廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

ピアノの音に宿る強い力

2017年06月18日 | Jazz LP

Michel Petrucciani  ( 仏 Owl Records OWL 025 )


ミシェル・ペトルチアーニを初めて聴いた時は本当に驚いた。 今まで聴いたことがないようなまったく新しい感性、みずみずしいピアノの音、強い意志の力。
頭の上から冷たい水を被ったような、目の覚めるような感覚。 音楽を聴く中でこういう覚醒感を憶えることは、数えるくらいしかない。 その時聴いたのは
アルバム "Playground" の中の "September Second" で、そこから遡るようにしていろんな作品を聴いた。 そして、当然の帰結として、このアルバムに
辿り着くことになる。

ピアノの音に込められた強い強い意志の力に、何より心を打たれる。 美しく弾こうなんてまったく思っていないであろうにも関わらす、ピアノが本来持っている
であろう最も美しい音を意志の力で一番奥底から掴み出してくるかのようだ。 ピアノ音楽の世界でペトルチアーニがピアノの中から解放した音は、間違いなく
最も美しいものの1つだったと思う。 おそらく、世界中のあらゆるピアニストたちがこのピアノに激しく嫉妬したことだろう。

ペトルチアーニの自作曲やドラムのアルド・ロマーノのオリジナル曲などの名曲も多く揃い、音楽としての快楽度も最高峰だし、仏OWLレーベルの録音も完璧。
ロマーノのドラムがペトルチアーニの演奏に興奮して曲によっては少しうるさい局面があるのが玉に瑕だが、それも演奏全体を大きくドライヴさせる大きな要因に
なっているので、これはこれでよかったのかもしれない。 

録音の機会にも恵まれてたくさんの作品があって、そのどれもが素晴らしいけれど、やはりこの作品の凄さを聴きに戻ってくることになる。 いいなあと思う音楽は
たくさんあっても、強い感動にまで至る音楽はさほど多くあるわけではない。 この音は生きている。 優れたピアニストは大勢いるし、名盤の数も星の数ほど
あれど、この作品はそれらのいわゆる"名盤"たちとは格を別にする存在だと思う。 

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