廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

ジャズミュージシャンがテクノを齧ったら

2016年10月29日 | Jazz CD

Robert Glasper Experiment / ArtScience   ( 米 Blue Note 4797050 )


手堅くまとめてきたなあというのが第一印象だが、よく考えればこの人の作品はいつもそうだから、これでいいんだろう。 とても真面目な音楽だ。

今回はテクノ系の要素が目立つ。 ヴォーカルのエフェクト処理にそれが顕著で、そういうヴォイスが活きるサウンドの風味も全体に施されている。
だから、Black Radio系ブラック・コンテンポラリーが苦手な人には歓迎されるだろう。 その象徴としてヒューマン・リーグのヒット曲 "Human" を
カヴァーしていて、ああそうか、彼はそういう世代なんだなあ、ということが垣間見れて親近感が沸く。 私もヒューマン・リーグは好きだから。

様々な音楽的要素が高度にブレンドされていて、これはちょっと一筋縄ではいかないぞ、というところは相変わらずだが、それでいて口当たりの良さは
群を抜いているので、高いポピュラリティーを獲得しているのは当然だと思う。 自身の黒人としての強いアイデンティティーを基盤にして全方位的に
アンテナを張って常に尖り続けながら、最終的なアウトプットは非常にわかりやすい形に仕上げるというところに誰よりも秀でた才能がある。 だから、
この人の音楽には専門家の解説が必要ない。 

所々に出てくるアコースティックピアノの音がみずみずしい。 この人のピアノは若い頃のハービー・ハンコックを思わせる。 音楽へのアプローチの仕方も
マイルスとよく似ていて、マイルスの遺伝子が引き継がれているのを強く感じる。 こういう人が出てくるのだから、ジャズの世界はまだまだ健全なのだろう。

家の中でじめっと聴くのではなく、街中に持って行って聴くのが相応しい生き生きとした音楽なのが何よりうれしい。 何だか気持ちも若返る気がする。



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