オーストリア航空の機内誌「一望千里」には興味深い記事があり、旅先で参考にしています。もう数年前の事ですが、カフェのオーナーに自分の店以外で「あなたの贔屓のカフェハウスはどこですか?」という読み物があり、それを参考に観光客が殆ど行かないカフェ・シュペールを探して、「ノイマン」というコーヒーを楽しんだ事がありました。然し、このコーヒーを出してくれるカフェは少なく、デーメルにもありませんでした。ウィーンのコーヒーと日本のコーヒーとを比較すると豆自体は日本の方が高級品を使っている印象を持ちます。日本では「ブレンド・コーヒー」と注文するが普通でしょうが、こだわっている店に行くとキリマンジェロとかモカと言った豆の産地を指定して飲めますね。然し、ウィーンだと何処の豆を使っているのか一切判りません。メニューに記載されているのは「どの様な入れ方をするか」だけです。豆の煎り方は欧州全般に言えるのでしょうが、深煎りです。
欧州でコーヒーを飲み始めたのは1683年にウィーンを攻めたオスマントルコ軍が敗走した際に放置してあったコーヒー豆を飲んだのが始まりとされていますが、どうやらこれは伝説で、実際には、それ以前からコーヒーは飲まれていた様です。何種類の入れ方があるのか数え上げた事がありませんが、オーストリア航空機内でサービスされるものは次の通りです。
① ブラウナー(Kleiner oder großer Brauner) : 濃い目に入れた深入りのブラックコーヒーにクリームを添えたもの。大きいカップがgroßer、小さいのがkleinerになります。
② シュバルツァー(Kleiner oder großer Schwarzer): ブラックコーヒーのことです。
③ メランジュ (Wiener Melange): スターバックと共に入ってきたカフェラテと同じで、泡立てたホットミルクとブラックコーヒーのミックスです。
④ アインシュペナー(Einspänner): 一頭だての辻馬車を意味しますが、ブラックコーヒーにホイップトクリームと粉砂糖を加え、グラスでだされます。日本でいうウインナコーヒーでしょうか。
⑤ ファイアカー(Fiaker): Fiakerは二頭だての辻馬車ですが、このコーヒーはコニャックとホイップトクリームを加えてグラスでサービスされます。
⑥ フランツィスカナー(Franziskaner):ブラックコーヒーに泡立てたホットミルクを注ぎ、更にホイップトクリームとカカオパウダーを加えます。
⑦ カフェ・フェルケールト(Kaffee verkehrt): ブラックコーヒーに泡立てたホットミルクをたっぷり加えグラスで供されます。
⑧ マリア・テレジア(Maria Teresia): ブラックコーヒーにオレンジリキュールを加えたものですが、結構アルコールが強い印象でした。お酒に強い方にはピッタリなのかも知れませんが。
⑨ カフェ・ベイリーズ(Kaffee Baileys): ブラックコーヒーにベイリーズ、ホイップトクリーム、カカオパウダーを加え、グラスでサービスされます。
⑩ ウインナ・アイスコーヒー(Wiener Eiskaffee): ダブルのエスプレッソにバニラアイスクリームとホイップトクリームを加えたもので、大きなグラスで供されます。暑い日に飲むのは堪えられません。
こうやって並べてみると基本は①、②、③、④、⑩程度でしょうか。ウィーンに初めて行った頃にはメランジュを飲んでいましたが、最近はもっぱらグローサー・ブラウナーを楽しんでいます。