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哀悼 世界のニナガワ

2016-05-13 | アート
昨日、日本を代表する演出家の蜷川幸雄さんがお亡くなりになりました。
80歳でした。
とても残念です。

蜷川さんは、埼玉県出身で郷土の誇る素晴らしい芸術家でした。
「彩の国さいたま芸術劇場」が作られたことも、蜷川さんのお力あってのことだと思います。
そこでシェークスピアの全作品のシリーズ公演に取り組み、私は「オセロー」を観に行ったことがあります。
その舞台は、オセロー:吉田鋼太郎さん、デズデモーナ:蒼井優さんでしたが、
私の少し後ろの席に蜷川さんが座っていらっしゃることに気が付きました。
休憩時間に楽屋のほうへ行かれましたから、きっと前半舞台のご指導があったのでしょうね。
大変厳しいお方だと伺っていましたが、それだけ真剣に演劇に取り組まれていたのでしょう。

日本を代表する多くの俳優さん、女優さんが哀悼のお言葉を述べていらっしゃいます。
皆さんの「育てていただいた。」「情熱に圧倒された。」「感謝しかありません。」等々の言葉から、
演劇界に成し遂げられた業績の大きさを感じますし、喪失の大きさも感じます。
多くの若手を見出し、鍛え、育ててこられたのです。
お元気なうちに、「リチャード二世」を観に行っておくべきだったと悔やまれます。

冒頭画像の本は、昨年末刊行された蜷川幸雄さん、山口宏子さん共著の『蜷川幸雄の仕事』(とんぼの本)です。
村上春樹、カズオ・イシグロの寄稿、石橋蓮司、平幹二朗、宮沢りえ、藤原竜也らのインタビュー、
蜷川実花との対談等も収載、のべ300近くにおよぶ全演出作品年譜も付いています。
車いすに酸素ボンベ姿、それでも稽古場では大声で役者を叱咤されていたそうです。

お名前に「世界の…」を冠して称される方は、日本に何人もいらっしゃいません。
そういう方々は、ご高齢になっても、ご病気をされても、常に次の仕事を抱えていらっしゃる。
その芸術や仕事へのエネルギーに頭が下がります。

どうぞ、安らかにお眠りください。
合掌



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2 コメント

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蜷川作品 (桜子)
2016-05-15 16:52:20
蜷川さんが体調を崩しておられるのは、耳にしていましたが、寂しいことです。

子供のころ初めて、この型をNHK でお見かけしました。まだほんの小さな子供でしたのに、なんて下手な役者というよりお兄さんだろうと思ったのを今でも覚えています。で、彼の舞台を初めて見たのが人気が出てすぐの「王女メディア」でした。子供の時に抱いたイメージをどのように心の中で処理しようか、一瞬でしたが戸惑いました。「身毒丸」も良かった。その後、続いて何作か見ましたが、どれも見ごたえのある舞台でしたので、もう見られないかと思いますと本当に残念でなりません。

埼玉出身の方だったのですね。ご冥福を祈らずにはいられません。
桜子さま (holy)
2016-05-15 23:59:07
役者としての蜷川さんもご存じなのですね。
「演出家」という職業を広く世間に知らしめた方と思います。
観たい演劇を役者さんではなく演出家で選ぶ、そんな意識を持つようになったのは蜷川さんの業績でしょう。
同じく埼玉県出身の藤原竜也さんは、蜷川さんによって見出されたとも言えます。
最期まで現役を貫いた生き方にも感服します。

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