世界変動展望

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滋賀医大もバルサルタン論文を調査、またしても白橋伸雄ノ社社員が論文にノ社所属を表示せず名を連ね

2013-05-02 00:01:35 | 社会

バルサルタンの論文撤回事件で京都府立医大、慈恵医大に続いて滋賀医大まで調査を開始したことがわかった[1]。詳しい内容は[1]のサイト上で最初のわずかな部分しか出なかったのでわからないが、同大の医師らが中心になって実施した同様の臨床研究について調査するらしい[1]。

滋賀医大が中心になって行ったバルサルタン関連の臨床研究はSMART柏木厚典 滋賀医科大学副学長・理事・病院長 ら)。成果の論文を見るとまたしても白橋伸雄(Nobuo Shirahashi)ノバルティスファーマ社社員(定年を迎え今は契約社員 日刊薬業 2013年4月25日より)の名前が論文にノ社所属を表記せず、記載されていた。Kyoto Heart Study等と同じく大阪市立大学だけ表記している。


画像1 SMARTの論文([2])の調査者

疑惑の内容もKyoto Heart Studyと同じく血圧値が不自然に揃うこと等のようだ[1]。Kyoto Heart Study, Jikei Heart Study、今回の滋賀医大の不正疑惑はいずれも似た内容で、これらの臨床研究だけでなくNagoya Heart Study、VARTでも白橋が研究に関与し、論文ではノ社所属を表示していなかった。不正疑惑と白橋が論文に名を連ねていることに関係はあるのだろうか?それとも偶然?

仮に不正があっても白橋はもう定年を迎えて退職金をもらっているし、マスメディアは実名を報じないし、せいぜい契約社員を懲戒解雇になる程度で済むのでほとんど逃げ切ってるという感じがする。ただ、これだけ甚大な事件に発展し、研究不正に基づく詐欺がディオバン(バルサルタン)の年間1000億円以上の売り上げに重大な貢献をしていたというなら、刑事事件にも発展するかもしれない。背任罪(刑法247条)に該当するかもしれない。

最近ではスイスのノバルティスが医師らにリベートを支払って自社の薬剤を優先的に処方させているとして米司法省から提訴された。報道によると、

『ニューヨーク(New York)の連邦地方裁判所に起こされた訴訟で米司法省は、ノバルティスが、高血圧治療に使用される「ロトレル(Lotrel)」や「Valturna」、糖尿病薬の「スターリックス(Starlix)」といった自社製薬剤の売り上げを増やすために、医師に「社交の場」での講演を依頼して報酬を支払ったり、豪勢な食事に招待したりしたとしている。

 数千回にもわたり開催された講演会の中で医師らは、「ほとんどあるいは全く該当薬剤に言及しなかった」が、「ノバルティスは高級レストランで天文学的数字の飲食代を支払って医師らをもてなし、スポーツバーや釣り旅行といった、教育プログラムとはならないような場での接待に及んだ」とされている。

 そのような行為は「実際には講演者と参加者に対し、ノバルティス社の薬を処方するよう誘導するリベートとなる」と米司法省は述べている。[3]』

ということらしい。日本のバルサルタン事件でもノ社は同じようなことをやった。

『ノ社はドル箱商品のPRに湯水のようにカネを投資した。医療専門誌にバルサルタンの薬効に関するPR記事を度々掲載し、高名な医師の座談会を行ってその効果を喧伝した。 

「物凄い販促でした。日本高血圧学会の理事長や、高血圧のガイドラインを作成する幹部が、松原論文を引き合いに出して褒めちぎるんです。登場した医師には、通常、数万円の謝礼が出て、記事が出る時には原稿料も支払われる。それを見た別の医師が、『こんなにいいものがあるのか』とバルサルタンを処方する。バブルですよ」(前出・医療誌記者) [4]』

