野元の詩

電車のなかで。トイレのなかで。ラーメン屋のなかで。一人の部屋のなかで。夜のなかで。あなたに、読んでほしい。

#475 クジラの背

2016-12-20 23:41:00 | 
『クジラの背』

人波にさらわれて僕はどこにいくの
この社会もまた海ならば
とても泳げないくらいに汚れちまっている
ほら身体の力を抜けば
一人ぽつんと人波のなか浮かんでいる
擦りきれたスニーカーには月の橋が架かっていて
電車は三分おきにホームに流れてくる
無情 無情 無情
口は海水で塩辛く
鼻は波を吸って息苦しい
もう無理だ
もうやめだ
いいや、耳にはドビュッシーが響いている
黒い波に乗って体はぷかぷかと月に向かっている
夜空に手を伸ばせばどこかで汽笛が鳴いた
杖をついた老人が言った
お座りになりますか?
僕はクジラの背に乗った

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