が「解禁」案 共同開発・生産を視野に(朝日新聞)
http://www.asahi.com/politics/update/1116/TKY201011160225.html※武器輸出、欧・韓・豪にも 三原則緩和、民主提言へ(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2010111702000040.html※武器三原則見直しで素案=NATO念頭、輸出解禁-民主調査会(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201011/2010111600998武器禁輸対象国を限定、共同開発も…民主素案(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101116-OYT1T01173.htm※防衛大綱で民主「5つの提言」判明 「NSC新設」「沖縄・陸自を師団化」(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101117/plc1011170131002-n1.h※防衛大綱:民主党が素案 「武器輸出三原則」緩和を提言(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101118k0000m010059000c.html

 武器輸出三原則の見直しは、日本経団連が7月20日「新たな防衛計画に向けた提言」なる文書を作り政策提言を行ったことと密接に関係している。その文書の中では、1990年の1兆700億円から2010年の6800億円まで新規契約が激減した厳しい防衛産業の実情をふまえ、米国だけでなく国際共同開発やMDを軸とした宇宙開発利用などによって、防衛産業の生き残りを模索している。彼らはミサイル防衛システム(MD)への関与と集団的自衛権の行使容認を不可分一体のものとして要求している。
※新たな防衛計画の大綱に向けた提言(日本経団連)
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2010/067/honbun.html

武器輸出三原則は①共産圏、②国連決議での禁止国、③国際紛争当事国への武器輸出を認めないとしたものだが、三木内閣で原則禁止に踏み込み、現在は一部緩和によってMDの共同研究開発などに限定されて米国との間で認められているだけだ。それを一気に欧州や韓国、オーストラリアなどに広げようというのである。そこには、従来一切認められてこなかった完成兵器の輸出なども含まれている。もちろん戦闘機も対象だ。
 ①完成品の海外移転は平和構築や人道目的に限定、②人を直接殺傷する能力の低いものに限定、③共同開発・生産の対象国は平和国家の理念にのっとる、などとしているがその欺瞞性は言うまでもない。戦争をし、人を殺りくするために作られた武器に人道目的などありえない、個々の兵器の殺傷能力の高低など問題外である。そもそもノーベル平和賞を受賞したオバマの米国が、イラク、アフガニスタンで無実の人々を大量に殺りくし、いまも殺し続けている張本人なのである。侵略戦争をする国に平和国家の理念などありえない。
※武器輸出三原則 19カ国対象、緩和検討 戦闘機など共同開発、年末公表へ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101113/plc1011130100001-n1.htm

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1 コメント

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尖閣問題と延坪島問題で軍需産業が「期待感」 (ハンマー)
2010-11-26 10:24:32
武器輸出三原則の緩和の問題とは違いますが、尖閣問題と延坪島問題で、軍需産業の株価が上がり、日本が危機になることへの期待感がにじみ出ていて、そこにはマネーにあやつられる人間性の倒錯があります。

http://www.toyokeizai.net/money/markett/detail/AC/5f01d509447966562cba43494a6ac619/
http://www.toyokeizai.net/money/markett/detail/AC/636241061c8a2d7350036a93b331a1b6/
http://www.toyokeizai.net/money/markett/detail/AC/a76e133b1e3d57400b400960a1814200/
http://www.toyokeizai.net/money/markett/detail/AC/526846b1d56176abfec3c6935c7da0d5/

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