青みかんと準惑星

小ネタ乗せようかと思ってます。
時々二次系の下書き・・・

10年目の嵐 11

2007-02-25 20:18:56 | 二次系
そんな矢先だった。
悠理と銀座で会ったのは。
虚ろな目をして、悠理は銀座を歩いていた。歩いていたというより、彷徨っていたと言ったほうが正しかったかもしれない。
声をかけるべきかどうか迷った。そのまま放置しても…、と思った。けれども、私は清四郎と悠理が幸せになることだけは、さけたかった。有閑倶楽部のメンバーが誰もうまくいってないのに、あの二人だけが幸せになるなんて、それだけは許せなかった。
いや、多分、本心は違っていたのだと思う。
悠理が幸せになるのが許せなかったんだと思う。ずっと、悠理のことを魅録が好きだったから…。
私は悠理に声を掛けた。弱みを見せたくはなかったので、強い態度で悠理に向かった。
私のほうが、悠理より幸せ、そういう風に悠理には見せたかった。清四郎と一緒にいるのは、私、そう誇示したかった。実際は清四郎と一緒にはいなかったけれど。
そんなとき、悠理に魅録から電話が掛かってきた。
何かありそうな悠理の表情…。
お願いだから、何もないと言って…。
「魅録から、ですの?」
電話を切り終わると私は聞いた。
「そうだよ。」
「魅録に…、悠理は会うんですの?」
「どうしてそんなことを聞くの?野梨子には関係ないだろ?。今、清四郎と暮らしているんだし…。」
悠理が意地悪く、私に魅録のことを教えまいとしていた。だから、私は清四郎が私と一緒には暮らしていないということを悠理には告げなかった。
絶対に告げはしない…。
私の中で怒りの炎が燃え上がる。
いつもの私であれば、”そうですのよ。今、私は清四郎と暮らしていて幸せですのよ”と高笑いしただろう。けれども、私はなんとしてでも魅録に会いたかった。そっちの思いのほうが強かった。
悠理に電話番号を聞くなんて惨めだ、そう思ったけれど、そんなことを気にしていたら、魅録に会うことはできない。
悠理は私をちょっと蔑んだ目で見たあとに、私に魅録の連絡先を教えてくれた。
これで、いつでも連絡できる。
そう思うとホッとした。
私は家に帰ると、即、魅録に電話を掛けた。
『はい。』
「もしもし…。野梨子です。魅録?」
『おっ、野梨子か。久しぶり。』
彼の声は明るく元気だった。
「ええ、久しぶりですわ。」
私の声も知らず知らずのうちに弾む。
『悠理から聞いたのか?』
「ええ。」
『清四郎は元気か?』
普通の聞き方だったが、なんとなく、違和感を覚えた。
「どうして、清四郎ですの?」
『今、一緒に暮らしていると悠理から聞いたぜ。』
話したの、ね…。
私は悠理に対して、憎悪を覚えた。
「…清四郎とは、一緒に暮らしていませんわ。一緒に暮らそうかという話になったんですけど、駄目になりましたの。」
私は努めて明るく言った。
『清四郎と、暮らしてないのか…?』
魅録の声音が変わる。
ちょっと緊張感が走る。
「ええ、そうですわ。それがどうかしましたの?」
『わりぃ。…今度、また、俺から掛けるわ。』
魅録は慌てて、電話を切った。
悠理のことを好きだったから、私が清四郎と一緒に暮らしていなかったのが、まずかったのかしら。
せっかくのチャンスだったのに?
チャンスは私のほう、ですわ…。
魅録を手に入れるチャンスを逃すわけにはいきませんもの…。
私は魅録の家に直接タクシーで行くことにした。

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在庫切れです。暫く放浪でもしようかしら。。。


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2 コメント

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10年目の大嵐ぃ~! (桃色ぴんく)
2007-02-27 23:35:39
ブラック野梨子イイ!!
魅録の家に押しかけて行ってみれば、当然そこには悠理が!
どうなっちゃうんでしょうか、こわーい(爆)
も~楽しみですぅ~
桃色ぴんくさん、遅レスごめんなさい!! (りかん)
2007-03-06 23:22:04
最近多忙で・・・(言い訳)。
野梨子が押しかけていっても悠理がいるかどうかは・・・(謎)
野梨子は本能のまま行動しますが・・・(苦笑)。
ブラック野梨子、楽しんでもらえてるみたいで、ちょっと嬉しいです♪
・・・今回はほんと遅レスごめんなさい。これに懲りず、また来てくださいねー!

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