■■ 廃盤蒐集をやめるための甘美な方法 ■■■

一度やめると、その後は楽になります。

米コロンビアのマトリクス風評の嘘

2016年10月16日 | Jazz雑記

Miles Davis / 'Round About Midnight  ( 米 Columbia CL 949 )


いつ頃から言われるようになったのかはよくわからないが、米コロンビアのマトリクス番号の話がまことしやかに流れている。 内周部のデッドワックスに
刻まれた番号の最後の2桁が「1A / 1A」とか「1B / 1C」という記号になっているが、「1A」が最初版で、その後「1B」→「1C」→「1D」・・・と回次が上がっていき、
それに従ってプレス時期が後になっていると言われている。 だから「1A」が最も音が良いとされ、その分値段が高くなっているようだ。 ただ、私は
個人的にこの話は眉唾だと思っていて、まったく興味がなかった。 でも、先日DUでマイルスのこの有名盤の「1A / 1A」が2万円で売られていたのを見て、
ちょっとこれは・・・・と思うようになった。

うちにあるこのレコードはたまたま両面とも「1A」で、3~4年前に8千円くらいで買った。 こんなありふれた盤に8千円も、と思ったけれど傷のないきれいな
盤だったので渋々払った。 その時はマトリクスのことなんて触れられていなかったし、こちらもそんなことはまったく気にもしなかった。 でも少し前から
そういう記載が目に付くようになったので、このレコードを持っている友人のところへ行って聴き比べをしてみた。 彼はロックやソウルを聴く人だけど、
この定番は持っていて、彼の番号は「1E / 1G」だった。 結果は予想通りで、スピーカーから聴いてもヘッドフォンで聴いても、特に目立った違いは
感じられなかった。 

彼の見解では、ジャズの世界でコロンビアのマトリクス番号の話が出ているのはロック側からの影響だと思う、とのことだった。 ロックのビッグネームたちの
レコードは初版から何千・何万枚もプレスされて、その後も同じ単位で追加プレスされるから、他人と差別化を図りたいコレクターたちが早くからマトリクスに
着目していたそうで、きっとその話がジャズ側にも流れていったんとちゃうかと言っていた。 なるほどね。

じゃあ、ロックはマトリクスの違いで音が違うわけ?と訊いてみると、それは盤による、違うように感じるのもあれば別に変わらんのもある、とのことで、
そのへんはジャズと同じらしい。

聴き比べをしたのはこのアルバムだけなので決めつけることはできないけれど、コロンビアの場合はあまりこだわる必要はないんじゃないだろうか。
このレーベルは大手でプレス枚数がたくさんあるから、友人の彼が言うように、コレクターがちょっとでも差別化を図りたいがために無理やりこじつけた
側面が強いような気がする。 中には違いが感じられるものもあるのかもしれないけれど、だからと言って何でもかんでも同じ切り口で処理するのは適当過ぎる。
大きく眺めれば何らかの傾向は認められるのかもしれないけれど、最後は是々非々で判断するしかない。

尤も、これは店側が悪いのではなく、買う側に問題があるのだ。 マニアはこの手の話に非常に弱くて、すぐに風評に流される。 正解がない世界だから
常に不安にさらされていて、一方で店側は商売だから買い手が金に糸目をつけなければそれに合わせて高い値段にするだけのことなのであって、中古品の
値段を決めているのは、結局のところ店ではなくマニアなのだ。 おかしな値段のものは買わないという形で意思表示をしていかない限り、高額廃盤たちの
値段が下がることはないだろう。 心配しなくても、レコードなんていつでも買えるのだ。 


ジャンル:
ウェブログ
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 寒いパリの空気の中で | トップ | 幻で終わった夢 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
まぁトリックっす。 (senriyan)
2016-10-18 20:28:37
こんばんは。
やっぱり、そうですか。
溝はジャズに聞け、マトリックスはロックサイドの方に聞け。クラシックは・・・なんかあるんでしょう。(笑)
まあ確かに、「1A / 1A」って、それだけで、おおすげえ!みたいなものありますよね。
それを聞いてから、マトリックスをキーで自然に打つと、魔トリックっす。とか、まあトリックっす。とか、なってしまうのなぜでしょうか? (笑)
とはいえ、ウチにはディブ・ブルーベックのレコードうんとこさあるんですが、あれだけ売れたブルーベックなので、マトリックスみてみようとかと思いました。
Unknown (ルネ)
2016-10-18 22:42:41
ははは、いろんな変換パターンがあるんですね。 きっと、重要なキーワードじゃないからなんじゃないでしょうか。
でも、ブルーベックやJJのレコードでマトリクスの話なんて出ないですよね? マイルスの、それも一部のレコードだけでそういうことが言われるんです。
これって、不自然ですよね。 どうも、作為的な匂いを感じるわけです。 イン・ア・サイレント・ウェイでそんな話、聞いたことないです。 E.S.Pでもそんな話聞いたことないのです。
誰かがどこかで何かを企んでいる、そういうイヤラシイ世界なのかもしれません。 近寄らないほうが無難ですね。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。