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テマセクの運用スタイル

2009-05-29 23:59:00 | 成功の秘訣
最近はSWF(ソブリンウェルスファンド)という言葉もあまり聞かなくなったが、彼らが姿を消してしまったわけではない。彼らの運用資産は金融危機を経てかなり減少したのかもしれないが、依然として巨大資金を運用する機関投資家として大きな存在感を持っているのである。

SWFのうちのひとつにシンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスという会社がある。彼らは、その運用の巧みさによって知られている。そのテマセクに関する記事が28日の時事から配信されていた。その中で書かれていることのなかに思わず「なるほど」と思ってしまう箇所があったので紹介していきたい。

シンガポールの財務相がテマセクの運用実績について国会答弁をしたらしいのであるが、なんでも彼らは03年3月末から09年3月までの間に、総株主利益率(米ドル建て)で年率15%にも及ぶ運用成績を上げたというのである。メリルの株式取得などによって巨額の損失を被ったにもかかわらず、この運用成績は凄まじいといわざるを得ない。

テマセクはすでにメリル(今はバンカメ)の株を売却しているのであるが、そのことに関しての財務省のコメントが非常に秀逸だと感じた。

●「テマセクは長期的な投資家であるが、そのことは重大な環境の変化や新たな投資計画が持ち上がっても、ここのすべての投資維持し続けることを意味しない」
●「全体の資産構成のリスク配分を改善したり、好機を活用したりするために、損失が生じてもテマセクが保有資産を売却することはある。そうした保有資産の見直しは、長期投資化の常道だ」

このコメントは、まさに長期投資家が長いタームで勝ち続けるためのエッセンスを凝縮していると考える。長期投資家とは、買った資産を永久に持ち続ける投資家ではない。長期的に成功する投資家は、不断に自身のポートフォリオを見直す。長期的に株価上昇が見込める企業を選別し、時には損切りを厭わずに優良銘柄をポートに組み込んでいく投資家なのである。