風のうた 小さな僕の自由な詩

楽しかったり、嬉しかったり、悲しかったりする時、伝えたい思いがあります。
そんな思いを詩に込めて

枯れかけのあの雄花

2017-05-12 18:55:31 | 
冬の日川辺に咲く枯れかけのあの雄花
悲しげに映っては少し揺れたから
両手で包み込む様に抱きしめました
それは春も近付くうららかな一日
目覚めの予感を胸に抱いて部屋へ連れて行きました
学生街の奥の方
日の当たりの悪いアパート
眺めればなぜか
小さな間に合わせの花瓶に
これとないほど似合っていくから
カーテン越しに街を眺めて
誰の心にも一つ一つが語りかけてくるような
花を探したくなり
私は花瓶を手に取り花に触れます
日々はまた継ぎはぎの昨日の様に
明日を迎えるでしょう
今はただ少しだけいつもより暖かい午後の風に
私も一緒にさらして目を閉じるのです
枯れる事さえ恐れた事も無さそうに
満足そうに散っていくのに
私はいつの日かの私を重ね
そうありたいと願いを新たにします
春は目覚めの季節と歌われる様に
日々新たに色づきますから
私もその一つとして小さく咲き誇りましょう
あの日最期を迎えた枯れ雄花に
私の小さな誓いが揺れて
夕暮れ前の何気ない陽気に
包み込まれるように消えて行きました





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