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核開発に対する日本の二重基準を正すべき

2017年09月12日 13時12分09秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                           「植草一秀の『知られざる真実』」

                                         2017/09/11

              核開発に対する日本の二重基準を正すべき

               第1842号

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北朝鮮の核開発を皆が寄ってたかって非難している。

日本は世界で唯一の核兵器による攻撃を受けた国。

日本が核廃絶運動の先頭に立つべきことは当然のことだ。

世界から核兵器を消滅させる。

核廃絶を訴えて、その文脈の中で北朝鮮の核開発を非難するのは理にかなって
いる。

しかし、日本は核兵器禁止条約に賛成していない。

7月7日、国連は核兵器禁止条約を採択した。

国連加盟193ヵ国のうちの124ヵ国が核兵器禁止条約交渉会議に出席。

投票の結果、122ヵ国が賛成した。

北大西洋条約機構(NATO)に加わるオランダが反対。シンガポールが棄権
した。

条約は核兵器の使用、開発、実験、製造、取得、保有、貯蔵、移転などを幅広
く禁止。

当初案で除外されていた、核使用をちらつかせる「脅し」の禁止も最終的に盛
り込まれた。

9月20日からは、各国の署名手続きが始まる。

批准国が50ヵ国に達すれば、その90日後に条約が発効する。

しかし、非批准国には効力が及ばない。

条約推進国は核兵器廃絶の世論を喚起し、核兵器廃絶を目指している。

この条約に日本は賛成していない。



理由は、日本が米国の「核の傘」によって守られているからだという。

日本は米国の核兵器保有、核兵器使用を、基本的に容認しているのだ。

この判断、考え方と、北朝鮮の核開発を非難する判断、考え方が両立し得るの
か。

ここに問題の本質、核心が隠されている。

北朝鮮が核開発を推進しているのは、北朝鮮が米国の軍事介入、侵略によって
滅ばされることを防ごうとしているからだ。

米国はイラクが核開発を進めているとの疑惑を有していた。

そして、イラクは「大量破壊兵器を保有している」との判断に基き、イラクに対
して軍事侵攻した。

しかし、イラクで大量破壊兵器は発見されなかった。

イラクは濡れ衣を着せられ、米国等の外国軍事勢力によって破壊された。

イラクに対する「侵略戦争」が実行されたのである。

この現実を踏まえて、北朝鮮は米国等の外国軍隊によって北朝鮮が滅ぼされる
ことのないよう、核兵器開発を進めている。

核攻撃能力を保有することにより、他国からの侵略戦争、他国による軍事的な
制圧を回避できると判断しているのだ。

国家が外国勢力により侵略を受けて、滅ばされてしまうリスクが存在するとき
に、一国のトップが、これを回避するために力を注ぐのは当然と言えば当然と
言うことができる。