同じようなノ社の行動をみると今回の提訴やバルサルタン事件も医師や研究者に利益を与えて見返りに自社に有利な行為や成果を引き出そうとしたノ社の組織的戦略が根本原因の一つだったのではないかと感じる。京都府立医大のバルサルタン事件はノ社から約1億440万円の奨学奨励金の交付があったことが確認されているが、悪い誘惑に負けてしまったのかもしれない[5]。

ただ[3][4]の報道を見る限り、アメリカの医師はリベートを受けてもノバルティスの有利になる様に講演会で全く言及しなかったようだが、日本の医師たちは誘惑に負けてしまったような印象を受ける。そういう悪い誘惑にのってしまう性格の人が日本人研究者に多かったから今回のバルサルタン事件が起きたのかもしれない。事実なら絶対に改善する必要があるだろう。

京都府立医大、慈恵医大、ノバルティス(スイス)、滋賀医大とバルサルタン関連の調査は続く。これは空前の事件に発展しそうだ。フライデーは「バルサルタンは医療界を揺るがす劇薬になりつつある」と述べたが、劇薬どころか毒薬になりつつある。

参考
[1]asahi.com 2013.5.1
[2]Shiga Microalbuminuria Reduction Trial (SMART) Group, Uzu T, Sawaguchi M, Maegawa H, Kashiwagi A.

"Reduction of microalbuminuria in patients with type 2 diabetes: the Shiga Microalbuminuria Reduction Trial (SMART)."

Diabetes Care. 2007 Jun;30(6):1581-3.

写し
[3]AFB BBNEWS 記事 2013.4.27
[4]フライデーの記事。 
[5]企業が奨学奨励金を交付して企業の有利になるような嘘の研究成果を出した疑惑が浮上すると、奨学奨励金の交付が特殊なことのように思うかもしれないが、奨学奨励金の交付は日常的なことで珍しくない。産業の成果を試験する場合は産業と研究者が協力することが不可欠だからだ。

医学分野に限らず、例えば原子力の推進や地球温暖化政策のために国が予算を出して研究機関に研究させることも似たような構図で、このような連携はいろいろな分野でよくあることだ。

もし奨学奨励金等の予算交付で研究者が誘惑に負け出資側の有利になるように研究成果を歪めて発表することがあるなら、もっと他にも不正が生じているが、今のところはそういう疑惑は浮上していない。(地球温暖化の政策研究でIPCCの研究者が政治的なプロパガンダのために不正な発表をした事件は発生したが。

あくまで今の時点での理解だが、京都府立医大のバルサルタン事件は出資側からの厚遇による誘惑に一部の研究者が負けて生じた疑惑であって、あくまで"特殊な一部の研究者"だけが誘惑に負けた疑いがあるということ。

慈恵医大、滋賀医大、千葉大のバルサルタン臨床研究でも疑惑が指摘され千葉大以外では調査されている。今のところこれらの大学の研究にはノ社社員が関与していたということ以外にわかっておらず、金銭面で京都府立医大のような待遇があったかはわからない。たぶんマスメディアはそういうことも調べているだろうが、今後金銭面でもノ社との不適切な関係があったという報道がこれ以上ないとよい。これで慈恵医大等にもノ社から金銭面の優遇があって、ノ社に有利になるように成果を歪めて発表したというなら歴史に残る大汚点となるだろう。

思えば医学系には他にも寄附講座とか企業側との関係で作られる組織等がある。今回の問題から、出資側と研究者や研究機関との関係を公正に保つための何らかの対策を作る必要がある。([5]の部分等一部を2013.5.3追記)

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3 コメント

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この論文も怪しいぜ (精神科医師A)
2013-05-02 19:12:58
" Nobuo Shirahashi " は健在なり

http://www.nature.com/hr/journal/v31/n6/pdf/hr2008148a.pdf
回答 (世界変動展望 著者)
2013-05-02 21:02:07
確かにその論文にも名前がありますね。
困ったもんだ (ご老公)
2014-01-25 21:14:34
厚労省の調査会報告書からすれば
そんなこととは違うんじゃない