野元の詩

電車のなかで。トイレのなかで。ラーメン屋のなかで。一人の部屋のなかで。夜のなかで。あなたに、読んでほしい。

原始の朝

2017-07-18 08:06:07 | 
『原始の朝』

太陽がどんどん沈んでいく
海の底に沈んでいく
宇宙の底に沈んでいく

月はどこだ
僕は一人で吼える
愛はどこだ
僕は這いつくばって探す

ここは光の届かない夜の胸中
たばこの火もつけられない白熱灯の下

僕は線路を抜け出して踊りだす
しだいにカラスたちはギャアギャアと飛び立っていく
裏切者をけっして許してはくれないのだ

僕は細い木の枝を幾重にも重ねて焚き火をおこす
自分の黒い羽をもぎって火に投げ入れる
もうこんなものは要らない

辺りが明るくなると皆踊っている
皆泣きながらがむしゃらに踊っている

カラスたちは丁寧に丁寧に僕たちの身体をついばんでいく
僕たちは躍りで対抗する
バラバラだった皆の躍りが環となって
しだいに太陽になっていく

一人が詩を唄い始めて朝焼けが始まる
みんな詩を唄い始める

カラスは朝焼けに燃えていく
世界にまた太陽が昇っていく

さあ、朝が始まる
原始の朝が再び始まる

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