このような判断は十分に成り立ち得る。



北朝鮮の核開発を他国が非難するのは、北朝鮮が核兵器の使用に踏み切れば、
多大な被害が発生するからである。

日本への原爆投下では、数十万人単位での犠牲者が生み出された。

大量破壊兵器による一般市民の無差別殺傷、大量虐殺が実行されたのである。

この大量虐殺を実行したのは米国であって北朝鮮ではない。

北朝鮮は核兵器の開発を推進しているが、大量破壊兵器による一般市民虐殺、
無差別殺傷を実行してはいない。

実行したのは米軍のみである。

北朝鮮が核兵器開発を進め、核保有国になることによる弊害は、他の核保有国
にそのままあてはまる。

そして、核保有国のひとつである米国は、第2次大戦において、核兵器の実戦
使用を行い、数十万人規模の大量殺戮を実行している。

つまり、核開発、核兵器保有が持つ弊害というのは、北朝鮮にのみ当てはまる
ものではなく、すべての核兵器保有国に当てはまる問題なのである。

第2次大戦の戦勝国のみが核兵器保有を許され、これを独占保有している体制
が不合理なのではないか。

また、国連安保理常任理事国5ヵ国以外にも、インド、パキスタン、イスラエ
ルの核兵器保有は公然の秘密になっている。

イスラエルの核保有は許されて、北朝鮮の核兵器保有が許されないというとこ
ろに、根本的な矛盾が存在する。

日本は世界で唯一の核兵器による攻撃被爆国として、核兵器そのものの廃絶を
訴えるべきだ。

核兵器廃絶を訴えずに、北朝鮮への「圧力」だけを声高に唱えても、問題の本質
的な解決を得ることはできない。

安倍政権はもう少し思考を深めるべきなのだ。



日露首脳会談が実施され、安倍首相は

「圧力強化」

を訴えたが、ロシアのプーチン大統領に軽くいなされた。

ロシアのプーチン大統領は、北朝鮮は核開発によって国を守ろうとしているの
であり、圧力だけで問題の解決はないことを明確に述べた。

イラクは大国による「侵略戦争」によって滅ばされた。

この前例を踏まえれば、北朝鮮が、強い「抑止力」を確保して、「侵略戦争」によ
る国家滅亡を回避しようとすることは容易に理解できる。

核開発は世界のすべての人々の脅威になるもので、当然のことながら、核廃絶
を目指すべきだが、戦勝国が核兵器を独占保有し、他国には核保有を認めない
という現在の世界の体制、しかしながら、ごく一部の国による核兵器保有は黙
認されているという世界の体制に、根本的な矛盾がある。

そして、軍事的な大国が、その軍事力によって「侵略戦争」を実行し、弱小国を
軍事的に殲滅してしまうことが現実に観測されている以上、大国から敵対しさ
れている国が、これに対抗しようと核開発に突き進むことは、ある意味で当然
の帰結であるといってよい。



北朝鮮は核兵器保有による「抑止力」を確保し、「侵略戦争」による国家滅亡を
回避しようとしているのであろう。

この全体の図式を冷静に見つめることが、問題の解決への糸口になる。

やみくもに「圧力」を強めて、北朝鮮の自暴自棄を誘発することは賢明でない。

ロシアのプーチン大統領は、この現実を的確に捉えた見解を表明しているので
ある。

世界を核戦争の危機から救うには、最終的には世界全体の「核兵器廃絶」を実
現するしかない。

この問題を避けて、一方で、北朝鮮には核開発を許さないと訴えても、説得力
に乏しい。

北朝鮮の核開発はだめで、イスラエルの核開発はよい、とする正当な根拠、合
理性のある根拠は存在しない。



米国はイランや北朝鮮の核開発に対しては強硬な態度を示すが、イスラエルの
核開発について、強硬な姿勢を示したことがあるのか。

また、安倍政権は北朝鮮の核開発を強く非難するが、インドの核開発を厳しく
批判したことがあるか。

また、核兵器廃絶が大切だと言いながら、国連が採択した核兵器禁止条約には
参加していないではないか。

こうした「ダブルスタンダード」が問題なのだ。

安倍政権の姿勢は、ただひたすら、米国の命令に従っているだけのもので、世
界で唯一の核兵器攻撃による被爆国としての「核廃絶」に向けての姿勢は、どこ
にも存在しない。



北朝鮮が米国本土への核攻撃能力を備え、また、電磁パルス攻撃能力を保持す
ることになると、米国の北朝鮮への対応は慎重にならざるを得ない。

米国は北朝鮮との対話による問題解決の道を模索せざるを得なくなるのではな
いか。

これこそまさに、北朝鮮の目指す方向性なのである。

日本は「圧力」一点張りの主張を繰り広げているが、米国が日本を差し置いて、
北朝鮮と直接交渉に進む可能性を否定することはできない。

北朝鮮によるミサイル発射実験を誇張するように、日本の各地で時代錯誤の防
空頭巾訓練などが実施されているが、噴飯ものといわざるを得ない。

北朝鮮のミサイルの脅威を真剣に考えるなら、まずは、全国の原発の稼動を止
めることが優先されるべきである。



自民党が窮地に陥ると、必ず北朝鮮が動き、日本国民の関心が北朝鮮に向かわ
される。

安倍政権と米国の軍産複合体と北朝鮮が、何らかの形で繋がっているとの見方
も否定しきれない。

何よりも恐れるべきことは、偶発事態が重なって、不測の事態が発生すること
だ。

「圧力」一点張りの、情緒的な対応は、この偶発事態リスクを高めてしまうもの
である。

イスラエルの核開発に対して日本政府は何の批判、攻撃を示していない。

このような典型的なダブルスタンダードが存在することを、日本の国民は十分
に認識した上で、安倍政権の行動をチェックする必要がある。

「圧力」大合唱で人為的に緊張を高めることよりも、冷静な「対話」を木曽に置い
て、武力によらない着地点を見出す努力を注ぐことが強く求められている。


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